イタ車エンブレム特集 その魅力と特徴、そしてその由来をひも解く
2020年4月30日
カーロゴ: フィアット、フェラーリ、ランボルギーニ、アバルト、マセラティ、アルファロメオ、ランチア、パガーニ
アルファのロゴは人食いドラゴン?? 他には占星術の星座、戦闘機パイロットのマークなども…。イタリア車のエンブレムの意味や由来を解説。
ユニークなイタリアの自動車メーカーのロゴの裏には、何があるのかを解説する。
アルファロメオ
1910年以来、Alfaの略語は “Anonima Lombarda Fabbricia Automobili “の略で、ロンバルド自動車工場会社を意味する。
1915年にエンジニアのニコラ ロメオが会社を引き継いだ際に、ロメオという接尾辞が付け加えられた。
左側の赤い十字架はミラノ市で創業したことを示すシンボルだ。
右側には人間を食べる王冠をかぶった緑のドラゴンがいる。
最初に見た時は奇妙に思われるかもしれないが、これは中世のミラノで影響力を持っていたヴィスコンティ家の家紋の一部である。
この生物は、赤い人を食べるミラノのドラゴン、タランタシオをあらわしていて、それは、第一次十字軍の時にアラブの支配者を殺したとされるヴィスコンティ家の先祖にたとえられている。
フェラーリ
まずは常識的なことから説明しよう。ロゴの上部備わったトリコローレ(緑+白+赤の三色)は言うまでもなく、イタリアの国旗の色で、このスポーツカーメーカーの原産国をあらわし、黄色の地はフェラーリの工場があるモデナの街をあらわしている。
頭文字のSとFはスクーデリア・フェラーリ(大まかに言えば「フェラーリのレーシングチーム」)を意味している。
中央に聳え立つ黒い馬については諸説ある。
例えば、第一次世界大戦で撃墜されて国民的英雄となった戦闘機パイロット、フランチェスコ バラカのシンボルだったという説。彼が飛行機に描いた馬は、彼の所属する編隊の紋章の一部であったため、彼の飛行機に描かれていた。伝説によれば、ブランド創設者のエンツォ・フェラーリは、カーレースで彼の母親に出会ったという。そして彼女は彼の車に幸運の象徴として馬を描くことを提案したというものだ。
2つ目の説は、この馬はエンツォの弟ディーノの軍隊の紋章に由来するとされているものだ。
ランチア
ランチアという言葉は、創業者であるヴィンチェンツォ・ランチアの名前に由来するが、イタリア語ではランス、つまり槍という意味もある。元々はカットされた槍を示しており、上部にはブランド名を記した旗が掲げられていた。背景には4本スポークのステアリングホイールが描かれている。
しかし、2011年以降、ロゴはどんどん簡素化されていき、世界中のランチスタの悲しみと嘆きを誘った。
アバルト
アバルトのサソリは、創業者カルロ アバルトの干支をあらわしたものだ。赤と黄色は、車のデザインにおけるエネルギーと情熱を象徴するものだ。
カルロ アバルトはオーストリア人として生まれたが、彼はイタリア人にとって文化的資産であるイタリアの自動車の歴史に親しみを感じていた。だからこそ、イタリアの国旗をロゴに欠かしてはいけないのだった。
フィアット
4文字は「Fabbricia Italiana Automobili Torini」の略で、トリノにあるイタリアの自動車工場を意味する。
長い年月をかけて、4つの文字は様々な丸い枠や盾、箱の中に飾られ、多くの場合は花輪などのアールヌーボー的な要素を装飾として取り入れてきた。数回の変更を今まで受けているが、基本色としての赤が再登場したのは、2007年のことで、それ以前は長い間、青だった。
ランボルギーニ
メーカー創設者、フェルッチオ ランボルギーニは、闘牛に情熱を注いでいた。ロゴの中のアグレッシブな雄牛は、セビリアの闘牛のモデルにちなんでデザインされたもので、もちろんスポーツカーのパワーと強さを象徴している。一方で、ゴールドは価値と品質の両方を表現している。
マセラティ
マセラティの代表的なトライデント(三叉槍)は、マセラティの故郷であるボローニャの彫像をモチーフにしている。
水の神ネプチューンが描かれており、マセラティの代表的な記章にはトライデントが含まれている。また、トライデントは力強さとダイナミズムの象徴でもある。
パガーニ
会社の創設者であり、名前の贈り主でもあるホラシオ パガーニは、実はアルゼンチン人だが、モデナで会社を設立した。
ロゴのベースとなっているのは、モータースポーツにも使われているパンチング加工された板金の楕円形。左上には青い三角形があり、その横には線が「P」を形作っているように見える。
車と同じく、パガーニのロゴも手作りだ。アルミの塊から削り出すので、24時間かかる。
Text: Katharina Berndt