ピックアップトラックの王者 フォードF-150ラプター チューンナップモデル

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フォードF-150ミルスペック(2020): V8、ラプター、ピックアップ、価格

このピックアップトラックはオフロードの獣だ。フォードF-150は、500馬力以上のV8を搭載し、少なくとも85,000ドル(約930万円)する。このモデルに比べれば、F-150の高性能版である、ラプターでさえ退屈に感じる!

フォード F150といえば、長年アメリカでもっとも販売台数の多い自動車である。各種作業や物流のプロも、また一般家庭で使う運搬車としても税金が安いために、ごく普通に購入され、ごく普通の自動車として愛されることが多い。アメリカとはそういう国なのである。
そんなF150 にアメリカのチューナー、ミルスペック(Mil-Spec)は、フォードF-150の高性能モデルたる、ラプターのスーパーチャージャーV6をV8に載せ換え、猛威を振るうピックアップトラックの獣に作り替えた。5リッターV8エンジンはラプターよりも50馬力多い507馬力を発揮する。これはBMW M5 E60と同じくらいの馬力だ! しかし、チューナーはまだこれで満足しているわけではない。

2.6トンにもかかわらずスポーツカー並みの加速

ミルスペックF-150は、何でもできて、どこへでも行けるスーパートラックだ。2.6トンのトラックは、おそらくどんな路面でも0から100km/hまで5.7秒で加速、177km/hのトップスピードはアメリカでは十分すぎるパワーだ。
しかし、V8は幸せへの第一歩に過ぎない。
オプションとして、チューナーはフォックスレーシングパーツを使ったバハ(Baja)製パフォーマンスサスペンションを提供している。これにより、サスペンションの弾力幅は279mmとなり、トレッドの幅はノーマルのF-150よりも343mm広くなっている。

バハ製の足回りによって、オフロードでのラフなドライビングもまったく問題ない。

もっともっとたくましいのが好きな人のために、完全に調整可能なオフロードコイルオーバーサスペンションが用意されている。これには、アイバッハスプリングや外部拡張タンク付きバイパスダンパーが含まれる。
ピックアップには東洋タイヤの子会社、Nitto製のオフロードタイヤが20インチのホイールに取り付けられており、LEDのライトシステムが明るく道路を照らす。
排気ガスは、デュアルフロー排気システムを介して外部に排出され、またパウダーコーティングされたランニングボードにより、乗りやすくなっているという。
また、より頑丈な外観のために、ミルスペックではバハ製のエクステリアキットを提供している。
さらには、ルーフラック、ローディングエリアにスペアホイールホルダー、ルーフに幅990 mmのLEDライトストリップといったチューンナップキットが用意されている。
そして、バハ製のフロントとリアのバンパーはスチール製で、つやけしのマットパウダーコーティングが施されたものだ。

オプションのスペアタイヤは、荷室に設置されているため、スペースを取られてしまっているが、見た目はとてもかっこいい。上部のハイマウントライト類ももちろんLED。

プラス2気筒で25.000ユーロ

チューナーは、レザーシート、マグネシウム製のシフトパドル、アルミニウム製のコントロールボタン、センタートンネル内のプレートなど、パッセンジャーセルも強化している。完全な車両は、ほぼ79,000ユーロ(約9,300万円)から入手可能だ。
バハ製キットを選択した場合には、これに約13,500ユーロ(約160万円)が追加される。
アメリカでは、457馬力のラプターは、約54,000ユーロ(約650万円)で入手できる。しかし、それは小さいV6で我慢しなければならず、V8はフォードオリジナルのラインナップにはない。
ちなみにミルスペックはハマーH1のチューニングもやっている。
チューナーの名前ミルスペック(Mil-Spec)自体がアメリカ軍の規格(Military Standard)を総称したものから流用されたものだ。

インテリアには、3色のレザー張りが用意されているが、比較的地味と言えよう。センターコンソール上に、特別製をあらわすバッジが貼られている。
山道でもフリーウェイでも、こんな車に後ろから迫られたら、迷わず道を譲ってしまうだろう。ライトの配列などは「未知との遭遇」のUFOのようだ。

Text: Moritz Doka
Photo: Mil-Spec Automotive