打倒Gクラス?ディフェンダーにV8エンジン 

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ランドローバー ディフェンダーV8 (2021): エンジン、市場ローンチ時期、ガソリンエンジン

まだ発表されて間もなく、先日アフリカで国際試乗会が開催されたばかりの新型ディフェンダーのラインナップに、新たにV8バージョンが加わる可能性があるという。ランドローバーはV8エンジンを搭載したディフェンダーに取り組んでいるようだ。そしてそれらは限定生産モデルとなる模様だ。最新情報をお届けする!

発表されて間もない「新型ディフェンダー」に、どうやらV8エンジンを搭載したバージョンをランドローバー社は計画しているようだとイギリスのメディアが報じている。写真のプロトタイプは、V8エンジンモデルとして登録されているという。ボンネットの下には5リッターのガソリンエンジンが収まっているらしい。おそらく、レンジローバー、レンジローバー スポーツとレンジローバー ヴェラールに搭載されているV8エンジンだろう。

しかし、一つ非常に興味深い点は、フォードが現在エンジンを製造しているイギリスの工場を閉鎖するため、ランドローバーのV8モデルには、将来的にはBMWの4.4リッターエンジンが搭載されるはずだ。
したがって、V8ディフェンダーは、在庫の5リッターエンジンを使用して、限定モデルとして、少量生産されるのではないかと推測されている。

Gクラスのライバル

ランドローバーは、おそらくメルセデスGクラスを念頭に、このディフェンダーを開発していると思える。そのためには、オフロード走行が可能であると同時に、インテリアにも一定の豪華さを持たせなければならない(それはなんだか本末転倒な話ではあるのだが。そういうクルマとしてレンジローバーも、レンジローバー スポーツもラインアップに存在しているのだから)。

V8エンジンが、2ドアのディフェンダー90用にのみ採用されるのか、それとも4ドアのディフェンダー110でも採用されるのかは、現時点では不明だ。そして8気筒のランドローバー ディフェンダーが発表されるまでには、おそらく時間がかかりそうで、2021年中の市場投入は期待できないだろう(その頃までに、普通のV8エンジン搭載のディフェンダーを発表できるような、平穏無事な世の中になっていることを願う)。

V8エンジンの搭載されたディフェンダーは確かにパワフルではあるし、メルセデスGクラス(特にAMGモデルの)ライバルになることは間違えないだろう。
だが…。やはり心のどこかには、ささくれのようにひっかかる気持ちも残る。
本来ディフェンダーとは、農機具や運搬用実用車として質実剛健に使われる車、ではなかったのか? あるいは未開地の移動手段として、地球の僻地でドロドロになって酷使される自動車ではなかったのだろうか?
もちろん2020年の現在、世界はSUVブームの真っただ中であり、ほかの多くのSUVとは一線を画す姿かたちのディフェンダーが、ライフスタイルを表現するファッションアイテムとしても好評を博していることは確かである。99%のユーザーが(おそらく一度も)使うことのない圧倒的な悪路走破性よりも、高性能なエンジンやファッション性重視のタイアを履き、舗装路面での快適性と性能を与えることで、多くのユーザーに受け入れられる。それはJEEPも、メルセデスGクラスも同じことだ。
だが…。それは究極の悪路走破性を持つランドローバーとしておおいなる矛盾でもあるし、自己否定にもなりはしないだろうか?

多くの車がファッションとして選ばれることを決して否定しないし、毎日の生活の中で実用車として車を使う場合にも、見晴らしがよく頑丈でタフなディフェンダー(やJEEP)が決して合致しない、というわけでも決してない。
しかし高性能を追求するあまり、大きく重いエンジンで、強引に追い越し車線を爆走するようなモデルをライバルと同じように開発し、発表する思想は老舗の名門メーカーであるランドローバーらしくないし、そんなモデルなら自社のラインアップの中に、レンジローバーを筆頭に、レンジローバー スポーツも、レンジローバー ヴェラールも、レンジローバー イヴォークも、さらにディスカバリーだって、ディスカバリー スポーツさえすでにあるではないか。ここまでで、すでに6種類も、ランドローバーにはSUV車種があることにびっくりしてしまう。

一番シンプルでプリミティブであるべきランドローバー ディフェンダーに似合うエンジンとは、トルクがもりもり溢れるディーゼルエンジンなのではないか、と私は思うし、それが古い考えだと言われてしまうのであれば、EVの方がV8エンジンなどを強引に積むよりも、まだマシなような気さえするのだが…。
かつてディーゼルエンジンのディフェンダーを長年愛用したエリザベス女王は、いかがお考えであろうか?

Text: Katharina Berndt
加筆:大林晃平
Photo: Jaguar Land Rover