映画やTVで伝説となったクルマの物語。

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空を飛ぶ、ミサイルを発射する、海中を潜る、つぶされても生き返る スクリーン上のアイコンカー

オレンジのペイントと両サイドの “01”ナンバーで有名な“リー将軍(General Lee)”。
1979年から1985年の長きに亘るTVシリーズ「爆発!デューク(The Dukes of Hazzard)」(わが国でも短期間放送された、ジョン シュナイダー主演のアクションコメディ)の撮影に使われたダッジ チャージャーは合計で300台以上!!
その多くがジャンプシーンや、家やガレージから飛び出るシーンでスクラップ化された(よくそんな数を集めたもんだ)。
ジャンプシーンを美しく見せるために、フロントを重くしているエンジンは取り除かれ、スタントカーは空母用カタパルトから発射された。
Photo: dpa

ジェームズ ボンド役のロジャー ムーアが、カナリヤイエローのシトロエン2CVで敵のプジョー504の頭上を飛び越える『ユア アイズ オンリー(1981)』。
007が狭い村の通りと曲がりくねったオリーブの木立の中で。フランス製小型車を非合法的ながらも巧みに操る。
この映画を記念してシトロエンは、銃弾の穴が施された007ダック(2CVの愛称)のスペシャルバージョンも作り限定で発売した。今でもコレクターが探し続ける希少な2CVであり、この車を買えなかった人のために、銃弾の穴のステッカーだけも発売された。
なお、このシーンは「ルパン三世 カリオストロの城」のオープニングで、クラリスが2CVを操り、ルパンがそれを500で助けるシーンをオマージュしたものと言われ、実際にそのシーンで見かけたアクションが多く登場する。
Photo: Werk

「私を愛したスパイ」からのこの白いサブマリンは、ジェームズ ボンドのハイテク玩具の典型と言える。
「ウェットネリー(Wet Nellie=おねしょのネリー)」、と呼ばれた1976年のロータス エスプリS1。
機雷、魚雷、地対空ミサイルを搭載した水中兵器はこの作品に欠かせない存在だった。エスプリのデザイナーはジュージアーロだが、この潜水艇のデザインはケン アダム、マイアミで行われた特撮撮影のチーフはデレク メディングスであり、両名とも007の他の作品にも携わった巨匠である(サンダーバードの特撮も同じ)。
Photo: Werk

オーストラリア映画「マッドマックス」に登場して一躍有名になった「パシュートスペシャル”Pursuit Special”」インターセプター。実際は、V8エンジンと大型のボディ構造を備えた改良型フォード ファルコンXB GTだ。メルギブソンの出世作となった「マッドマックス」で、彼の相棒として大活躍した。
ボンネットからはみ出たエンジン部分はスーパーチャージャーでシフトレバー根本の赤いスイッチを入れると作動開始、600馬力を生み出すという設定だった。
Photo: film photo

2015年に公開されたマッドマックス第4作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」にはメルギブソンは出演していない。
主人公のマックス ロカタンスキーはイギリス人のトム ハーディが演じている。この映画でも冒頭にワイルドに改造された相棒「パシュートスペシャル」(インターセプター)は再び登場するが、あっという間に横転し、敵役たるイモータン ジョーに取り上げられ改造されてしまう。
Photo: Screenshot of Andreas Rogotzki

マッドマックス2015の有名な1シーン。よく見ると隠された様々なオブジェクトを見つけることができる。一番目立つのはメルセデスW123であり、そのボディは、タンクローリーの前部に溶接されている。
なお、この映画は全編ほとんどすべて実写なので、この写真のすべてのクルマはちゃんと走行することができるという。
Photo: Warner Brothers

しかしマッドマックスに登場したどんな改造車も、この超ワイルドなダブルキャデラックには勝てないだろう。
絶対権力者であるイモータン・ジョーの愛車となるこのクルマは、世界が滅亡し、あらゆるものが枯渇した世界で、もっとも貴重な存在であるはずのキャデラック エルドラド(1959)を、さらに2台積み重ねることで、どれほどの権力と力を持った存在なのかを表す象徴となった。もちろんこのクルマもちゃんと走行することができる。
作品の制作に携わった人々は愛情を込めて「ギガホース”Gigahorse”」と呼んでいる。
Photo: Screenshot of Andreas Rogotzki

最初に紹介した「爆発!デューク」が製作に至ったのは、この「刑事スタスキー&ハッチ」に使われた、この見た目も鮮やかなホワイトストライプを施された1974年のフォード グラントリノに触発されたからだと言われている。
1975年から1979年までの4シーズン、ポール マイケル グレーザーが演じるレッドフォードは、このグラントリノでベイシティを文字通り飛び回った。
2004年にはリメイク版としてベン スティラー主演で映画が製作されたが、この映画にももちろんグラントリノは同じ「役」として登場する。もちろん同系車種で、ナンバーさえも同じではあったが、どうやら(当たり前かもしれないが)同じ車を見つけて仕立て上げた(作り直した)車らしい。
Photo: dpa

ご存知、デロリアンを世界一有名なクルマにした映画、「バックトゥザフューチャー」だ。
マイケル J. フォックスとクリストファー ロイド演ずるマーティ マクフライとドク(ブラウン博士)の2人が乗るタイムマシーンであるデロリアンDMC-12。
デロリアンの標準速度計では、タイムトラベルに必要と思われる時速88マイル(144 km/h)を、当時の米国の法律(制限速度55マイルなので)により表示できなかったというのは興味ぶかいエピソードだ。
どうでもいいことだが、タイムトラベルに必要なワット数は、1.21ギガワットである。
なお、この車を生みだした、ジョー Z デロリアンの数奇な運命を描いた映画「デロリアン」も2019年にリー ペイス主演で公開されている。
Photo: dpa

ナイト2000 (正確にはKnight Industries Two Thousand)が、人気TVシリーズ「ナイトライダー」に登場した架空のドリームカーであるポンティアック ファイヤーバード トランザムにつけられた名前だった。
この当時は車に話しかけるとかいう自動運転技術など、架空の絵空事であったはずだが、2020年の今日となっては、「ハイ!メルセデス」であり「OK Google」の時代。まったくの空想、とは言えないことも事実なのである。
Photo: dpa

1983年に公開されたホラー映画の「クリスティーン」。その主人公、1959年のプリムス フューリーにつけられた名前がクリスティーンだ。彼女は彼女に何かをしたすべての人を殺した。
Photo: dpa

そしてこのクルマには、板金の損傷を単独で修復できる非現実的な力を備えている。したがって映画中のあらゆる衝突から復活する。ブルドーザーにひかれたときでさえ、彼女はスクラッププレスとなり、立方体の板金に変形して蘇る。最終場面では、シートが再び動き始める。実に不気味だった。
この車をキャスティングしたのは、監督ジョーカーペンターと言われているが、フューリーは極々少量生産モデルであったし、赤いボディの個体も少なかったため、撮影には、代役として、プリマス ベルヴェデアやサヴォイも使用された。
なお、2018年の映画「レディ・プレイヤー1」には、レースのシーンで、この赤いクリスティーンが登場する場面がある。
Photo: dpa

ジーナ デイヴィスとスーザン サランドン主演の1991年に公開されたアメリカ映画「テルマ&ルイーズ」で大活躍するフォード サンダーバード コンバーチブルはこの作品を経てアイコンとなった。最後までテルマとルイーズに附き合い、彼女たちの死に場所ともなった。ちなみにこの映画は当時下積みだったブラッド ピットが一躍スターダムにのしあがるきっかけともなった作品だ。
今のようにアメリカ車がインターナショナルな商品ではなく、あくまでもアメリカの中だけの、生活の中の存在としての自動車だったからこそ、これほどの存在意義と輝きと味を描くことができたのであって、今のキャデラックやフォード フレックスがこれほどの存在感を醸し出せるとは思えない。
かろうじてF150のようなピックアップトラックだけは、アメリカを描くことができるかもしれないが…。
Photo: dpa

この霊柩車はまごうことなくジャガーEタイプベースだ。

映画「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」(1971年)では、19歳の主人公がこの霊柩車仕様のジャガーEタイプで、見知らぬ人の葬儀に日々参列する、という行為を繰り返す姿を描いた。
映画の内容はともかく、全体的なデザインはスタイリッシュであり、かなり良くまとまっている、と思う。もし自分が乗るのならば、ミツオカベースの霊柩車よりも、ぜひこっちに乗ってみたいと思ってしまうのは変だろうか??
Photo: dpa

確かに、ポール ニューマンやバート レイノルズのほうが見た目はいいかもしれない。しかし、映画「ブリット」(1968年)のフランク ブリット刑事役のスティーブ マックイーンほど輝いた存在は古今東西存在しない。
そしてフランク ブリット刑事が乗ったマスタング マッハワンほど、俳優とぴったりマッチし、輝いた存在は古今東西存在しない(しいて言えばジェームズ ボンドとDB5くらいだろうか)。
ほとんどのシーンをマックイーン自身が運転し、撮影されたといわれる映画によって、フフォード マスタング(1968年390GT 2+2ファーストバック)は大人気となり、21世紀になっても、このグリーンのカラーリングをモチーフとした限定車さえも発売されるほどの人気である。
しかし、伝えられるところによると、敵役の1968年のダッジ チャージャー440R/Tは、伝説的なカーチェイスの間にホイールキャップこそフォードより数多く失ったものの、クルマ自体はマスタングよりもはるかに堅牢だったとのことだ。たとえば、フォードは2台の撮影用マスタングを用意したが、その1台はカーチェイスシーンの後にシャシーを交換しなければならなかったが、ダッジはそれに耐え、ガソリンスタンドに衝突して燃え上がるまでちゃんと走ったという。
Photo: dpa

低予算と短い撮影期間に作られた「リトル・ミス・サンシャイン」(2005年)は世界中で好評を博し、アカデミー賞にもノミネートされ、脚本賞などを獲得した作品だ。
そのコメディドラマロードムービーの準主人公として欠かせない存在が、今でも全世界の多くの人々から愛され続ける、このVWのトランスポーター、 T2マイクロバスだった。T2マイクロバスは古今東西の様々な映画に出演しているが、それだけ味のある、自動車なのだろう(どの車も実にいいカラーリングであることも、T2の大きな魅力である)
Photo: dpa

Photos: Warner Bros. Entertainment Inc.
加筆:大林晃平