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オフロード911 チューンナップされたポルシェ911が野山を駆ける

2020年5月6日

ポルシェ911カレラ3.2: Gシリーズをオフロード仕様に作り替える

911でオフロード走行をする方法。このポルシェ911カレラ3.2は、単にタイヤをリフトアップしただけでなく、オールテレーンタイヤのおかげでオフロード走行にも適している。このサファリ仕様911をドライブしてみた!

ブランデンブルク出身のエンジニアが、ポルシェ911をオフロード仕様の911に改造した。彼は1985年製のこのカレラ3.2を、東アフリカのサファリをイメージしたオフロードポルシェに改造したのだった。ヒューストン(テキサス州)の前オーナーは、このカレラが自分の所有していたGシリーズ(バンパーに黒いプラスチック製のジャバラが付いている)だとは、もはや認識できないだろう。
このオフロード911は現在12万ユーロ(約1440万円)で販売されている。

ランディングギアをジャッキアップするだけでは不十分だった

グラウンドクリアランスを大幅に拡大しても、車がしっかり走れるように、そして大径ホイールでもちゃんと操舵できるように、新しいジオメトリーが必要だった。それは、シャシーの次に最も重要な作業は足回りの改造だった。
タイヤはBFグッドリッチ製KO2オールテレーン(全地形対応型)タイヤを、ホイールはフクスフェルゲのリムスタイルのマキシライトホイールを採用している。
泥の中をドリフトするときには後輪駆動の方がはるかに楽しいという考えをもとに、オフロード911には四輪駆動は備わっていない(どう考えても4輪駆動の方が良いように思ってしまうのではあるが…)。

エンジンには触れなかった

3.2リッターエンジンも変更されていない。ギア比が短く、空力性能が低いため、車は本来の時速245kmではなく、約210kmしか出せない。それでも十分以上ではあると思うが。
フロントには、厚さ6ミリのジュラルミンで製アンダーライドガードと、プラスチックケーブル(牽引力1.6トン)のウィンチが装備されている。
エスクテリアはムースグレーで塗装されている。クロームはない。
ポルシェのロゴもマットブラックだ。リアのむき出しのバンパーは、ホーンなしで8センチ短くなっている。

911Gモデル(1985年)の3.2リッターエンジンに手は加えられておらず変更されていない。

泥中ドリフト用ドライビングマシーン

内部を見ると、スポーツステアリング、オリジナルモデルとは異なるシート、ケーブルウインチ用のリモコンが備わっている。
快適な高さのドライバーズシートに座り、左のキーを回して、まずは普通の道路をドライブしてみた。すべてのギアで、市販モデルの1985年911カレラ3.2よりもギア比が低くなっている。
直進走行時には、ステアリング精度はもちろんのこと、ソフトで粗いトレッドのタイヤにかなり影響を受け、まっすぐ走ることに神経を使う。急なハンドリングにも注意が必要だ。あまりにも強引にドライブしすぎると、車が揺れ始めるので注意が必要なのである。ただし、実際のスピードよりも速く感じられることは確かだ。

そしていよいよ砂の道へ

1速で砂が飛び散り、2速で力強く前進する。
アドバイスとしては、十分なトルクを得るためにクラッチを入れる前にエンジンの回転数を上げておいた方がいい。意外とストールしやすいのである。
そして一回スピードに乗りさえすれば、ドライバーの思い通りにテールが揺れる。1200キロのオフロード911が前後にスイングする。最初のうちは楽しい。だが常にカウンターステアを必要とするのだ。そんな感じのドライビングが一日中続く。
常に不安定な運転状態。まるで低地でのアルペンスキーのようだ。

インテリアの様子。スポーツステアリング、オリジナルモデルとは異なるシート、ケーブルウインチのリモコン(この写真には写っていないがサイドブレーキレバーのうしろについている)。そして懐かしいラジオ。

レース史に残るサファリポルシェ

早くは1960年代からポルシェはモンテカルロやロンドン-シドニーなどのラリーに参加していた。
70年代に開催された東アフリカのサファリラリーでは、いくつかのチームが911で参戦した。1978年にはビョルン ワルデガルトとハンス トルゼリウスが911 SC 3.0で4位に入賞。1985年のグループBでも、ベルナール ベギンとジャン ジャック レーンが後輪駆動でトラックを駆け抜けたが、ロスマン‐ポルシェ911SC RS(954シリーズ)は3位以上に入ることができなかった。
959の四輪駆動の953はパリダカールラリーでも優勝している。その背景には以下のような事情があった。ポルシェは、本当は959をグループB向けに開発するつもりだったが、開発は長引き、1986年に完成した直前にグループBが廃止された。
念願のクラシックカーラリー、「東アフリカサファリクラシック」での総合優勝は、2011年にビョルン ワルデガルトがドライブした911が最終的に獲得した。
だから911が舗装路面ではなく、砂地や泥の道を走ったところで、本当は不思議ではないのである。

1984年パリダカールラリーの全輪駆動953シリーズ。
Photo: Porsche AG
ブランデンブルク出身のエンジニアが1985年製のカレラ3.2をオフロード仕様の911に改造した。サファリラリースタイルのオフロード911は現在12万ユーロ(約1440万円)で販売されている。
泥の中をドリフトするなら後輪駆動の方がはるかに楽しいという考えから、四輪駆動は採用せず、後輪駆動のままだ。
フロントには、厚さ6ミリのジュラルミン製のアンダーライドガードと、プラスチックケーブル付きのウインチ(牽引力1.6トン)を装備。
ポルシェのロゴもマットブラックだ。
むき出しのリアバンパー。
スポーツステアリングホイール、オリジナルとは異なるシート、ケーブルウインチのリモコン。
すべてのギアは市販車よりもギア比が短くなっている。直進走行時のステアリング精度はもちろんのこと、ソフトで粗いトレッドのタイヤに苦しめられる。
回避行動には注意が必要だ。あまりにも強引だと車が揺れ始めるので注意が必要。
サファリポルシェには波乱に富んだレースの歴史がある。モンテカルロやロンドン-シドニーなどのラリーに参戦、70年代は東アフリカのサファリラリーに、いくつかのチームが911で出場した。
Photo: Porsche AG
1978年のサファリラリーにはビョルン ワルデガルトとハンス トルゼリウスが911 SC 3.0で4位に入賞した。
Photo: Porsche AG
1985年のグループBでもロスマン‐ポルシェ911SC RS(954シリーズ)は3位以内に入ることはできなかった。

Text: Frank B. Meyer
Photo: Thomas Starck/ AUTO BILD