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【ベストセラーモデル物語】50年以上の売れっ子モデル VWパサートの今昔物語

2022年9月11日

50年以上にわたり、3,000万台生産されたVWパサートは、エステートカーやサルーンとして、家族の一員になってきた。フォルクスワーゲンの売れっ子モデルの全貌が明らかに!

「VWパサート」は80年代から90年代にかけてのファミリーカーであり、典型的な教師のための車であり、セールスマンのステーションワゴンの典型であった。それにしても、ヴォルフスブルクのミッドサイズカーが、世界で最も成功したクルマのランキングでこれほどまでに上位に食い込んでいるのは驚異的だ。その理由はいたってシンプル。中国だ!ホイールベースが長いパサートは、東アジアの経済大国で、この10年の間に、とんでもない数のファンを獲得したからだ。

それでもスタートは順調なものではなかった。1973年、「パサート32A」のモダンで角張ったフォルムに、まずお客さまが慣れる必要があった。丸みを帯びたリアエンジンのボクサーVWのイメージが根強すぎたのだ。

丸みを帯びたリアエンジンのミッドサイズに終止符を打つ: 1973年のパサート32A。

しかし、実用的なハッチバックと、それに続くエステート「ヴァリアント」は、瞬く間に市場を席巻した。そして、全長4.19メートル、55馬力、基本価格9,060マルク(約63万円)でそれを実現したのである。

後継の「パサート32B」は、より大きく、より高価になった。また、初めてターボディーゼルや5気筒エンジンを搭載したモデルも用意された。また、ノッチバック仕様の「サンタナ」も登場し、この「サンタナ」は中国で多くのユーザーを獲得し、愛されていた。

ノッチバックとして、パサート32Bは「サンタナ」と呼ばれた。中国市場でも大人気だった。

「パサート35i」は、ラジエーターグリルが閉じていることから、「鼻熊」とも呼ばれ、1988年から発売された初の6気筒モデルである。1996年からいよいよ「パサートB5」として豪華になる。

パサートW8は、上流階級の雰囲気を醸し出していた

「パサートW8」に搭載された8気筒エンジンは、狭い隙間と上質な仕上がりに加え、シンプルだったキャビンに上流階級の雰囲気をもたらしたのだった。

8気筒と全輪駆動、それがパサートW8 4MOTIONのプレミアムクラスとしての印象だ。

「ゴルフ5」のプラットフォームをベースに開発された「パサートB6」は、むしろ不運で、コンパクトと多くの問題を共有することになった。

現行のパサートB8は全長4.77m

2020年の改良を経て、今日まで生き残った「パサートB8」は、初めて単独で発表した。全長4.77メートル、最小のディーゼルでも122馬力、価格は最低でも34,725ユーロ(約485万円)した。

VWパサート(写真は今では生産中止のB8サルーン)はヴァリアントよりもサルーンとして海外で成功を収めた。全世界で3,000万台を販売した。

また、要望に応じて、現行の「VWパサート」には経済的なハイブリッド車も用意されている。もし、これだけでは物足りないなら、アルテオンは高貴で個性的な選択肢となりうる。

現在、パサートはヴァリアントのみの販売

現在では、生産されているのはエステートモデルのみとなっているが、多才な「パサート」は特に長距離の移動におすすめだ。多くの営業マンが、頻繁に運転するものとして、昔から心に刻み込んでいる。

一方、ファミリー層の注目は、「ティグアン」や「シュコダ コディアック」などに集まっている。だから、次期「パサート」もエステートのみとなる。そして、長期的には電気式の「VW ID.7」に道を譲ることになるだろう。

結論:
ほぼ半世紀にわたって、「パサート」は非常に汎用性が高く、絶対に裏切らないタイプとして貢献してくれる。多人数の家庭でも、ファッションモデルのスーツケースでも、パサートが手に負えないということはほとんどなかった。そして、その才能が騒がれることは決してなかった。しかしみんながSUVに走ったときでも、「パサート」は多くの人に受け入れられたのだった。

【ABJのコメント】
「フォルクスワーゲン パサート」、前回のスクープショット記事の時にも書いたけれど、僕にとっては好きな車の一台である。もちろん昔の5ドアの「パサート」から比べれば今の「パサート」は大きく立派で、もはやプレステージカーといってもよい体躯ではあるが、同セグメントの車と比較してもデコラティブに過ぎず、実用的なデザインと内容であることが好ましい。

そんな「フォルクスワーゲン パサート」にとって不運だったことは、同じメーカーのラインナップ内に「ゴルフ」という徹底的に鉄板の定番モデルがあることで、それこそが今まで「パサート」も、「ポロ」も悩ませることになっているのは自明の理である。すべては「ゴルフ」の立ち位置やその完成度、あるいはディメンションやセグメント配分(?)なども、「ゴルフ」が中心になっていることは言うまでもないことで、フォルクスワーゲンにとってのメートル原器はいつの時代も「ゴルフ」、なのである。

そう考えると若干「パサート」も気の毒になってしまうが、いつの時代も「パサート」は「はずれ」の一台になっていたことなどなく、地味ながらも実用をきちんと追求したまっとうなセダンとワゴン、という立ち位置に変わりはない。だが、そんな「パサート」も、おそらく「パサート」という名前では最終のモデルになるかもしれないと噂される次期モデルでは、セダンは廃止され、「ヴァリアント」、つまりワゴンのみになるという。そのワゴンでさえなかなか人気を維持するのが難しいということを考えれば、「パサート」が残ってくれただけでもよしとしたい。(KO)

Text: Malte Büttner and Gerald Czajka
加筆: 大林晃平
Photo: Volkswagen AG