希少なマイバッハ クーペ「マイバッハ57S ザナテック クルーゼリオ(Xenatec Cruserio 2011)」 作られた11台のうちの1台が売りに出た!
2020年4月25日
マイバッハには今までのところ、2ドアクーペはラインアップされていない。だがここにある車は、ザナテックというコーチビルダーが作った2ドアクーペだ。
純粋な意味での贅沢品、ザナテックのマイバッハ57Sクーペ。長さがほぼ6メートル、2つのドアしかなく、現在の価格は800,000ユーロ(約9600万円)だ。製造された11台のうちの1台が今販売されている。マイバッハ自身は57Sをクーペとして作っていない。このことは美意識の高い富裕層にとっては残念なことだった。そこでバイエルン州シュヴァーベンのザナテック社はこのニーズに対応し、マイバッハのリムジンからドアを2枚、削り取った。
クーペは、基本的な車両の贅沢さを少しも失うことはなかった。顧客の要望に応じ、クルーゼリオと呼ばれる11台の特別仕様の豪華なオーダーメイドクーペバージョンが誕生した。1台当たりの価格?
約80万ユーロ(約9600万円)だ! その11台の中の1台が、現在、ドイツのニーダーザクセン州のホルマンインターナショナルで販売されている。
低いルーフと広いフェンダー
ザナテックによるマイバッハ57S のクーペへの改造で、最も顕著な変化はもちろん、欠けている左右のリアドアだ。そして、新しいフロントドアに加えて、カスタムメイドのウィンドーと新しいバンパーを備えた新しいインテリアがあり、Bピラーも後方に20センチ移動された。リアフェンダーも、20ミリ拡張された。加えて、現在販売されているクルーゼリオバージョンは、固定ハブキャップ、多層パールホワイトペイント、マットボディアクセントの22インチホイールも装着されている。
細かい点での不満を言わせてもらえば、Bピラーが固定されていて、下げることができないことは残念だ。これはねじり剛性を確保するためのものだが、風通しの良いインテリア感を損なう。しかし、全体的に最終的な結果は満足のいくものに仕上がっていてクールだ。5.73メートルという驚異的な長さのクーペは、サルーンと同じくらいの長さで、ロールスロイスのファントム クーペよりも10センチ以上長い。クーペを担当したデザイナーのフレデリック ブルクハルトは、マイバッハ エクセレロのワンオフモデルをデザインしたことでも知られる。
インテリアは白と青のオアシス
インテリアは、ただただ息を呑むような美しさだ。
クルーゼリオは、ホワイトと濃いブルーのレザーで完全に包まれ、コントラストカラーの縫い目とパイピングが施されている。そして厚手のカーペット、ウッド、ピアノラッカー、カーボンによって豪華さを増している。加えて、ルーフには調光可能なガラスが使用されている。
クラシックな運転手付きサルーンとしてのマイバッハ57Sのリアには想像できるすべての贅沢が備わっているが、不思議なことに、このことはクーペでも変わっていない。
マッサージ機能を備えた2つの完全電動、換気、暖房システム付き個別シートが後席の乗客をもてなす。どちらにも独自のクライメートゾーンマップと、DVD、テレビ、音楽機能を備えたインフォテイメントスクリーンが備わっている。
サルーンと同様に、見出しの3つの計器が速度、時間、外気温に関する情報を表示する。
後席中央の冷蔵庫は、シャンパンを適温に保つ。
またザナテック製クーペは、電動フォールディング機能付きの新型シートベルト一体型フロントシートを採用し、後席への乗降性も向上させている。
ただし、ルーフラインが傾斜しているため、後席のヘッドルームの広さはかなり制限されていそうだ。
リヤシートには、現行Sクラス(の最初期)モデルにオプション設定されていたタイプのテーブルも備わる。一般人には、この状態で、つるつるのテーブル上で何をしたらいいのか、さっぱりわからないが…。先代レクサスにあったような、白と青いコーディネート。やはりこういう思い切り派手な組み合わせが、大金持ちにはたまらないのだろうか。
612馬力12気筒
ザナテックはエンジンには手を加えなかった。しかしもともと6リッターツインターボV12は612馬力と1000Nmのトルクを備えているので、それ以上のパワーを必要とする場合はほとんどない。2.7トン(重い!)のクーペは、わずか5秒で100km/hにまで加速し、最高速275km/hまで一気に加速する。
我々のテストでは、この後輪駆動車はドリフトしてみたくなるようなドライビングパフォーマンスを発揮した。
ディーラーによると、このザナテック クルーゼリオは、11台のうち、3番目に作られたモデルだとのこと。
それは最初にサウジアラビアの購入者のもとへ届けられ、そこで30,835キロ走行した(けっこう、ちゃんと乗っていたということだ!)。
余談ながら一言。
フロントフェイスが変わらない限り、どこから見てもメルセデスだ。どうしてそこがわからないのか理解に苦しむ。
たくさんおお金をつぎ込んでチューニングするなら、まずはグリルを換えるべきだろう(近い将来デビューするマイバッハSUVを含めて)。
ボンネットのエンブレムを換えただけではマイバッハとは呼べない。
それともあえてメルセデスが好きな人々をターゲットにしているのだろうか。
マイバッハの格調と気品の高さはどこにもないと思うのはわたしだけだろうか。
Text: Moritz Doka
Photo: Hollmann International GmbH & Co. KG