1. ホーム
  2. 旧車&ネオクラシック
  3. 新車同然のBMW 325iX(E30) 34年ぶりに発掘される

新車同然のBMW 325iX(E30) 34年ぶりに発掘される

2020年4月27日

このBMW E30は事実上新車だ。34年間でたったの508キロ!

世の中には、たまにこういうまったく走っていない、事実上の新車が発掘されることがある。この希少なBMW325iXは未登録で、走行距離は508キロの、新品同様に良いコンディションだ。現在この3シリーズは販売されている。さて気になるその価格は?

Photo: AUTO BILD MONTAGE SuperVettura

34年前のBMWなのに新品!

現在、イギリスで売りに出ている34年落ちの325iX(E30)は、走行距離がわずか508キロしかない。

特に興味深いのは 1985年、このE30がBMW初の四輪駆動の生産モデルだったことだ。
この非常に特別なBMW 3シリーズは、イギリスのケーニグセグのディーラーであるスーパーベッチュラ(Supervettura)によって販売されている。
通常はケーニグセグ ワン:1やアストンマーティン バルカン、ランボルギーニ レヴェントンのようなハイパーカーを販売しているカーディーラーが、突然、一見普通のBMWを販売しているのはなぜだろうか?
答えは簡単だ。
それはこのBMW 325iXが非常に特別なモデルな上に、以前に登録されたことがなく、事実上新車だからだ。

34年間にたったの510キロ

スーパーベッチュラのセールスマン、ジェームス ハントリー氏は、1986年3月27日に製造されたE30をデンマークで見つけた。それは32台におよぶコレクションのうちの一台であったと説明する。32台の他のクルマは、マクラーレンP1 GTR、フェラーリ エンツォ、フェラーリF50などのクルマで、そのコレクションのすべてを、スーパーベッチュラは交渉の末、コレクターから完全に手に入れることができたのだった。
そして空調の効いた格納庫には、このオリジナルのBMW325iXもそれらの車に並んで置かれていた。
それらのコレクションの多くは、新車で納入され、走行距離も少ないものであったことも報告しておこう。
そのことはもちろんこのE30にも当てはまる。34年後、オドメーターにはわずか508キロが掲示されている。
34で割れば、年間わずか 15 キロだ!

写真では325iXは数日前に工場を出たかのように見える。スーパーベッチュラのセールスマン、ハントリー氏は、「このようなミントコンディションのE30は見たことがありません」と付け加えている。

ご覧のように、このBMW 325iXは、工場出荷時に左のサイドミラーを1つだけ装着している。

325iXは、BMW初の市販4×4だった。

このE30の歴史を辿ろう。
世界一高価なフェラーリを集めている人が、なぜBMW E30を購入し、スーパースポーツカーと同じように熱心に手入れをしたのか?
それは325iXが希少なモデルだからだ。
325iXはBMW初の四輪駆動モデル(iX)で、その走りの良さからアメリカやカナダでは特に人気があった。
欧州バージョンは最近では珍しく、この状態の325iXは世界でも極めて珍しいと言えるだろう。
より一般的な325iとは対照的に、4輪駆動モデルは、わずかにフレアしたホイールアーチとそれに合わせたサイドスカートで識別できる。
パワーユニットは、170馬力、222Nmを発揮する2.5リッター直列6気筒エンジン(M20)によって提供され、5速マニュアルトランスミッションを介して4輪に動力を伝達する。

新品同様。ブルーのドッグトゥース(青い犬の歯)柄のインテリアはほぼ未使用。プラスチックパーツも程度が抜群によさそうだ。

新車時のタイヤまで装着

イギリスに到着すると、このユニークな325iXはBMWのディーラーで試運転を受けた。ハントリー氏によれば、E30はその際に、オイル交換、バッテリー交換等々、徹底的なチェックを受けたという。
すべてが可能な限りオリジナルでなければならないため、34年前のタイヤも保管されていた。
新しいオーナーが本当に325iXを運転したい場合は、タイヤは実際には納車前に交換されるとハントリー氏は言う。

将来の新しいオーナーは、このユニークな325iXが、もちろん決して安くないということは前もって承知しておくべきだ。
スーパーベッチュラは、このBMWに48,000ポンド(約670万円)という値段をつけている。
E30にしてはかなりの金額だが、この325iXがユニークな一台であることは間違いない!
ちなみに34年前、325iXの日本での価格は、533万円だった。

一見普通のE30だが、よーく見ると、オーバーフェンダーがついているのが違い。 当時はヨーロッパではドアミラー、一つだけでも良かった。
パワーウインドーではなく、ウインドレギュレーター。カセットラジオももちろん当時そのまま。エアバックのない、シンプルな形のステアリングホイールが美しい。
オドメーターには508kmの数字が。下のインジケーターも、ちゃんと機能しそうだ(この部分が壊れるのがお決まりだった)。
トランクリッド裏の、HEYCO製の工具もそのまま未使用。そういえば今のBMWにもこういう工具が付いているのだろうか??
本当に数日前に工場から出荷されたと言われてもなんら不思議ではないルックスとコンディションだ。ちょっと高い車高とサイドシル部分のステップもiXを見分けるポイントである。アルミホイールではなく、ホイールキャップなのもシンプルで好ましい

Text: Jan Götze
Photo: Bild: SuperVettura