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【JAIA輸入車試乗会】伝統と革新のアメリカのプライド キャデラック・エスカレード・スポーツ

2023年2月21日

JAIAの試乗会の楽しみのうちのひとつが、毎回キャデラック・エスカレードに試乗することだ。エスカレードといえば今やキャデラックのフラグシップである。キャデラックもまた、アメリカの、いや、世界を代表する高級車メーカーのうちのひとつだ。つまりその時々のキャデラックの本気は、世界の本気なのである。

本気と向き合うにはこちらも緊張する。1740万円からという本体価格もさることながら、全長5,400mm、全幅2,065mm、全高1,930mm、タイアサイズ275/50R22 111Hというすべてが規格外の大きさだ。今回の試乗車はスポーツと言うグレードで、外装がオールブラックなのがさらに緊張感を高める。

試乗会場で、笑顔でクルマを受け取るのはいいのだが、メーカー広報の方々前で発進できないようなしくじりをしないようにするので精一杯。高級感漂うレザーのインテリアに自動車業界初という38インチのインフォテインメントシステムの液晶パネルにヘッドアップディスプレイ、ボタンがたくさん並んだステアリングホイールが目の前に鎮座してこれまた緊張が増すが、初めて座った車内でもエンジンを掛けて〜セレクターをDに入れて〜ウィンカーを出して発車、という一通りの基本動作に不思議と迷うことがない動線設計はさすがである。

助手席に座るパッセンジャーには手が届かないと思うぐらいの横幅と後ろの席は完全に手が届かないだだっ広い車内。感心したのは、なんと「カンバセーションエンハンスメント」と呼ばれる会話補助機能が搭載されており、前席と後席のパッセンジャーの声をマイクで拾って耳元のスピーカーを通して聞けるようになっているのである。昔の政府高官が乗るリムジンに伝送管がついていて、パーテションで仕切られた車内でも運転手に行き先を告げることができるシステムがあったが、それの現代版のようだ。若干マイクを通しているな、という音質になるが広大な室内ではとても有用なシステムだ。

走り出すとボディの大きさは気にならない……なんてウソだ。デカい。やっぱり大きい。360度俯瞰できる新世代サラウンドビジョンを活用しつつ、大きさ(まずは横幅)を気にしながら高速道路へ。乗り心地はふわりふわりとクルーザーのようだが、気持ち悪くなるたぐいのフワフワ感ではなく余計な揺れはシャットアウトしつつ、段差を鷹揚に受け流す感じだ。たっぷりとボリュームのあるシートは高級ソファのようでヨーロッパ車のパリッとした座り心地とは異なるが、これまた昔のアメ車のようなただ柔らかいだけのものでもなく非常に快適だ。

加速車線でスロットルを踏み込むと、426ps、623Nmを発生する6.2リッターV8エンジンの唸りが遠くから、しかしはっきりと聞こえてくる。V8らしいサウンドを伴いつつ、暴力的ではないが2,740kgある巨体をみるみる制限速度近くまで引っ張り上げる。おそらく外から見てたら山が迫ってくるような感じがする迫力があるかもしれない。

時間の関係でインフォテインメントシステムや赤外線を用いて夜間ドライブをサポートするナイトビジョンについての体験はできなかったが、最新のドライバーインターフェース技術が次々と実装されていくのも、セルスターターやオートライトなどのドライバーの負担を軽減させる最新技術をいち早く採用したキャデラックの良き伝統だ。

米独トップブランド対決?(笑)

世界の高級車メーカーがこぞって参入してきている高級SUV市場でも、キャデラックはやはりキャデラック。伝統と革新を上手に融合させ、アメリカを代表して新たな自動車像を提案しているように感じた。また来年どう進化しているのか見るのが楽しみである。

来年は、来年こそは、ランボにも乗れますように。(笑)

JAIA輸入車試乗会のドライビングレポート&インプレッション、今回もお楽しみいただけたようでしたら幸いです。

Text: 日比谷一雄
Photo: 中井裕美、日比谷一雄、池淵宏