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その名の通りルビコン川でも渡れるSUV ジープ ラングラー ルビコン392をテストドライブ その性能と乗り心地をレポート!

2022年11月14日

V8ジープの魅力。6.4リッターV8搭載ジープ ラングラー ルビコン392 – それはヨーロッパでも多くのジープファンが望む1台だ。我々はルビコンに試乗してみた。そのインプレッション!

大音量で鳴り響くV8、太いMTタイヤ、そしてオフロードではオーナーが誰にも何も証明する必要のない「ルビコン」のフル装備。これがジープの作ったV8モデルだ。少し怖いような、心地よいような・・・。

「ラングラー ルビコン392」は、70年代と80年代の伝説的な「CJ-7」に近いモデルだ。この数字は排気量(立方インチ)を表し、1957年からドラッグストリップの恐怖をクライスラーに与えた伝説の「392ヘミ8気筒エンジン(なんと排気量6.4リッター)」を彷彿とさせる。

「ラングラー392」は、アメリカではジープのレギュラーモデルとして、本国でも定価以上で取引されることが多いモデルだ。ちなみに欧州では、ステランティスブランドは、「V8ラングラー」は提供していない。CO2ペナルティで課徴金を課されるからだ。そして、フリート排出量を削減できる電気自動車は、このメーカーからは提供されていないのだ。

ドイツのチューナー、パルモモービルパフォーマンスは、タンジェリンカラーのレザーをベントレーのサプライヤーから仕入れたナッパレザーに換装した。

その結果、ヨーロッパでは、ラングラーにはハイブリッド化された2.0リッターターボガソリンエンジンのみが設定されることになった。V6ディーゼルでさえ、高価なグラディエーターピックアップにしか設定されていない。V6かV8ガソリンエンジンか?それらは古美術品としてのみ入手可能だ。

パルモモービルパフォーマンスがV8ラングラーをドイツに持ち込む

今回試乗したV8ラングラーをドイツに持ち込んだのは、オスナブリュック近郊のメレにあるパルモモービルパフォーマンス(Palmo-Mobil-Performance)社である。モーターホームファンにとって、パルモという名前は馴染みがあるはずだ。

創業者のオリバー パルモースキーは、ビーレフェルトとマグデブルクのモーターホームセンターで育った家族経営の会社出身だ。2010年には、このジープが販売されているメレ市に、スポーツカーやエキゾチックカーを販売・改良するためのファクトリーを設立した。

BFグッドリッチ社のMTタイヤが貢献し、地上高は262mmと侮れない。時速100kmで飛び立つジェット機のような音がするオフロードタイヤとは異なり、比較的静かに転がるのが特徴だ。

多くのジーパー(Jeeper)たちが望むV8エンジン。6.4リッターV8、トルクは637Nmとカジュアル。

マッスルカーのようなヘミエンジン音、リスキーなオーバーパワー。セントラルカムシャフト、プッシュロッド、油圧式バルブラッシュアジャスター、可変バルブタイミング(VVT)など、現代的な要素を盛り込んだエンジンである。

ルビコンは重く、充実していると感じる

心地よく回る8気筒エンジンは、期待通りの力強さを持ちながら、より快適なクルージングを楽しめるようになっている。100km/hまでは、同じ2000rpmで回転する。エンジンはペダルの踏み込みに少し遅れて反応するが、その後は快調に回転を上げ、CJの旧型AMC製8気筒よりもはるかに楽しく、V2スポーツバイクのように脈打つ。

ハーレーダビッドソンのエレクトラグライドを4輪にしたような、重厚感のあるクルマだ。耐久性のあるクルマが好きな人にとって、このオフロード車は魅力的に見えるに違いない。

今回試乗した「ラングラー ルビコン392」は、電動ロールアップルーフ付きでベース価格約13万ユーロ(約1,900万円)と高価だ。ロックスターRSXの特別仕様車「パルモ」では、さらに45,000ユーロ(約650万円)のリファインコストが追加される。そのオプション価格の半分弱が、キルティングやロゴなど、「タンジェリン」カラーのレザーワークの分だ。

ジープ本体にロックスター版があるわけではなく、ロゴはコンバーターのイマジネーションから生まれたものだ。

さらに、標準状態で未塗装の部品はすべてボディカラーまたはツートンカラーに塗装され、邪悪な印象を与えるラジエーターグリル、BFグッドリンチ33×12.5 MTタイヤを装着したKMC製の17インチアルミホイール、ドイツのサプライヤー、バワリオン製のイルミネーション付き電動ランニングボード、ボディカラーの特製ルーフスポイラー、ダークテールランプとウインカー、インテリアのアルミスイッチ、アルミスピーカーとベンチレーションノズルカバーなどが採用されている。インテリアだけでも約100点のカーボンルックパーツがあると言われている。

V8ラングラーの価格は175,000ユーロ(約2,500万円)

「このWranglerに使用されているナッパレザーは、ベントレーが入手しているところから調達しています」とオリバー パルモースキーは語る。「革の加工は、ルール地方の工場にお願いしています。マクラーレン、ランボルギーニ、フェラーリ、ベントレー、ロールスロイスなど、高級車を専門に扱っていて、彼らは私たちのために専用のモーターホームも作ってくれています」。

パルモは、シリーズのグレーブラックの実用性を排除し、カーボンルックのプラスチックや、エアベントやスピーカーの装飾的なアルミカバーを採用している。

そのような装備により、価格は175,000ユーロ(約2,500万円)にまで加算されるのだ。そして、「RockStar RSX」のロゴは、このジープだけでなく、パルモの特別なモーターホーム、つまり四輪駆動のモーターホームにもデザインされているものだ。

RockStar RSXのロゴは、モーターホーム業界のディーラー兼チューナーであるPalmo社でも、ラグジュアリーにカスタマイズされた四輪駆動モーターホームのロゴとして使用されている。

V8の米国標準消費量は16リッター

「ラングラー ルビコン」の高いシートから、なぜEUでは欲しいクルマが買えないのか?と考えてしまう。そして、なぜメーカーは、一般のお客様が読むと胃が痛くなるような複雑な車を販売せざるを得ないのだろうか。

確かに、V8の米国標準の消費量はリッターあたり6.2kmだ。しかし、今回販売する2リッターターボを搭載したプラグインハイブリッド4xeは、純電動で41km走れるようになっている。

もし、インポーターを訪ね、6桁の金額を支払う意思と能力があれば、今回のようなモデルもヨーロッパにおいて購入できるのだ。

テクニカルデータ&価格: ジープ ラングラー ルビコン392
• パワーユニット: V8ガソリンエンジン、フロント縦置き
• 排気量: 6417cc
• 最高出力: 476PS@6000rpm
• 最大トルク: 637Nm@4300rpm
• サスペンション: コイルスプリング付リジッドアクスル
• タイヤサイズ: 275/70 R 17
• トランスミッション: オフロード用ギアリダクション付8速トルクコンバーターオートマチック
• 駆動方式: 全輪駆動/多板クラッチによる動力配分、手動ロック可能
• 全長/全幅/全高: 4785/1875/1892mm
• 地上高: 262mm
• 最大積載量: 1908リットル
• 乾燥重量: 2315kg
• 牽引力: 1587kg
• 0-100 km/h加速: 4.8秒
• 最高速度: 160km/h
• 平均燃費: 6.2km/ℓ
• CO2排出量: 367g/km
• 価格: 130,000ユーロ(約1,900万円)より

【ABJのコメント】
やっぱりなんだかんだ言っても、世の中にはV8エンジンや大排気量のエンジンが好きな人が多い。もちろんアメリカにはそういう人がたくさんいるし、日本にももちろんそういうシンパはたくさん存在している。環境コンシャスだ、BEV化まっしぐらだと言われているヨーロッパにだって、もちろん内燃機関の愛好家や、マルチシリンダーの信仰者はまだまだ多いはずで、そういう人たちにとっては、V8エンジンのないジープなんて、ということなのだろう(余談ながら、マツダが精魂込めて開発した新しい直列6気筒ディーゼルエンジンモデルは、アメリカ・ヨーロッパには輸出されずに、日本だけに限定されるのだという。そんなニュースを聞くとなんだか切なくなってしまう時代である)。

今回の「ルビコン392」はそんな方のために、「こっそり、ひっそり」輸入したような並行モノに、さらに豪華な内装外装を与えたというスペシャルなV8エンジンジープである。さすがにここまで手が込んだ内装などを付けると、ざっと2,000万円近くになるが、オリジナルの「ルビコン」も、普通に売られてる状態でも、もはやかなりのプライスをつけているので、いたしかたない価格なのだと思う。そしていつまでもこういうモデルが販売されて、普通に購入できるかというと、そのタイムリミットも明らかに近づいている。自分の好きな自動車(お金さえなんとかなれば)を、自由に購入できる時代、それはあとどれぐらいの期間残されているのだろうか・・・。(KO)

Text: Rolf Klein
加筆: 大林晃平
Photo: Stellantis N.V.