誰がなんと言おうとあの頃は楽しかった 過去20年のヤングタイマーの価値 その2
2020年4月27日
未来にクラシックになる可能性を持つヤングタイマー×75台
すでに懐かしく、そして楽しい。多くの古い車がスクラップになってしまい、クラシックカーになるのはごくわずかだ。しかし、これらの車は将来クラシックになる可能性を秘めている! 過去20年間のセレクション。
ロータス エリーゼ
ロータス エリーゼ(シリーズ2、2000年から2009年): スポーツカーは、必要不可欠なものに焦点を当てれば、軽くてコンパクトなものが作れるというお手本だ。そして、それが、エリーゼが比較的小型のエンジンを搭載した競合他車を凌駕している理由だ。モデルチェンジしたモデルも2020年に生産中止、なので、こういうプリミティブなロータスが欲しい方は、早めの購入をお勧めする。
Photo: Ronald Sassen
マイバッハ62
マイバッハ62(2002年から2012年): それは、単なるメルセデスを望んでいない人のためのクルマ。Sクラスをベースにしているが、現在のマイバッハよりも品質などは上。ただし各種電子デバイスは古く、現在のCクラス以下。
あえてこれから買うのなら、思い切って長い方(62)買うことをお勧めする。その方が男気ある行為であるから。
Photo: Werk
マツダ121
マツダ121(1991年から1996年):日本名はレビュー。マツダの逞しさとアヒルの個性と開放感を兼ね備えている。また、あえてイースターエッグカラーなどを採用することで、ふっくらとした卵の形を強調している。キャンバストップ付きのセダン、というのはニッチである。まだ地方のショッピングモールの駐車場に行くとたまにみかけるので、示談交渉すれば、エコバック付きで安く売ってもらえるかもしれない。
Photo: Klaus Kuhnigk
マツダRX-8
マツダRX-8(2003年から2011年): 輝かしいフェリックス・ワンケルのレガシーは、最大231馬力のクーペ4ドアとして、ここでその頂点に達した。観音開きドア、そして最後の純粋なロータリーエンジンエンジン駆動の自動車。お求めになるならいまのうちに。
Photo: Lena Barthelmeß
メルセデスSLK
メルセデスSLK(R 170、1996年から2004年): オープンメルセデスがクラシックに成熟しなかった最初のモデルになるかもしれない。ペラペラの薄いシート、安直なハンドリングなども酷評されたものだ。その一方で、大量生産のおかげで、初の手頃な価格のクラシックメルセデスロードスターになる可能性もある(というか、すでに激安状態だが)。
Photo: Thomas Ruddies / AUTO BILD
メルセデスベンツC63 AMG
メルセデスベンツC63 AMG(2011年から): 目立たないCクラスに大型V8エンジン(6.2リッター、457馬力)を積み込んでいる。しかもこの馬力モンスターの後継は今後登場しないだろう。最後のCクラスベースのV8 AMG。程度の良いものは少なくなっているのでお求めになるならお早めに。
Photo: Manufacturer
MGFロードスター
MGFロードスター(1995年から2002年): 乗ってみればFRでなくとも、快適なブリティッシュロードスターが存在し得ることを理解するだろう。あとは、雨漏りがひどいので、遠慮容赦のない雨が降ってこなければいいのだが…。
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD
ミニ クーパー
ミニ クーパー(2001年から2006年): クラシックのニューエディションでさえ、クラシックになりうる。しかしながら台数がものすごく多いことと、言うまでもなく、クラシックミニほどの楽しさも、崇高な設計思想も持ち合わせてはいない。
Photo: Toni Bader
三菱3000GT
三菱3000GT(1990年から2000年): なぜわれわれはもっと早くこのハイテクレーサーの魅力に気づかなかったのだろうか。4輪ステアリング、ターボ 285馬力、そして(ほとんど)90年代のフル装備も備わる。もう三菱からはこういう自動車もでないだろうから、そういう意味でも希少だ。
Photo: Christian Bittmann
ニッサン キューブ
ニッサン キューブ(2008年から2011年): 日本人はクールなシティカーをデザインする方法を我々に教え続ける。例えば、このホイール上のキューブはどこか日本的でありながら、ものすごくディスティンクティブだ。残念ながら販売終了なので、いずれは注目される日本車の一台になるだろう。
Photo: Thomas Ruddies / AUTO BILD
ニッサン マイクラC+C
ニッサン マイクラC+C(2005年から2009年): 小さな折りたたみ式ルーフのコンバーチブルは、「夏はオープン、冬はクローズ」の先駆けの1台だった。しかも、ガラスの屋根まで付いていたのだ! 台数は極端に少ないが、探せばどこかにありそうだ。
Photo: Werk
ニッサン350Z
ニッサン350Z(2002年から2009年): 手頃な価格で、楽しさを追求しながらも、しっかりとした信頼性の高いスポーツカーだ。しかも、その後輪駆動が単純に楽しい。気楽に乗れる大きさを持つ、最後の一台かもしれない。
Photo: Lena Willgalis
オペル アストラGTC
オペル アストラGTC(2006年から2010年): ジェット戦闘機のガラスコックピットのように、おでこの前あたりまでクリアーになっているのは、このジェット戦闘機だけだ。他のブランドが同じ発想でクルマを作る前までは…。
Photo: Christian Bittmann
オペル オメガ キャラバン
オペル オメガ キャラバン(1986年から1993年): オメガAはオペルの空力センセーションであり、このハイパフォーマンスバージョンさえあった大型エステートカーは、破格の安さで存在感を放っている。
Photo: Markus Heimbach
オペル スピードスター
オペル スピードスター(2000年から2005年): ロータス エリーゼのコピーではない。 我々はイグニッションキーにオペルのフラッシュが見えている限り、ロータスが訴訟騒ぎなど起こすことはないと信じている。イベントなどに乗っていくと「なぜこれを選んだの?」と聞かれること請け合い。
Photo: Sven Krieger / AUTO BILD
プジョー208
プジョー208(2012年以降): 208はその性能とデザインにも納得できる真のキャラクターを備えている。その遺伝子の中には、伝説のプジョー205があるのも不思議ではない。激安でタマ数豊富、パーツも捨てるほどある(いまのところは、だが)。
Photo: Uli Sunday
プジョー1007
プジョー1007(2005年から2010年): 屈強なフランス車には、地下鉄のようにユニークなスライドドアの仕組みが採用されている。結構いいアイディアだし、追従する者が出て来てもいいと思うのだが…。
Photo: Werk
プジョー406クーペ
プジョー406クーペ(1997年から2005年): そのクルマから見て取れる美学は、ピニンファリーナのスタイリングがイタリア車だけを着飾るだけではないことを示している。プジョーがピニンファリーナとのコラボレーションで作った、最後の美しいクルマだ。
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD
ルノー スポール スパイダー
ルノー スポール スパイダー(1995年から1999年): ルノーがシザーズドアを備えた窓のないカップレーサーを二度と道路に出すことはないだろう。賭けてもいい。乗る時には必ずフルフェイスヘルメットと、完全対策の雨具をお忘れなく。
Photo: Götz von Sternenfels / AUTO BILD
ルノー ヴェルサティス
ルノー ヴェルサティス(2002年から2009年): 個人主義者と美学者以外には、ルノー ヴェルサティスの目的を理解している者はいなかった。だが、そのデザインは、ビジネスクラスの他のすべての代表的なものを凌駕していた。ルノー最後の大型高級車だ。
Photo: Werk
ルノー ラグナ クーペ
ルノー ラグナ クーペ(2008年から2015年): 売るのが難しいエレガントなクーペはフランスの名物だが、ルノーからは滅多に出てこない。また、残念ながら日本には生息していなので、中古車サイトで探してもおそらく見つかることはないだろう。
Photo: Toni Bader
ルノー クリオV6 24V
ルノー クリオV6 24V(2003年から2004年): クリオV6 24Vはかつて世界最速の市販小型車だった。ポロクラスの車に254馬力のミッドエンジンなんて狂気の沙汰だ。
Photo: Uli Sonntag / Car Photo
ルノー アヴァンタイム
ルノー アヴァンタイム(2001年から2003年): シトロエン アミ6やタルボ タゴラ以来、フランス人がエッジの効いた車を作るのは伝統となっている。しかし、こんなクーペは二度と世の中に戻ってこない! フランス車の歴史という話題では、必ず取り上げられる一台なので、激安でみかけたら捕獲することをお勧めする。コーナリング性能などは写真で見る通り、期待できないが…。この車はスタイリングと存在感がすべてなのだ。
Photo: Toni Bader
ルノー トゥインゴ
ルノー トゥインゴ(1993年から2007年): キャンバスの屋根を持つモデルもあるフランス発の好感の持てるデザインは、パトリック ルケモンの代表作だ。内容はしっかりした本物のルノーで基本的には丈夫。内装も雲の模様のものや、KENZOのバージョンもあった(後ろの壁は、どういうわけか、ポール・スミスなのはご愛敬)。
Photo: Werk
サーブ900カブリオ
サーブ900カブリオ(1993年から1998年): オープントップのスウェーデン車は、オペル ベクトラをベースにしているにもかかわらず、その特徴の強い先代モデルが100パーセントしっかりとした手の中にある限り、最良の選択肢となるであろう。
Photo: Werk
スマート フォーツー クーペ
スマート フォーツー クーペ(1998年から2007年): 日常の何気ない風景は独自の魅力を持つ初代スマートの登場で一変した。特にこの最初のモデルは、MOMA(NY近代美術館)にも収蔵されるほどのデザイン性を持つ。
Photo: Sven Krieger
スマート クロスブレード
スマート クロスブレード(2002年から2003年): 最近、ようやく半分くらいの価格になってきたが、そのうち高価なコレクターズアイテムになること間違いないだろう。もはやドアと、ウインドーシールドのない自動車など、どこの先進国も許可しないだろうから。
Photo: Stephanie Gehrt
スマート ロードスター
スマート ロードスター(2003年から2005年): 存在をすぐに忘れ去られがちだが、センセーショナルに楽しいロードスターは変わらない。こんな大きさの自動車が本当は一番楽しいのだが。電気自動車などで復活したら人気がでるかもしれない1台だ。
Photo: Thomas Ruddies / AUTO BILD
スバル インプレッサWRX STi
スバル インプレッサWRX Sti(2001年から2007年): ブルーメタリックの小さな280馬力の全輪獣、巨大なスポイラーと金色のホイールは、純粋にカルト的だ。スバルがこういうクルマをもう出すことは金輪際ないのだろうか? そう考えるとより貴重だ。Photo: SUBARU
スバルSVX
スバルSVX(1992年から1997年): ポルシェはこの6気筒ボクサーを現行エンジンのモデルとした。斜めのサイドウインドーと四輪駆動を採用している! デザインは、もちろん(?)ジウジアーロだ。最初にこのウインドーグラフフィックを見たデザイナーや生産担当者は歓喜のあまり泣いたそうである。
Photo: Thomas Ruddies
スズキ ヴィタラX-90
スズキ ヴィタラX-90(1996年から1998年): 2シートとリアウイングでオフロード? このスタイルが何も恥ずかしくないなら、かっ飛ばせ。
しかし今のスズキだったら、絶対に開発書に、承認のハンコが押されないはず。そう考えると大変貴重。
Photo: Wolfgang Blaube
トヨタGT86
トヨタGT 86(2012年から): セリカの伝統を受け継ぎ、80年代のワイルドなスポーツカーのフィーリングを取り戻した。後輪駆動で、高回転200馬力のボクサーエンジンで、重量はわずか1240キロ。
まだまだ普通にトヨタのお店で買えるが、30年も大切に乗っていれば、きっとその頃には、かつての86のように珍重される…はず。
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD
VWニュービートル カブリオ
VWニュービートル カブリオ(2003年から2010年): その歴史的なオリジナルのように、それはのんきで、気取らず、穏やかなオープントップのドライビングを提供する。そして、「かわいい」と思われている車は、ほとんどの場合、クラシックへと成熟していく。
価格も現在底値だし、こんな車をファミリーカーとして気楽に乗ってみてはいかがだろうか? 中身はともかく、おしゃれなことは確かだ。
Photo: Werk
VWゴルフ4 R32
VWゴルフ4 R32(2002年から2004年): それは、頑丈で、信頼性が高く、耐久性を備えているシンプルなVWゴルフ4に、背中のほうから衝撃的なパワーを感じるラリーカーのような走りで感動のショットを与えた。いつの時代もRというのは特別な車、ではある。普通のゴルフの2倍もするのだから。
Photo: Roman Raetzke
VWパサートW8
VWパサートW8(2001年から2004年): ミッドレンジサルーンのボンネットの下の8気筒がセクシー。今までこの組み合わせは存在しなかった。その上、W8ヴァリアントまである! 世界的にも稀なWエンジン。ピエヒのこだわりを理解できるあなたに。内装も、ちょっとだけ豪華だ。
Photo: Toni Bader / AUTO BILD
VWフェートン
VWフェートン(2002年から2016年): 最初で最後の高級クラスの大型フォルクスワーゲン。ヴォルフスブルクのメガロマニアの甘い誘惑。アウディA8ではなく、あえてこれを乗るという気骨な気持ちが男気だろう。
Photo: Thomas Ruddies
ボルボC30
ボルボC30(2006年から2012年): それは、コンパクトクラスへのスウェーデンからの再参入だった。テールゲートは伝説の「白雪姫の棺」、P1800ESを正確に引用している。そして、フォード フォーカスSTとRSに強力な5気筒エンジンを与えた。SUVメーカーまっしぐらなボルボだが、だからこそこういうコンパクトカーもあったという歴史的な一台となろう。
Photo: Thomas Ruddies
ボルボC70
ボルボC70(1997年から2002年): かなり高い新車価格(当時)は、最初から希少性を保証。そして、このデザインは、ボルボが必ずしもタイヤを装着しただけの何の変哲もない北欧の乗り物ではないことを証明している。内装などもなかなかおしゃれだし、今後、もうこういうボルボは出ない可能性が高いので、そういう意味でも貴重だ。
Photo: Holger New
Text: Lars Hänsch-Petersen