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現代に蘇った「BMW 3.0 CSL」 あなたがまだ知らない5つのこと

2023年4月4日

復活した世界50台限定の「BMW 3.0 CSL」の知られざる5つの事実。BMW 3.0 CSLは、現代で最もエクスクルーシブなMモデルだ。ここでは、おそらくあなたがまだ知らなかったであろう5つのことをご紹介!

「3.0 CSL」 – その名は、BMWファンの目を潤ませるだけではない。オリジナルから50年、M社はこの伝説を厳密な限定新型車という形で復活させた。50台のみ生産され、そのうちの11台がドイツで販売される予定だが、そのすべてはとっくに完売している。

「BMW 3.0 CSL」については、すでに多くのことが書かれている。特に価格については熱い議論が交わされた。というのも、「M4 CSL」をベースにした「3.0」の価格について、BMWは公式には明らかにしていないからだ。噂では、「M4 CSL」×4台半に相当する750,000ユーロ(1億円超)という破格の値段になるとも言われている。我々がディンゴルフィングの現場で「3.0 CSL」の生産を見る機会を得た後、法外な値段は、少なくともある程度は理解できるようになった。なぜなら、50台の「CSL」はすべて、手作業で製造されているからだ。

BMW 3.0 CSL生産台数: 50台

BMW 3.0 CSLが帰ってきた!3.0 CSLの少量生産にどれほどの労力が費やされたかを理解するために、BMWは舞台裏を紹介している。AUTO BILD編集部のヤン ゲッツェは、生産の様子を詳しく見てきた。
3.0 CSLがBMWの心の問題であることを実感するのは、この新型車のアドオンパーツが丹念に手作りされているランツフートのBMW工場を訪れた時だ。Mストライプのカラーリングは、当初はフィルムで包む予定だったが、ストライプの価値が高いため塗装することになったと説明された。しかし、これは品質面だけでなく、生産面でも大きな違いなのだ。
ランツフート工場では、個別塗装やツートン塗装だけでなく、8シリーズグランクーペのジェフ クーンズのような特別プロジェクトも行っているため、3.0 CSLのアドオンパーツがここで塗装されることはすぐに明らかになった。
リアサイドパネルの例では、1つのカーボンパーツの塗装がいかに精巧なものであるかを印象的に示している。まず紺色に塗られ、専用の治具でクランプされる。
特に厄介なのは、隣接する部品の接続形状だ。ランツフートではアドオンパーツのみを製造しているため、最終的な組み立ての際には、接合部が完全にフィットしていなければならない。わずか数ミリのズレでも、完成したクルマではすぐにわかる。
そのため、レーザーステンシルによってそれぞれの部品にストライプを投影し、手作業でマスキングしていくのだが、これがなかなか難しいのだ。赤と水色のストライプを一本一本手作業で描き、3本ともマスキングして部品全体を「アルパインホワイトユニ」に塗装している。
塗料はクリアを含めて7回塗る必要があり、その間にサンディングと再マスクを繰り返す。これは特別な感性が必要な仕事で、ランツフート工場の4~5人の従業員でなければできない。サイドパネルやボンネットを作るのに1週間ほどかかる。
ムーステニングのファクトリーは、驚くほど静かだ。時折、油圧レンチの音が静寂を乱すだけだ。3.0 CSLを組み立てるこの場所は、まるで工場ではないような雰囲気が漂っている。ベルトコンベヤーなどのオートメーションは一切なく、ロボットもいない。
塗装されたCSLのボディは、台車に乗せられ、パネルが一枚一枚組付けられていく。2つあるホールのうち、1つ目のホールでは、隙間寸法のチェックと調整、ドアの取り付け、インテリアの組み立てが行われる。当然のことながら、3.0 CSLの特別プロジェクトでの作業は、30人の従業員の間で特に人気がある。
第2会場では、最初のステーションで結婚式が行われる。つまり、ボディとドライブトレインが初めて一体化されるのだ。そのために、オーストリアのシュタイヤー社で組み立てられたドライブトレインが、持ち上げられたボディの下に移動される。
最後のステーションで、初めて6気筒を始動させる。鳥肌が立つようなサウンドを期待した人は、きっと失望することだろう。3.0 CSLはスポーティなサウンドだが、まるでM4 CSLのようだ。結局、どちらも同じエンジンとチタン製エキゾーストシステムを備えているのだから。
現在、超限定少量生産シリーズの組み立てが本格化している。スケジュールでは、1日に1台ずつ作ることになっている。つまり、1週間に5台、10週間ですべてのスモールプロダクションシリーズモデル50台が完成することになる。

「3.0 CSL」がBMWにとって本当に心のよりどころであることは、最新の情報を精査すれば明らかである。愛すべきディテールの数々は、ほとんど無限大だ。サイドウォールに50の数字が入ったミシュラン製パイロット スポーツ4Sのスペシャルコンパウンドタイヤに始まり、最大7回塗り重ねられるMカラーリング、「3.0」専用に設計されたマニュアル6速ギアボックスのレトロシフトノブまで。

おそらくあなたが知らなかったであろう「BMW 3.0 CSL」の5つの魅力をご紹介する。

1.取り外し可能なナンバープレートホルダー

「3.0 CSL」は決してショーカーではなく、本物のMモデルであり、ミュンヘンでは将来のオーナーに、それ相応の運転をしてもらいたいと考えている。超限定車である「CSL」をレース場に持ち出そうとする人のための配慮がいくつかある。そのひとつが、フロントナンバープレートホルダーを取り外すことで、冷却風をより良く供給できるようにすることである。この作業は、ほんの数ステップで簡単に行うことができるようになっている。まず、ホルダーの後ろにある左右の蝶ネジを手で緩め、次に、少し敏感になってラグを持ち上げると、ドイツで規定されているナンバープレートホルダーがバンと外れる。そして、ヘルメットをかぶってのドライブのために、カーボン製フルバケットシートのヘッドレストの一部も取り外すことができるのだ。

ライセンスプレートホルダーは簡単な手順で分解可能だ。ただし、カーボンスプリッターの扱いには注意が必要となる。

2.トーイングアイのキャッチストラップ

「BMW 3.0 CSL」のオーナーは、できれば目にすることのないディテールが、トーイングアイのカバーに隠されている。この小さな部品にもMストライプが手作業で描かれているため、器用さを必要とするカバーだけでも見どころがある。しかし、真のアイキャッチャーは、シートベルトをモチーフにしたトーイングアイのキャッチストラップであり、クラシックなMストライプが施されている。さらに、「3.0 CSL」の文字が小さな布片にプリントされている。こうした小さくも細やかなディテールが、「CSL」にどれだけ心血が注がれてきたかを物語っている。

Mカラーのストライプと3.0 CSLのレタリングが施された牽引用アイカバーのキャッチストラップという隠れたディテールを備えている。

3.ルーフスポイラー(エアリアル内蔵)

もちろん、オリジナルの初代バットモービルの特徴的なルーフスポイラーは、新しいエディションに引き継がれている。BMWは、最終バージョンに至るまで、50を超えるさまざまなバリエーションが、風洞でテストされたことを誇らしげに宣言している。他のほとんどのアドオンパーツとは異なり、ルーフスポイラーはカーボンではなくGRPで作られている。これには単純な理由がある。ルーフスポイラーの中央のバーにアンテナが収納されているからだ。ルーフスポイラーがカーボン製だと、シールドが強すぎるのだ。

知ってましたか?ルーフスポイラーのセンターバーにはアンテナが収納されていることを。

4.パーキングエイドはない

視覚的な理由から、「3.0 CSL」には従来のパーキングエイドは装備されていない。ベース車両の「M4 CSL」にはパーキングアシスタンスが用意されているが、BMWは「3.0」からは、醜いセンサーを省くことを決定した。とはいえ、リバースカメラは搭載されているので、十分に注意してバックしてほしい。なぜなら、「3.0 CSL」では、小さな駐車場の隆起や段差による傷でも、ランツフート工場のBMW従業員が仕事をしなければならなくなり、修理費が非常に高くつく可能性があるからだ。

5.ギアボックスの交換は50,000kmごと

「3.0 CSL」の車重は1,635キロで、「S58」ツインターボエンジンの最も強力なバージョンを搭載している。つまり560馬力(M4 CSL=550馬力)だ。ただし、ギアボックスへの配慮から、最大トルクは550Nm(M4 CSL=650Nm)に絞り込まれている。「M4 CSL」とは異なり、オリジナル「3.0 CSL」へのオマージュモデルには6速マニュアルギアボックスのみが用意されており、これはすべての純血主義者を喜ばせる事実である。

BMW 3.0 CSLには、6速マニュアルギアボックスのみが設定されている。560馬力というパワーのため、BMWは50,000kmごとにギアボックスの交換をするように規定している。

しかし、ギアボックスについては、耳を疑うような情報が一つある。BMWは、5万kmごとにギアボックスの全交換を規定しているのだ。トルクを絞っているにもかかわらず、それでもまだパワーがありすぎるからというのがその理由だ。交換にかかる費用は5桁(数百万円)にのぼる。50人の顧客のうち、「3.0 CSL」にそれほど乗る人はほとんどいないだろうと思われるので、実際に交換されるのは稀だろう。後にこういったことが伝説になることを見越したMs社のブランディングの一つかもしれない。それにしても不思議な話である。

Text: Jan Götze
Photo: BMW Group