【このクルマなんぼ?】20世紀最後の人気オープントップベンツ 希少カラーのワイルドなメルセデスSL500(R129)果たしてその価格は?
2022年10月10日
希少カラーのワイルドなメルセデスSL500が販売中。メルセデスSL R129は、20万台以上製造されたが、今回の一台はその中でも、この特別な色のものはごくわずかしかない。
この色、好きでしょう?! 「メルセデスSL」といえば、シルバー、ブラック、ダークブルー、ホワイトなど、落ち着いた色合いのものが主流であった。たまに赤い「SL」を見かけることもあるが、この「R129」は本当に人々の目を引く。アメリカでは現在、非常に珍しいカラー「サンバーストイエロー(sunburst yellow)」の「SL500」が販売されている。
オークションプラットフォーム、bringatrailer.comに出品されたこの高貴なコンバーチブルは、1999年に製造された「R129」シリーズの後期モデルだ。1998年春に導入された2度目のメジャーアップデートモデルは、ボディカラーに塗られた新しいテールライト、アドオンパーツ、ドアハンドル、そして弟分の「SLK」からインスピレーションを得たエクステリアミラーなどで認識することが可能だ。
ボンネットの下には、1998年から306馬力と460Nmを発揮する人気の5.0リッターV8(M113)が搭載された(従来は320馬力と470Nm)。パワーは5速オートマチックトランスミッションで、後輪に伝えられ、ラグジュアリーな「SL」を6.5秒で0から100km/hまで加速させる。250km/hになると、リミッターがかかる。
サンバーストイエローのR129は24台のみ
アメリカからやってきたこの黄色い「SL」は、この23年間でわずか32,842マイル、つまり約52,854kmを走ったに過ぎないのだ。したがって、無事故の「500SL」の状態の良さは、写真からでもよくわかる。この「R129」の最大の特徴は、SLK(R170)によく見られる「サンバーストイエロー」(カラーコード685)の超レアな塗装であることは間違いない。「R129」シリーズで、20万台以上製造された「SL」のうち、「サンバーストイエロー」を纏って納車されたのはわずか24台だと言われている。
印象的なカラーに合わせ、最初のオーナーは美しいAMG製5スポークホイールを含む「AMGパッケージ」を選択した。キセノンヘッドライト、マルチコントゥアーシート、オートエアコン、Boseサウンドシステムなど、装備も充実している。さらに、ボディカラーと同一のオリジナルハードトップも用意され、車と一緒に販売されている。
売主は、今回の売却に向けて、一部作業を実施した。例えば、18インチのAMGホイールは再調整され、245/40(VA)と275/35(HA)というサイズのミシュランパイロットスポーツタイヤが装着された。さらに、バルブカバーガスケットを新しくし、ブレーキフルード(液)を含むすべてのフルードを交換している。
SLは非常によく整備されているように見える
写真では、「SL500」の年式がわからない。ブラックのインテリアはとてもよく手入れされているようで、塗装も非常に良い印象を与えている。さらに、完全なオリジナルコンディションであることもプラスポイントだ。
最高入札額は30,000ユーロ(約420万円)
そして、そんな特別なSL500が低走行距離でいくらなのか? 現在の最高入札額は30,000米ドル(約420万円)だ。しかしこの特別な「SL」のお買い得なこの価格はまだ上がると想定できる。
ちなみにドイツでは、「メルセデスSL500」の後期型は最も安いもので、13,000ユーロ(約182万円)からあるが、それなりに走行距離も多い。よく整備された個体はすぐに25,000ユーロ(約350万円)以上になり、走行距離の少ないコレクターズコンディションのクルマは50,000ユーロ(約700万円)の大台に乗ることもある – しかもそれは黄色ではないのだ。このカラーリングがプラスポイントになるかどうかは、「サンバーストイエロー」が好きな人でないと判断できないので、皆さん自身で判断してみてほしい。
【ABJのコメント】
この「メルセデス・ベンツR129」の後期モデル、個人的には好きなSLの一台である。前期モデルの「500SL(最初期モデル)」を短期間所有していたが、今のメルセデス・ベンツとは全く異なる、とにかく厚い手の上で守られているような、みっちりとすべてが詰まったオープンカーであった(特にシートなどは、今回の一台のやや薄っぺらいシートと違い、前期モデルのものは、それはそれはコストのかかったものだった。おそらくそのマグネシウムを使って作ったシートのコストは驚くほどだったのだろうと思う)。
今回の一台は後期モデルなのでややコストカットされたモデルではあるが、価格を考えれば悪くはないし、程度もそこそこによさそうではある。無改造のようだし(ここが重要ポイント)、この車を欲しい人を止める気はないが・・・、この黄色のボディカラーってのは、かなり人を選ぶ。いくら希少なイエローとは言われても、個人的には・・・、ちょっと選びにくい。せっかくの大人の乗り物というイメージが皆無だし、還暦が見えてきた身としては、もうこういう色のオープンカーは遠慮したい。まあアメリカらしいといえばアメリカらしいが。「SL」には罪がないけれど、これからも改造を受けずオリジナルを保ったまま乗ってくれるような、いい人のもとに行ってほしい、と願う。(KO)
Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: bringatrailer.com