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【初テスト】カーブ大好きスポーツカー 新型アルピーヌA110 Rをサーキットで試す ケイマンに負けないぞー!

2023年4月26日

コーナリングマシンアルピーヌA110 R」はカーブが大好きで、どんなカーブも快感に変えてしまう。フランス人はアルピーヌA110にRを与え、クーペにダイエットを施し、コイルオーバーサスペンションを追加した。スーパースポーツ担当のギドがハラマでサーキットテストを行う。

なんですか?さらに軽くなった?「アルピーヌA110」は、すでにこのクラスで最軽量のクーペだったはず。1,106kgといえば、ポルシェ「718ケイマン」より、200kg以上軽い。しかし、フランス人は考えた。「E時代の前の最後のアルピーヌをサーキットで本当に速く走らせろという命令を受けたら、巧妙にやってしまえ」と。馬力の増強も、塗装の変更もない。その代わり、軽量化と完璧なシャシーチューニングという、アルピーヌの原則に従った。

5年前に話を巻き戻そう。新型「アルピーヌA110」によって、ルノーは、レトロの波に乗り遅れたと非難されることなく、よりシンプルで、スポーティなモビリティへの欲求を満たすことができたのだった。成功しても、成功しなくても。

ダッシュボードにはマイクロファイバーを使用し、断熱材を多く使用することで、8.9kgの軽量化を実現している。

このフランス製ドライビングマシンは、「ケイマン」よりも楽しいものであるにもかかわらず、これまでに世界中で、3,000人強のファンしか見つけられていない。残念ながら、このクルマの価格の高さがネックだった。61,000ユーロ(約900万円)ではなく、45,000ユーロ(約666万円)前後なら、ヒットした可能性がある。そして今、「A110」は終わりを迎えるのだろうか?そう、2026年からは電気自動車になる。しかし、その前に、フランス人はICEで究極のライトウェイトスポーツを作りたかったのだ。

なんと34kgも軽い

価格は関係ない。「A110 R」が103,000ユーロ(約1,480万円)もするのは、簡単に量産できないからだ。技術的に合法なものは、すべて「R」に詰め込み、無意味に重量を増加させるものはすべて取り除いた。その結果、「A110 S」と比較して、合計34kgのダイエットに成功した。一見すると、たいした減量ではない。しかし、すでに軽量化されているため、その比率は小さくない。細部に至るまでとことんスリム化したのである。具体的には?カーボン製のホイール、ボンネット、ルーフ、エンジンカバー、バケットシート、ベルトなどなど。

サーキットのGT3も、公道のGT3も、みんなスワンネック。A110 Rも。

性能は? 前述の通り、「S」と同じく、手つかずの300馬力だ。レーシングライセンスについて一言。「A110」はレースやラリーで使用されるため、社内のモータースポーツ部門と連携している。それゆえ、グースネックサスペンションを備えたカーボン製リアウィングが採用されている。また、ブレーキ冷却のための最適化されたエアダクトも備わっている。

レースナンバーのないレーシングカー?いいえ

しかし、チームはさらに踏み込んで、より硬いスタビライザー、調整可能なZF製コイルオーバーサスペンションとスプリング、そしてアイバッハ製のヘルパースプリングを装着した。さらに、ESPを変更し、カーボン製ホイールには、Sモデルから採用されているミシュラン製カップ2タイヤが装着された。では、「A110 R」は、レースナンバーのないレーシングカーだろうか?いや、こいつは公道も走れるはずだ。マドリード周辺の山で確認してみよう。

カーボンホイール – 正気とは思えないほど、空力に優れている!A110 Sのリムより、12kg(4輪)軽量化されている。

開発エンジニアは、サスペンションをソフトにした。シーティングポジションは、ほとんどポルシェのようなレベルだ。低く、極端な横方向のサポート、それがあるべき姿だ。そして、最初のカーブから、他のどの「110」よりも明らかに軽いフットワークと、ダイレクト感を感じることができる。ローンチやブレーキングの際、いつものようにお尻と一緒に流れたりすることはない。

Rは、ロールやピッチがずっと少ない

カーブを曲がるのが好きな「R」は、ひとつひとつのカーブを楽しく体験させてくれる。我々は、ハラマレーシングトラックに向かった。シャシーのクリックをハードにし、いざ出発。「110」をコーナーに放り込んで、オーバーステアやスイングを楽しんでいたのは、もう昔の話だ。「R」はロールが少なく、新しいシャシーが常に理想的なラインをキープする。フロントに装着された、215幅のカップ2というタイヤは、主観的には細すぎるように思えるが、アンダーステアは微塵も感じられない。オーバーステアは、よほどのことがあったときだけだ。

サーキットでカーボンボンネットのアルピーヌをバックミラーで見かけたら、場所を空けて道を譲るほうがいい。

エンジンはもっと排気量と馬力があってもいい。ギアボックスは相変わらず軽快で、固定パドルはまだ短すぎるし、新しいエキゾーストは明らかに低音が強調されている。5周目、ゴムは温かくなり、メカニカルグリップは大きく、コーナリングスピードは猛烈で、アルピーヌに座っているとは思えないほどだ。ドライビングプレジャーが減ったように聞こえる?そんなことはない、むしろ逆だ。ただ、今までとは違うのだ。

これぞドライビングプレジャー!コーナリング時の食いつきや、横方向の力でニヤニヤしている自分がいた。このパッケージが、ザクセンリンクサーキットのラップタイムにおいて、どのような価値を持つのか、間もなくわかるだろう。

テクニカルデータおよび価格: アルピーヌA110 R
エンジン: 直列4気筒ターボ、センターリア横置き
排気量: 1798cc
最高出力: 300PS@6300rpm
最大トルク: 340Nm@2400~6000rpm
駆動方式: 後輪駆動、7速DCG
全長/全幅/全高: 4180/1980/1252mm
乾燥重量: 1082kg
0-100km/h加速: 3.9秒
最高速度: 280km/h
平均燃費: 14.7km/ℓ
CO2排出量: 156g/km
価格: 103,000ユーロ(約1,480万円)より

結論:
アルピーヌらしいフィーリング、すべての動作における軽さは、「アルピーヌA110 R」で新たな次元に達した。ワインディングではコーナリングマシンになり、サーキットではタイムファイターになる。マイナス?そう、103,000ユーロ(約1,480万円)は高すぎる!

Text: Guido Naumann
Photo: Alpine / AUTO BILD