【JAIA輸入車試乗会】アバルトF595 今回唯一のMTモデル ホットハッチ アバルトF595は痛快だった

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フィアット500ベースのアバルトも「500アバルト」が2008年に発表されてから「アバルト595」に車名が変わり、多種多様なモデルや限定車等が発売され、アバルトに詳しい人でなければ、F595がどのようなモデルか想像も付かないかもしれない。

現在、国内でラインナップされているアバルト595には、同じ1.4リッターターボで異なるエンジンチューニングにより2種類のエンジンがあり、それぞれの馬力が180PSと165PSと異なる。主な車種は180PSのエンジンを搭載したハイパフォーマンスな595コンペティションと、165PSのエンジンを搭載したスタンダードモデルの595ツーリズモとソフトトップを持つ、595Cツーリズモになる。F595 はそのスタンダードモデルに17インチホイールに新しい4本出しのレコードモンツァのマフラー、コニFSDショックがリアに付いたスタンダードモデルに多少チューニングが施されたモデルとなる。

また、車名のF595の「F」はこの165PSの1.4リッターターボをベースにしたエンジンがイタリアとドイツのフォーミュラ4に搭載されていることに由来する。

個人的にはアバルト695ビポストを所有し、180PSのエンジンモデルには乗ったことがあるが、今回このF595に搭載される165PSエンジンは初めての試乗となった。
F595のエンジンルーム。赤いエンジンヘッドカバーの下に1.34リッターターボエンジンが収まっている。

F595のエンジンを始動すると、アバルト定番のレコードモンツァのエキゾーストが期待外れに大人しいのであるが、F595のダッシュボードにある蠍マークのスポーツモードのボタンを押すことで、本領を発揮し、アイドリング時からレコードモンツァ独特の、「ゲロゲロ・・・」というバブリング音を奏でる。またこのボタンを押すことで、パワステのアシスト量が適度に重くなり、スロットル制御も変更され、アクセルレスポンプが大幅に機敏になるのだ。

小気味よいシフトフィールのF595。

高速道路を走行すると、アバルトは180PSのエンジンを搭載したコンペティションモデルは足回りが前後コニのスプリングショックのため正直硬すぎるのに対し、このF595の乗り心地は柔らかく滑らかに感じたが、決して一般的には柔らかい乗り心地といったわけではなく、適度な硬さであり、本気でサーキット走行でもしない限りはこの足回りで十分である。また、小柄なボディのため、165PSエンジンでも十分なパワーがあり、高速巡行も快適であった。

次に、ワインディングでは、F595は軽やかに、文字通り軽快に駆け抜ける。低速からパワーがある180PSエンジンモデルとは異なり、この165PSエンジンは積極的に回転数を上げてパワーを引き出していくようなエンジン特性となっており、マニュアルトランスミッションで、ある程度回転数を上げながらエンジンパフォーマンスを引き出してコントロールするところが、これぞホットハッチと言った具合で痛快であるのだ。

ガソリンエンジンモデルの生産が続くかぎり、日本で販売を続けてほしい

アバルトもフィアット500eの発売に伴い、昨年11月にアバルトの次期モデルについても同様に欧州ではEVモデルが発表された。引き続き現状のガソリンモデルも生産され、EVモデルと並行して販売されることになっているが、現在、日本はアバルトにとって世界で5番以内に売れている国である。今後もこのガソリンエンジンモデルの生産が続くかぎり、日本で販売を続けてほしいものだ。

F595のハッチゲートにはサーキットをイメージした専用エンブレムが付いている。
F595はサイドミラーとフロントスポイラーにポップなカラーが添えられているのがポイントとなっている。また、ブラックに塗装された17インチホイールがスポーティだ。

Text: 池淵 宏
Photo: 池淵 宏、AUTO BILD JAPAN