【テスト】スバル製コンパクトクロスオーバーSUV スバルXVの全輪駆動&ハイブリッド仕様モデルをテスト その評価は?

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スバルXVは、スバルで最もコンパクトなモデルであると同時に、日本ブランドで最もお求めやすい価格のハイブリッドオールホイーラーでもある。果たして本当に美味しいのか?

名前は煙と鏡である、とゲーテは200年以上前に彼のライフワークである「ファウスト」の中で書いている。今の車の名前を見てみると、発音が難しく、あまり響かないことが多いのだが、文字による略称はよく使われる方法で、スバルも現在最小の四輪駆動車に、「XV」という略称を選んだ。この略称はローマ数字の15ではなく、クロス(=X)ビークルの略称である。

2023年、スバルはヨーロッパでこのクルマを改名し、略称ではない名前を付けたいと考えている。「クロストレック(Crosstrek)」というモデル名が最有力候補とされている。「クロストレック」は、英語では「クロッシング(Crossing)」と訳すことができる。このタイプ名はスバルにとって新しいものではなく、北米では長年「クロストレック」として販売されてきたのだった。

よく調整された全輪駆動とスリップコントロール、それがオフロードでの先手必勝の方法だ。

欧州では、新しい名称の未来型モデルには、アシスタンス技術の刷新と拡張が行われるが、駆動技術は変わらない。それも含めて、今日の「XV」は、「古い」モデルが技術的に陳腐化していないところが面白い。さらに、将来モデルの価格が跳ね上がらないようにしつつ、現行の「XV」がさらに魅力的になるようにしなければならないのだ。

ハイブリッドスバルは「お買い得」

ハイブリッドシステム搭載の「XV 2.0ie」のベース価格は32,990ユーロ(約480万円)で、このスバルは自動車価格高騰の時代に最も安い四輪駆動車の一つである。「フォレスター」は、「XV」より14cm長く、ホイールベースは同じであるため、トランクルームは169リットル大きくなっている。しかし、同じ駆動技術で、より大きな兄弟が4,800ユーロ(約70万円)も高いのだ。

56年前から日本メーカーらしいボクサーエンジンを中心に構成されている。このタイプのエンジンは、シリンダーが水平で、ピストンが互いに向かって動き、同時に遠ざかる。「VWビートル」で長年採用されたこのエンジン設計の利点は、低振動であることだ。

現行スバルの典型は、上下2つのスクリーンを重ねたものだ。

実際のところは?それは、4気筒のスバル製ボクサーエンジンが、他のメーカーの多くの直列4気筒エンジンに比べて明らかに洗練された走りをすることで、その理論が正しいことを証明しているのである。しかし、だからといって、ボクサーエンジンが自動的に静かなわけではない。燃焼音は基本的に同じだ。そして、スバルは「XV」の断熱材に少し手を抜いているので、150km/hあたりで急加速すると、エンジン音がかなり騒がしくなる。

ターボチャージャーのドーピングがなければ、2リッターは194Nmのトルクしか出せないから1,576kgもある車体にとって、パワフルとは言えない。テクニカルデータを見ると、やはりトランスミッションに組み込まれた電動モーターによる66Nmの上乗せの効果が大きくあると言えるかもしれない。

そうなのだ。しかも、役に立つのだ。その力は、特に発進時、坂道で顕著に現れる。「XV 2.0ie」は、かなり引っ張ることができる。しかし、そうすると、トランクルームの床下に置かれたリチウムイオン電池は、最大0.6kWhしか蓄えられないため、数十秒で消耗してしまうから注意が必要だ。

e-Boxerはプラグインハイブリッドではない

そのため、純粋な電気自動車としては、理想的な、つまり希少な条件下でしか作動しない。17馬力の電動モーターに負担をかけないようにアクセルを踏むこと、また、暖かすぎたり寒すぎたりしないようにすることが必要となる。でも、駐車場の出入りには、これくらいがちょうどいいのだ。

スバルらしいボクサーエンジンを縦置きに搭載。運転席側に2本、助手席側に2本のシリンダーが突き出ている。オイルディップスティックがある。

しかし、「e-BOXER」と呼ばれるスバルのハイブリッド駆動は、大きく重いバッテリーを搭載し、それに応じて長い「e-レンジ」を持つプラグインハイブリッドではない。むしろ、電動アシストによってガソリンエンジンの燃料消費を抑えようと考えたのだ。特に都市部での交通渋滞では、電動モーターがブーストエンジンとして常に顕著な効果を発揮している。無段変速オートマチックトランスミッションは、ボクサーが低回転でバブル走行するのを思いのままにし、煩わしさを感じさせないようにする。

田舎道では状況が異なり、高速道路ではなおさらだ。ここでは、ボクサーエンジンは実質的に常に単独で行動している。また、中程度の勾配でもパワーが不足しているため、希望の速度を維持するため、あるいは加速するために、オートマチックトランスミッションは強制的にエンジンを高回転させなければならない。そして、無段変速機特有のラバーバンド効果。高回転域でエンジンがうなりを上げて失速し、「XV」は遅れてスピードを上げていく。

このラバーバンド効果を避けるため、少なくとも急加速時には、スバルは、ハーフスロットル程度から自動的に別のプログラムに切り替えるようギアボックスをプログラムしている。すると、トランスミッションは無限のギアを使わず、合計7つの固定されたレシオでかみ合うようになる。

荷室床下には電動モーター用のバッテリーが収納されているため、スペアタイヤのスペースはない。

リニアトロニックは、固定ギアによる従来のオートマチックトランスミッションを模倣している。このモードでは、シフトした時の感触が得られるが、技術的なアドバンテージはない。やはり、無段変速機の最大のメリットは、無限にあるギアによって、常に最適な回転数を保てることだろう。

使い方で大きく変わる燃費

「e-BOXER」は、利便性を上げるものであり、燃費性能を上げるためのものではないのが特徴だ。当然といえば当然なのだが、燃費は運転スタイルや速度によって変化する、しかしスバルの場合はその幅が非常に大きくなることだ。高速道路でも110km/hを超えないように慎重に走れば、基準値のリッターあたり13.1kmを大幅に上回る14.9kmの燃費を達成するが、180km/hあたりをキープして走ると、リッターあたり8kmにまで悪化する。また、燃料タンクには48リットルしか入らないため、500km程度で満タンにする必要がある。

「XV」をうまく走らせるのは、最高速度は130km/hまでと心がけることだ。そうすれば心地よい騒音レベルで、足回りの快適性は実に良好だ。また、スポーティになりすぎないよう、あらゆる段差をうまく吸収するようなセッティングが施されている。安全運転に支障をきたすこともない。

高速コーナーで全輪駆動が効き過ぎると、回した前輪を押し出して、あらかじめ予測できるようにアナウンスする。しかし、その走りとシャーシは、とにかく速く走りたいという気持ちを誘うことはない。むしろ、硬すぎない布張りのシートに身を任せて、快適な座り心地を楽しんだほうがいい。

注意: フロントオーバーハングが長いため、フロントエプロンが破損しやすい。

シンメトリカルAWD

また、現在のスバル車は、「シンメトリカルAWD」といって、ドライブトレインのすべてのパーツが厳密に対称に配置されていること、つまり、車両の左右の重量に差がないシステムを採用している。前後の車軸の動力配分が50:50という意味ではない。

滑りやすい坂道でも安心して走らせることができる

一方、スバルは全車、自動運転のスバルらしいパートタイム全輪駆動で、前輪は直接駆動、後輪は電子制御の多板クラッチを介して可変的に関与している。日本メーカーはこの技術に何十年も携わってきているので、繊細でありながら常にグリップの効くセットアップを理解しているのだ。

だから、滑りやすい坂道でも安心して走らせることができるのだ。駆動によるトルクが控えめであるにもかかわらず、パワーは十分だ。この多めのトランスミッションオイル量は、日本製ということもあってか、24%の勾配で10回以上の発進テストを行っても、フル積載で問題なく走行できる。また、オフロードの急斜面でも、負担がかかっている様子はない。

結論:
スバルが四輪駆動車について多くの経験を積んでいることは、今回のテストでも顕著に現れている。単純に優れているのだ。一方、オートマチックトランスミッションとハイブリッド駆動のチューニングが甘く、のんびり走ったときだけ納得のいく燃費が得られる。

Text: Martin Braun
Photo: Subaru