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【JAIA輸入車試乗会】先駆者の余裕 VW ID.4は優しい電気自動車

2023年2月12日

フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.4」が、いよいよ日本に導入され、昨年11月に発売となった。VWのBEV専用モジュール「MEB(modular electric drive matrix)」を使ったIDシリーズ第2弾でVW初のフル電動SUVとなる。

昨年、世界で193,200台売れたID.4 /ID.5だが、日本市場のID.4には2グレードが用意される。204PS容量77kWhのバッテリーを搭載し、561km(WLTCモード)の航続距離の「ID.4プロ ローンチエディション」と、同52kWhと388kmの「ID.ライト ローンチエディション」である。

いずれも普通充電と急速充電に対応する。ドイツ本国では、フロントにもう1つのモーターを搭載して総合出力が299PS、全輪駆動の「GTX」がラインナップされている。価格は、プロが6,488,000円、ライトが5,142,000万円だ。ライトは夏ごろの発売とのこと。また、バッテリーは8年または16万km走行したあとでもオリジナル容量の70%以上を保証するとされている。

この日、用意されたのは、ID.4プロ ローンチエディションで、20インチのアルミホイールを履いたID.4の中では高出力バージョンだ。電動モーターは最高出力204PSで、ボディサイズは、全長4585mm、全幅1850mm、全高1640mm。ティグアンより65mm長い。バッテリー搭載スペースをできるだけ稼ぐためにホイールベースが長くティグアンのホイールベース2675mmに対して、ID.4は2770mmと95mm長い。

ID.4のモーターはリアアクスルと一体化され、そのまま後輪を駆動する。ラゲッジルームは543リッター、後席背もたれを倒せば、1575リッターになる。フロントのボンネット下にはエアコンのユニットなどが収まるためトランクルームは無い。

センタートンネルがなくなったフロア

さて、スイッチ式のドアオープナーを引いて、シートに座ってブレーキペダルを踏めばメインスイッチがオンになる。ハンドル先の小さなメーター横にあるシフトスイッチをひねってDにすればID.4は走り出す。長いホイールベースのおかげで、広々としたルームスペースを持つ。なにより、センタートンネルがなくフラットな床が印象的で非常にスッキリしており、横移動が楽である。座り心地の良いシートは高さも適正で、頭上のスペースにも余裕がある。

センタートンネルがない完全にフラットな後席フロア。

電気自動車らしく、アクセルペダルを踏んだ瞬間から力強く走り出すが、ID.4はビックリするようなダッシュはしない。乗り心地は、少し背が低いティグアンという感じで、VWらしい硬めの乗り味であった。もう少し角がとれるといいのだが。

VWグループ内のEVのシェアは、2020年の2.5%から2021年は5.1%に、2022年は6.9%であった。今年2023年は、ウォルフスブルグのグループ本社工場でもEVが造られるようになり11%に増加させることを目指している。そして2025年に20%、2030年までには、2台に1台がEVになると予想している。「ゴルフ」は今後どうなるのだろうか。

ショートインプレッション by スタッフメンバーズ

ついにやってきたフォルクスワーゲンのEV。ゴルフに代表されるフォルクスワーゲンの「いつもの」乗り味とは少々異なるように感じた。不思議と自動車を運転しているというよりは、電車を運転しているような感覚になった。遮音が効いた車内から遠い向こうで高いモーター音が聞こえる感じが新幹線っぽいからなのかもしれない。スロットルとブレーキペダルがそれぞれ音楽プレイヤーの「プレイ」「ポーズ」マークだったりなのは遊び心か、未来を暗示しているのか。(日比谷一雄)

Text::AUTO BILD JAPAN
Photo:中井裕美、AUTO BILD JAPAN