アプリ売りのオジさん彷徨記 Vol.16 あの映画に出ていたSAAB(サーブ)

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今週は、野暮用で、古くからの友人が営むワークショップを訪ねました。第三京浜の川崎インターからほど近い「A2ファクトリー」です。このショップはサーブ乗りの間では名が通っていて、特に900シリーズに関しては、一般修理から整備はもちろん、レストアしたクルマの販売まで手掛けるSAAB(サーブ)の救い主的なショップです。

また、昨年アカデミー賞を獲得した映画「ドライブ・マイ・カー」で一躍有名になったサーブ900ですが、映画に出演したクルマは、このA2ファクトリーでレストアした900なのです。当時のことも含め、天川社長に聞いてみましょう。

「映画関係の方からお話しをもらった時、先方の希望は黄色のカブリオレでした。ちょうどその時の在庫には、希望の黄色以外に、赤いボディーカラーのサーブもあったんです。しかも程度は赤いボディーの900のほうが断然良かったので、そのクルマを薦めて納めさせてもらったんです。」

映画化された原作では黄色のサーブだったようですが、そういった裏事情があったのですね。「それでも撮影中、特に乗車したところを撮っているときはトラックに載せているから、一度オーバーヒートして修理に入ったこともあったなあ。」なるほど、納めたあとでも、いろいろ苦労したようです。それでも賞を獲得した後のフィーバーは凄かったようで、「サ-ブを買いたい」はもちろん、修理に持ち込むお客さんが激増して、オジさん二人でこなすのは大変だったそうです。今では少し落ち着いたようですが、それでも整備入庫はひっきりなしで、常に整備待ちのクルマが裏の駐車場に並んでいるのは、信頼の証しですね。

90年代に流行ったサーブ、900ターボが一番売れたのか、このショップに入庫する車種で一番多いようだ。

もう少し状況を聞いてみましょう。「さすがに古い900シリーズは、ボディーパーツが無くなってきたね。ヘッドライトはもちろん、バンパーなんかも無い車種があるから、不動車でも廃棄処分せずに部品取り車にしてるよ。あと電子部品も、海外で探しても見つからないことがあるからね。」やはり古いクルマを維持するのは、大変なことになっています。それでも欲しい場合は、A2ファクトリーみたいに、信頼できるショップが必要不可欠でしょう。

ワークショップ裏手は、整備で預かるクルマ以外にも、パーツ取り用の古い900が何台も並んでいます。

また、A2ファクトリーでは、止む無く廃車することになったサーブのレザーシートを分解し、そのレザーを使ったトートバッグやリュックサックを制作しています。愛車の形見ともいえるし、お気に入りのクルマのパーツをリユースして普段使いに手元に置く、エンスー度が高いグッズですよね。興味のある方は、下記のサイトからか、直接電話を入れてお問い合わせください。

サーブのレザーシート生地を使ったリュックで、肩ひもはシートベルトを再利用。
小林工場長、頼りになるベテランメカニック(左)とA2ファクトリー代表の天川社長。サーブ乗りが頼りにする、サーブのよき理解者ですね。

A2 FACTORY(エーツーファクトリー)
213‐0012神奈川県川崎市高津区坂戸3‐16‐23
TEL:044‐833‐8828
http://www.a2factory.co.jp/

Text&Photo&Movie:ナカタ ヒロユキ

【筆者の紹介】
ナカタ ヒロユキ
少年の頃から乗りモノ好きで、輸入車のセールスとしてキャリアをスタートし、インポーターでは法人営業や中古車を含め、様々な営業関係のマーケティングを経験。その後ドイツ系の会社で、業務支援アプリを全国の自動車ディーラーを中心に営業中。ほぼ毎週どこかへ出没するが、時には愛機Buellに跨ったり、料理を楽しんでいる。