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空飛ぶ絨毯? プラグインハイブリッドC5に初試乗 新型シトロエンC5エアクロス ハイブリッド225のインプレッション

2022年11月8日

空飛ぶ絨毯のようなダブルハート。そんなシトロエンC5エアクロスハイブリッドのテスト走行を行った。

『千一夜物語』の童話に登場する空飛ぶじゅうたんは、このところフランスにはなかった。しかし、そんなおとぎ話のようなクルマをシトロエンが「C5エアクロス」で、しかもプラグインハイブリッドとしてラインナップしていると言われている。

実際、テストでは全長4.50mのSUVがアスファルトの上を浮いているのではないかと思うほど、スムーズにスプリングアウトとインを繰り返すことができたのだ。石畳の上でも、デコボコした荒々しい乗り心地は、ほんの少ししか乗客に伝わらない。油圧制御のダンパーと鋼鉄製スプリングの組み合わせによって、路面によっては段差の大きさに応じて「C5」は少しバンピーな感じがするのだ。

少し不器用: スポーティな走りはC5エアクロスの得意とするところではない。道路の曲がり角では、車体が揺れる。

快適性を追求したC5

「エアクロス」は、変化の激しいカーブでステアリングを握ると不安定になる。カーブに侵入するとボディが揺れ始めて1.8トンを超える重量が外側に不快なほど押し出されるのだ。しかし、言うまでもなく「C5」は、スクランブラーでもスポーツカーでもない、必要なものは持っている。

プラグインハイブリッドとして、システム出力224馬力、最大トルク360Nmを発揮する。181馬力の1.6リッター4気筒と110馬力の電動モーターは、ともにシングルモードまたは併用で前輪を駆動するため、スポーティな走行やラフロード走行にはトラクションが不足しているように感じられる。

信号待ちで発進するときも、加速は控えめだ。ツインパックで燃焼させると、停止状態から8.9秒後に100km/hに到達する。音響的に我慢すれば、一般道では最高225km/hの速度に達することができる。たとえ、そのような速度で13.2kWhのバッテリーの容量をすぐに使い切ってしまったとしても、だ。

優柔不断。電子回路は、内燃機関と電気モーターの間でどのように仕事を配分すればよいのか、必ずしも正確に把握しているわけではない。

走行中の目立った揺れは、8速ATのせいではなく、電動モーターと内燃エンジンが電子制御で最適な方法を一緒に考える瞬間のせいだ。40%の電気シェアを持つシェアモードでの100キロ走行に必要なエネルギーは燃料5.6リッター、電気9.0kWhだが、4気筒エンジンの走行モードでは平均9.3リッターを消費し、経済的とは言い難い状況だ。

最低でも43,350ユーロ(約625万円)するC5エアクロスはプラグインハイブリッドであり、シトロエンは電気だけで61kmの航続距離を約束しているが、実測48km、消費電力22.5kWh/100kmというのが我々のテスト結果だった。それでも「C5」はデータシートの入力で補助金の対象となり、購入者は3,750ユーロ(約55万円)を節約することができる。

7.4kWの急速充電

充電は標準3.7kWで、家庭用コンセントで7時間を要す。オプションで7.4kWのオンボード充電器があり、公共のAC充電ステーションや対応するウォールボックスでの充電時間を約3時間半に短縮することができる。

走行中、ローリングやブレーキのエネルギーも、もちろん回生時にバッテリーに伝達される。エネルギー回収と停止の切り替えがもう少し調和しているといいのだが・・・、今のままでは、エアクロスはいつも交差点で少しギクシャクしてしまう。

すべての乗客が気持ちよく過ごせる雰囲気がある。特に前席のコンフォートシートは、その名に恥じないものだ。

すべての乗客が快適に過ごせるように

「C5」への乗り込みは楽なものである。ドアは大きく開き、ドライバーと助手席はシトロエンが言うところの「コンフォートシート」、2列目の乗客は3つの独立したシートで過ごすことができる。シートは下にバッテリーがあるため、少し高くなっている。しかし、「エアクロス」の全高は1.69mと十分に高いので、背の高い人でも頭を入れるスペースは確保されている。さらに、シートが縦方向に15cm移動できるのも魅力だ。

シトロエンC5エアクロスハイブリッド225
本体: 心地よい広さ感、スライド式シートによる後席の可変性、バッテリーが下回りにあるにもかかわらず、きちんとしたラゲッジルーム。
5点中3.5点
パワートレイン: パワフルな4気筒エンジン、電動アシストなしでも十分な性能、十分なシステム性能、パワートレイン切り替えの際の揺れ。
5点中3.5点
ドライビングダイナミクス: 感じないステアリング、非常に快適なサスペンション、コーナーでの深いロール、前輪駆動のみ。
5点中3点
コネクティッドカー: 理解力に問題のある音声操作、工夫のないデジタルディスプレイでのプレゼンテーションやメニューナビゲーション。
5点中3点
環境: 排出ガスのない電気による走行はわずか48kmでしかない。リサイクル使用ではない材料を使用。
5点中3点
快適性: 非常に快適なサスペンション、非常に快適なシート、縦に移動できる後部の3つの個別シート。
5点中4点
費用: WLTP仕様による電気航続距離の確保、納得のエントリー価格、2年保証のみ。

インテリアとの相性も抜群で、個性的なデザインでありながら、ほとんど上品な仕上がりになっている。キルティングステッチ、イミテーションレザー、クロームトリム、そして非常に手触りの良いプラスチックパーツがある。以下、ハイブリッドシトロエンの詳細は、フォトギャラリーでどうぞ。

シトロエンC5エアクロス ハイブリッド225の試乗記

プラグインハイブリッドは、冷静になるように教育しているのだ。特に、できたての「C5エアクロス」のように、ソフトウェーブに乗っているときは。
全長4.50mのコンパクトSUVは、テストではアスファルトの道路に浮いているのではないかと思うほど、スムーズにスプリングアウトとインを行うことができた。石畳の上でも、凸凹はほんの少ししか乗客に伝わらない。油圧制御のダンパーと鋼鉄製スプリングの組み合わせに連続して段差が当たるところだけ、SUVは少しバンピーな感じがするのだ。変化の激しいカーブでステアリングを握ると不安定になる。
特に、手応えもないハンドリング。「C5 エアクロス」は、スクランブラーでもスポーツカーでもない、必要なものを持っているのだ。
プラグインハイブリッドとして、システム出力224馬力、最大トルク360Nmを発揮する。181馬力の1.6リッター4気筒と110馬力の電動モーターは、いずれも前輪を単独または併用して駆動するので、スポーティなライディングやラフロードの走行では物足りなさを感じることがある。ツインパックで燃焼させると、停止状態から8.9秒後に100km/hに到達する。
ちなみに、走行中の目立った揺れは、8速ATのせいではなく、電動モーターと内燃エンジンが電子回路とともに最適な動作をする瞬間のものだそうだ。
40%の電気シェアを持つシェアモードでの100キロ走行に必要なエネルギーは燃料5.6リッター、電気9.0kWhだが、4気筒エンジンの走行モードでは平均9.3リッターを消費し、経済的とは言い難い状況だ。最低でも43,350ユーロ(約625万円)する「C5エアクロス」は電気モーターだけで61kmの航続距離を謳っているが、今回のテストでは実測48km、推定消費電力22.5kWh/100kmだった。
充電は標準3.7kWで、家庭用コンセントで7時間だ。オプションで7.4kWのオンボード充電器があり、公共のAC充電ステーションや対応するウォールボックスでの充電時間を約3時間半に短縮することができる。
走行中、ローリングやブレーキのエネルギーは、もちろん回生時にバッテリーにも伝達される。エネルギー回収と停止の切り替えがもう少し調和しているといいのだが。そのままでは、エアクロスはいつも交差点で少し不器用につまずく。
フランス車への乗り込みは、乗客にとって決して気まずいものではない。ドアは大きく開き、ドライバーと助手席はシトロエンが言うところの「コンフォートシート」、2列目の乗客は3つの独立したシートで過ごすことができる。シートは下にバッテリーがあるため、少し高くなっている。しかし、「エアクロス」の全高は1.69mと十分に高いので、背の高い人でも頭を入れるスペースは確保されている。さらに、シートが縦方向に15cm移動できるのも魅力だ。
プラグインハイブリッドのトランクは600~1630リットルの容量がある。シトロエンは、荷物の整理整頓のために、ダブルローディングフロアの下に小さなコンパートメントを隠し、例えば、充電ケーブルを収納できるようにした。インテリアは、そのすべてが快適で、相変わらず特異なデザインでありながら、上品な雰囲気を漂わせてい。キルティングの縫い目、レザー、クロームトリム、プラスチックパーツなど、手触りの良いものが揃っている。
実際の操作は、ダッシュボード上の3分割された、したがって非常に小さく見える10インチのタッチスクリーンでしか行えないのが残念だ。もちろん、音声コントロールも可能だ。しかし、他の多くの製品同様、どこか鈍感なところがある。Apple CarPlayまたはAndroid Autoを代替品として使用することができる。

結論:
「VWティグアン」のようなサイズのSUVをお探しなら、「シトロエンC5エアクロス」はなかなか良い選択肢だろう。フォルクスワーゲンのラインナップでは対象のプラグインハイブリッド車として販売されなくなったからだ。「シトロエンC5」は48kmの距離ではあるが、ゼロエミッションで走ることも、パワフルなガソリンエンジンで長距離を走ることも可能だ。
AUTO BILDテストスコア: 3+

【ABJのコメント】
今回のAUTO BILDのレポートを読んで感じたことは、なかなか辛口な評価だ、ということだった。最近のシトロエンはどれも評価が高く、「なんともシトロエンらしい」と喜んでレポートにも記されることが多いため、今回の「C5エアクロス」も期待を持って読んだのだが、意外や意外であった。

だが今回の「C5エアクロス」はプラグインハイブリッドモデルとしては過渡的な性能(洗練さや完成度を含め)だし、ちょっとした煮ツメが不足しているのかな、とも思った。

今のシトロエンのラインナップには「C3」があり、「C3エアクロス」もある。その上には「C4」と「C5X」、そうそう、そして「ベルランゴ」もあり、今回の「C5エアクロス」もそこに加わり、ここまでで6種類である。また他ブランドではあるが「DS3クロスバック」と「DS4」と「DS7クロスバック」と「DS9」もあるし、それに輪をかけたように、それぞれのブランドには、BEVモデルとハイブリッドシステム搭載モデルとディーゼルエンジンモデルが複雑に存在し組み合わせられる・・・。これはなんとも種類が多い状況である。開発が間に合わなかったり、熟成がなされぬまま登場したりしてしまうことも予想されるような状況といえよう(なにしろシトロエンとDSを足すと両方で10モデルものラインアップなのだから)。

そう考えるならば、少し時間がたてば、今回の「C5エアクロス」も完成度が高まり、評価が上昇するのではないか、と期待してしまうが、これだけ多いと選ぶほうもよほど自分のライフスタイルや予算を明確にしておかないと悩みの無間地獄に陥りそうである。

だが悩むほどのラインアップをシトロエン(及びDS)が持っているということを、フランス車ファンは嬉しく思うべきなのかもしれない・・・。(KO)

Text: Berend Sanders and Holger Preiss
加筆: 大林晃平
Photo: Stellantis N.V.