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ほっこり比較テスト シトロエン2CV対ルノー4対フィアット500

2020年4月22日

多くの人々に愛され続けた三台のキュートな小型車比較テスト? 勝者は?

シンプルなこと、それはしばしば私たちが人生において最も楽しめるものだったりする。
このトリオは間違いなくそのうちの一つだ。クラシックな存在となって久しいシトロエン2CV、ルノー4(キャトル)、フィアット500(チンクエチェント)は、人々に基本的な自動車の魅力を提供する。それは本当に素晴らしいことだ。さて、どのモデルがどのようにいいか、試してみよう。

フィアット500、シトロエン2CV、そしてルノー4という60年代の代表小型車3台を現代の路上で過酷な比較テストをする。
最も頑丈なボディワークを持つのはどれか?
最高の走りをするのはどれか?
張りのあるシャシーは?
そして、走行と維持するコストが最も低いのはどれか?

フィアットのバンビーノ、それは間違いなく可愛いい。ヌオヴァチンクエチェント(その頃新型の500)が生まれて、もう60年以上になる。イタリア製のちっちゃなクルマは、そのチャーミングな姿で、誇り高き女性たちの心を次々と虜にしていった。
しかし盆栽フィアットには、同じ小型の仲間&ライバル、シトロエン2CVとルノー4(1966年と1967年に建てられた)が存在する。
3台の最大の共通点は、笑顔を保証する魅惑的な魅力だ。
ダック(アヒル=2CVの愛称)とR4(ルノー4)も80年代までは、多くの人に愛され、日常の足として使われていた。
その3台に改めて今乗ってみて、試して、その魅力と実態を再度確認してみた。

最小限のエンジンパワーにもかかわらず、最高のドライビングプレジャーを実現

運転する喜びは、3つの段階に分かれている。
まず、期待感。
朝ごはんが済んだら、もう早く乗りたくて辛抱できない。
週末と太陽、R4、ダックやフィアット500は、あたなをドライブへと誘う。
第二に不安。
そのスイートなチンクのエンジンは、今日はちゃんとスムーズにスタートしてくれるだろうか?そんな不安もある。
キーを差し込んで、イグニッションをオンにして、フロントシートの間に左のレバー(チョーク)を引っ張って、そして、右のスターターをオンにする。
その途端、チンクは咳き込む。アココココ。
なにか飲み込んじゃったの、チンクちゃん? アココココココ。
でもようやく最後に、ブルルン、ブルン、ブルブル。
第三に運転の楽しさ。
R4やダックは快適にスイングしながら駆け回り、フィアット500は凸凹ごとにつまずく。
でも焦らないで、気楽にいきましょう。
たとえ何かあっても、時間はある。

キャラクターは3台ともに異なる。しかし、今日の日常使用にはルノーが一番適していると思われる。
ダックで長旅、いや小旅行でもするなら、強い胃袋を持った乗客でないと大変だ。

なぜR4が他の2台のライバルを上回ったのかは、フォトギャラリーを見ればわかる。

フォトギャラリー

高級さを求めるのであれば、これらの車を選ぶのは完全に間違っている。ボディや内装の出来栄えなどは、あくまでも基本的な必要を満たすレベルだ。
外はシンプル、中はスパルタン。
必要のないものはすべて、2CVには乗ってもいないし、備わってもいない。
だがそれでも快適で楽しいことも事実である。
シンプルこの上ない2CVのコクピット。
鉄管を曲げたようなハンドル、レーシングバイクのような小さなスピードメーター。
石器時代のような自動車の匂いがするが、すべてが完璧に機能する。
そして自動車を走らせるには、これで十分。
典型的なアヒルの子は、弱い6ボルトの車の電気系統から電気を引いている。
小さな木のブロック(このオーナーの自作)が上の吊り窓の隙間を広く保っている。
本来は「針金細工」のようなウインドー開閉器具(窓を走行中に開けておくためのモノ)が標準装備だった。
ふらつくような質感と非常にスパルタンなインテリアは、愛すべきか憎むべきか、二つに一つしかない。ボディワークの仕上げ部門では、この風変わりなフランス人は3位にとどまった。
奇跡は常に存在する。
そしてフィアット500は、2.97メートルという短いサイズの奇跡を実現している。
155センチの女性から190センチの男性まで、ほとんどの身長の人をチンクエチェントは収容する。しかし、当然ながら、後部座席はとても窮屈だ。大人は耳の周りに足を巻かないといけないほどだ。(笑)
Nゲージ鉄道模型の世界へようこそ。
フィアットのほぼすべてのものは、通常の車同様のものだ。ただサイズがはるかに小さいが…。しかし2CVと比べてもデザインされ、整っていることがわかるだろう。中央の灰皿周辺の「いかした」プレスラインのスマートさにも注目。
ちゃんとしたスイッチがあって、スポーティなミドルギアがあって、ちゃんと動くウィンドークランクまで備わっている。本来、クルマはそれで十分なはず。鍵もちゃんとかかる。
スピードメーター、オドメーター、ライト、燃料計、オイル計、すべてが揃っている。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲと、それぞれのギアの上限速度はメーターが示す通り。
このちっぽけなフィアットは、どこから見ても本物の車のように見えるし、かなりきれいに組み立てられている。しかし、外は小さく、中は狭い。そのため、使い勝手と乗り心地の面では第2位に甘んじた。
一見すると、ルノー4は2CVのようにシンプルに組み立てられているように見える。しかし、実際に乗ってみると、この3台の中でははるかに贅沢なものであることがわかる。
そっけないが快適なシートが備わる。全体的な造形などは2CVよりもはるかに現代的だ。
透明感のある琥珀色のステアリングホイールとギアノブが目を楽しませてくれる。1967年までは標準装備だった。
シンプルだけど実用的。レザーストラップがドアのひっくり返りを防止する。後部座席と、非常に近代的なテールゲートからアクセスできるトランクには、驚くほど多くのスペースが設けられている。
このように、R4は最も快適な装備のトライアスロンでは他に先行している。リヤシートも極めて快適。よく考えられた、折り畳み式の後部座席と広々とした空間を兼ね備える。
スローライフの再発見。あなたにもう少しの時間の余裕があれば、多くのことができる。このトリオがその最高の証拠だ。さあドライブに出かけよう!
それにしても、この3台の取り合わせに歩行者は見向きもしていない。(笑) 欧州では珍しくない光景なのだろうか? 
典型的な出来事。アウトビルトクラシックのテスト中に、かからなくなった2CVボクサーエンジン(23馬力)。
余談だが、1973年公開の60年代のアメリカを描いた映画、「アメリカングラフィティ」の中で、主人公のカート ヘンダーソン役のリチャード ドレイファスが乗っていたのも2CVだった。そして絵にかいたように、いざという時にエンジンがかからなかった。(笑)
診断の結果、点火していないことが判明。レッカー車でその場から修理工場へ。まあそういうことも多々あることだ。修理は複雑ではないので、直せばまたもとのように走るから大丈夫。
フィアット500は、当時は安かった22馬力のエンジンをリアに搭載している。特殊な設計が特徴で、ピストンが上下に平行に動く。エンジンは、きびきびした、大音量で、金属的なサウンドをたてる。それに伴って乗客は、予想通り、上下、左右、前後に常に揺られている。したがって順位は第2位。
最もパワフルなエンジンがR4のボンネットの下に住んでいる。4本の気筒と32馬力は、力強い走行性能を提供してくれる。サウンドパターンは典型的なルノーのツーンとした音だ。信頼性の高いエンジンを搭載したR4は、明らかに第一位を獲得している。
ソフトでもハードでも、この3つのオールディーズは、どんな味にも合うものを持っている。
ダックはどんな路面状況でもゼリーよりもソフトにスイングする。上がったり下がったり、何度も何度も。ダックはただただ柔らかい。
唯一の光明? 乗客がめまいを起こす前に、格納式ルーフをリアウィンドウまで全開にして、新鮮な空気を取り込むことで、差し迫った吐き気と闘うことができる。(笑)
しかし、それでも全体としては、フランスのドライビングバードは、ドライビングの面で2位を獲得した。スタビリティなどは圧倒的に優れているからだ。
当然ながら、フィアット500はそのサイズからネガティブな影響を受ける。どんな小さなデコボコであっても、サスペンションはうまく吸収することができない。またコントロールするにも技術が一番必要。
加えて、リアの重たいハンドリングはコントロールが難しい。あなたの街の普通の交差点が、限界コーナーになることもしばしば。
あまりにもタイトなコーナーに入ると、ドライバーはドアで自分を支えなければならない。小さなイタ車はつまずき、ぶつかり、溝に落ち、勇気を持って再び這い出す。これらは何の役にも立たない。ドライビングコンフォートの面では、間違いなくフランス車のほうが優れている。ただし、運転する行為が楽しいことも、また事実ではある。
この種目でもR4は他に勝っている。時代を先取りした、調和のとれたチューニングの施されたクルマだ。2CVよりも明らかにロールが少ない。言いかえれば、一番普通のクルマに近い。
R4はアンダーステアこそ強いものの、無害だ。乗っている人にも優しく接してくれる。ソフトスプリングと上質なシートで、高級車のような快適さだ。
ルノーのドライビングビヘイビアを3つの言葉で表すと、意図的、アンダーステア、安全。だからこそ、この種目では表彰台の頂点に立っているのだ。一番現代のクルマに近い(あくまでも、近い、ということを忘れてはいけないが)のは、このルノー キャトルに間違えない。

コストの話をしよう。昔のように維持費などはいまでも安い? そんなわけないだろ! 小さい子も年を取るものだ。
劣化するパーツが常にどの車にもあることは言うまでもないし、直した部分も再度壊れる場合もある。だがそれでもまだこの車たちのパーツは供給されているし、どのパーツもロールスロイス シルバーシャドーのような価格ではないので安心だ。
信頼できる整備工場とあなたの技術があれば、コストは抑えられる。アマゾンだって、ヤフーオークションだってあるのだから、昔ほどは難しくも高くもないことは事実だ。

この3台のミニマリストは今買うと(わりと)高い(だがパーツ代などは、そこそこで決して高くない)。
2CVはコンディション件2で8000ユーロ(約96万円)前後。
コンディション2で、保存状態の良いフィアット500は10,000ユーロ(約120万円)もする。その一方で、小さなイタリア人は、税金、保険、燃費、維持費、将来的価値の上昇の面では無敵だ。
R4は簡単に3部門を制覇したが、コスト面ではしんがりだ。これは主に燃費の面で劣るからだ。現在の価格は、2CVと500の間くらいだ。
どの車も土に帰りそうな個体はただ同然で売っているが、素人が手を出すと大変な目にあうことも事実。最初からちゃんと走りそうな車を選ぶことをお勧めする。

結論。
彼らはそれぞれにユニークなキャラクターを備えた愛すべきクルマだ。しかし、すべての面でルノー4は明らかにリードしている。それは一番、現代のクルマに近いという意味でもある。この写真からもそれは明らかだ。
それでも2CVや500を選ぶ人のほうが多いという事実は、とても良く理解できる。

快適なシートと内装。安全性を除けば、現代的に見える。
第2位に甘んじたシトロエン2CVだが、趣のあるダックは快適にスイングする一方で、不安定な構造は、悪いことを想起させるかもしれない。しかし、ダックを愛する人は、そのすべてを許すだろう。
僅差で3位。フィアット500のことをイタリア人はチンキーノと呼んで愛している。文句なくかわいい。ずっと見ていたくなる。
ドライビング? 必要がなければ、長距離乗る必要はない。その辺一周の散歩でも十分楽しく満足できる。

Text: Manfred Klangwald, Andreas Borchmann, Gerald Schadendorf
大林晃平
Photo: Holger Schaper