【面白ストーリー】80億台以上生産された「Hot Wheels(ホットウィール)」カルトミニカーはどのように作られているのか? カリフォルニア本社工場訪問記

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オリジナルサイズのクルマがホットウィールになるまで。ホットウィールはこれまでに60億台以上生産されている。そして毎年数多くの新作が生まれているが、実際にはどのように作られているのだろうか。そんな素朴な疑問を持って、我々はカリフォルニアの工場を訪問した。

アメリカの玩具メーカーマテルのミニカーブランド「Hot Wheels(ホットウィール)」。日本やドイツを含め、世界中に熱狂的なファンが数多く存在する。

大きな車に大きな努力、小さな車に小さな努力。自動車メーカーからCADデータを提供してもらって、1/64に縮尺して、色を塗って、きれいにパッケージングして売り出す。実車をおもちゃの車にするのは容易いこと。違う!現実はもっと複雑だ。カリフォルニア州エルセグンドにあるマテル社の本社で、ホットウィールの生産に密着した。

想像を絶する台数: 1968年の創業以来、ホットウィールは80億台以上を生産したと言われている。

1968年以来80億台以上の自動車

マテル社は1945年創業の玩具メーカーで、当初は木製の額縁や人形の家具を製造していた。現在では、ホットウィールをはじめ、バービー(人形)、スクラブル、フィッシャープライス、UNO、マッチボックスなどのブランドを展開している。ホットウィールは1968年に誕生した。マテル社の統計によると、この半世紀で80億台以上のホットウィールが生産されているとされる。そして、毎年約400種類の新しいホットウィールモデルが追加されている。ちなみに2021年には、全世界で約5,100万台の「本物」の自動車が生産されたのだが、いかにホットウィールの生産台数が多いかわかるだろうか。

試作品は当初、型を起こしてプラスチックを流し込んで作っていたが、今では3Dプリンターを使って作るようになった。

でも、実車をどうやっておもちゃの模型にするのか?CADデータや参考写真を使うのだが、元の車体寸法をそのまま1/64に縮めたのでは、プロポーションが合わなくなるだけでなく、個性が失われ、実車を見た際のイメージとは違うものになってしまうらしい。

マテル社のデザイナーは、「カッコよく見えるように、車輪を大きくし、屋根を少し平らにし、車体の幅を少し広くしたりしてデフォルメするんだ」と語る。そうして初めて、小さなサイズで本物と同じように見えるのだ。

ホットウィールではクレイモデルをデジタルで作成する

実車の世界では、3Dデジタル設計の後に、クレイモデル(粘土でできた実物大の車)を作成し、デザイナーの手でスクラッチや削り出しをして、細部までモデリングしてデザインをつめていく。ホットウィールも、クレイモデルでデザインを確認する。ただ、リアルサイズのクレイモデルを作っても1/64のサイズでは小さすぎるため、現在ではデジタル粘土と呼ばれるエキサイティングな技術でモデリングする。

デジタルクレイ: 粘土のモデルを従来の方法でモデリングするのではなく、コンピューター上で専用のペンを使って形を整えていく。

デザイナーはペンを使って、画面上で、モデルを回しながら削り取ることができるのだ。このペンは、デザイナーがまるで本物の粘土を扱っているかのような触覚的なフィードバックを提供する。最終的な3Dモデルができたら3Dプリンターで最初のプロトタイプ出力する。

テストドライブを重ねることなく生産はしない

自動車メーカーがプロトタイプで路上テストをするように、ホットウィールの技術者たちは「プレイテスト」を行う。なぜなら、ホットウィールには、見た目の良さはもちろん、しっかりと走ることが求められるのだ。

テストコース: 新型車を発売する前に、徹底的にテストする。ここでうまくいかないものは、手直しする。

ホットウィールの名前を冠することが許されるまで、プロトタイプをテストコースで走らせてテストする。ストレート、ループ、そして最もバリエーション豊かなスターターで。マニュアルスターター用には、重りのついた特製のドロップタワーがある。あらゆるシーンのシミュレーションをとことん繰り返す。しかし、ミニカーで遊んでお金がもらえるなんて、最高だ!(笑)羨ましいほど夢のある仕事だ。

購買意欲を喚起する魅力的なパッケージデザイン

もし、テストコースから飛び出してしまったり、スターターに挟まったり、タイヤが十分に転がらないなどの不具合があれば、テスターはそのモデルを設計チームに戻して、さらに微調整をすることになる。プロトタイプがテストコースで完璧に走って初めて、ダイキャストプロセスによる生産が開始されるのだ。

ホットウィールらしいブリスターパックのデザインも、細部にまでこだわって作られている。

最後に、ホットウィールは実車にはない、個別にプリントが施された特製ボックスでパッケージングされて販売されていく。

Text: Jan-Menno Gebhardt
Photo: Hot Wheels