これが超高速MINIの走りだ レーシングMINI JCW GP初試乗テスト
2020年5月3日
MINIジョンクーパーワークスGP(2020年):テスト、走行レポート、M135i
GPというモデルは、MINIはジョンクーパーワークスをより一層軽量化し、さらなるパフォーマンスを発揮するモデルである。そんなレーシングMINIを初テストドライブ!
MINIジョンクーパーワークス GP。短いクルマにしては長い名前だ。
このような超高速バージョンは、MINIでは決して目新しいことではない。
2006年にはすでにGPキットを装着したレーシングバージョンが発売されていたし、7年前にはイギリスで218馬力のGPバージョンが発売されていた。
しかし、今回試乗してみて、こんどのMINIジョンクーパーワークスGPは頂点を極めていると断言できる。
BMWは、現行のM135iに使われている306馬力の2リッター4気筒エンジンをジョンクーパーワークスGPへと移植した。
唯一の違いは、MINIは四輪駆動ではなく前輪駆動モデルで、それ以外は徹底した軽量化がはかられたということだ。
比較のために記せば、BMW 1シリーズの重量は1.6トンだが、GP MINIの重量はわずか1255キロだ。
265km/hも可能
われわれのテストカーは、ナビゲーションシステムもエアコンも装着されていなかったので、さらに50キロも軽量化されており、非常にスパルタンでライトウェイトなモデルに仕上がっていた。今やエアコンがない車も珍しいが、これはそういうクルマなのだ。
このエンジンは450Nmのトルクがあり、MINIは5.2秒で0から100km/hにまで加速する。
特にエキサイティングなのは、BMW兄弟のほとんどとは異なり、リミッターがないため速度は265km/hまで出せるということだ。
短めのホイールベースに張りのあるシャシー
ミニは大きくなったとはいえ、全長3.88メートル、ホイールベースは2.50メートルと比較的コンパクトだ。シャシーはゴーカートのようにタイトに調整されており、特に剛性の高いボディのおかげで、MINIは文字通りジャンプしたり跳ねたりする。
面白そうに聞こえるが、セミスリック(225/35 R 18)を履いているため、タイトな高速カーブでは緊張し、バンプがあるたびに神経質になってしまう。
とても速く、でこぼこで、とてもタイトな乗り心地! それがこの車だ。
またパワーに見合うようにフロントには360×30mmの4ピストン式キャリパーブレーキシステムが備わっている。
MINIでカーブを追いかける
このミニレーサーはタイトなコーナーを超人的にこなし、ワインディングカントリーロードを面白いように駆け抜けていく。その優れた性能と楽しさは信じられないくらいだ。
そして普通のドライビングではカーブでもまったくロールしない。
ありがたいことにそのような場面では、1750 rpm時から450Nmのトルクが発生し、4500 rpmまでの広い範囲で使えることが助かるし、特に機械式ディファレンシャルロックを含む8速ステップトロニックを活用することによって、存分に味わうことができる。
そしてステアリングホイールに備わったパドルを使って電光石火のようなスピードでシフトアップとシフトダウンが可能だ。
シフトダウンすると、中央に配置された直径は9センチの2本のテールパイプが跳ねたり、きしんだり、低い唸りをあげたりするのもレーシーな気分だ。
リアシートなしの軽量MINI
フロントには完璧なサイドサポートを備えたスポーツシートがあるが、その後ろには後部座席はなく、アルミ製のクロスブレースが備わっている。それは赤で塗装され、レーシングトリムの他の部分と同じくらい目立って見える。
そして、MINIだからこそ、もちろん外装も内装も、自由にパーソナライズすることができる。カーボン製のホイールカバーやグローブボックスの上のゴム部分にあなたの名前を印刷することができるようになっている。その他にも無数にオプションが用意されるが、気がつくと200万円、300万円くらいにオプション価格だけでも達してしまっていることもあるのでご注意されたい。
限定スペシャルモデルはすでに完売
この弾丸MINIは限定生産として3000台が生産され、そのうち515台がドイツ向けである。しかし、オプションなしで45.000ユーロ(約540万円)の高価なジョンクーパーワークスGPは、すでに完売しているそうだ。
しかし、すぐにネット上や、中古車市場で原価を上回る価格で売りに出されるだろう。
それらを購入すべきかどうか?
欲しい方には、もちろん強くお勧めする!
Text: Andreas May
Photo: BMW Group