【ニューモデル情報】ミニとポケモンのコラボ 遊び心あふれる電動SUV ミニ エースマン発表 すべての情報!
2022年9月9日
ミニ エースマンとポケモン:ミニ エースマンの内装は、ポケモンデザインで登場した。モンスター!ポケモンを搭載した新型「ミニ エースマン」は、ブランドに遊び心を取り戻すはず。
遊園地に行っていたのかな?射的場で楽しんだのかな?あるいは、インターネット上でゲームを楽しんでいたのかな?ぬいぐるみ、ベッドリネン、コップ、スティック状の小さなケーキ、ゲーム機では、もちろんポケモンがプレイされているなど、とにかくホテルの部屋は「ポケモン」のゲームに出てくるような雰囲気だ。そんな中で、老舗の自動車メーカーが新車「ミニ エースマン」の解説をしたいと言ってきた。それはミニにしかできないことだ。
彼らは、フランクフルト空港が見える10階のホテルの部屋のすぐ外にプロトタイプモデルを停めていた。今は午後9時過ぎ、徐々に暗くなりつつある。ミニのデザインチーフであるオリバー ハイルマーが運転席のドアを開けると、床に投影されたミニのロゴの横で「ピカチュウ」がピカピカと光っている。
そして、今晩のお目当ては、「ポケモン」だ。ミニは日本のカルトゲームと協力関係を結び、ケルンで開催される欧州最大のゲーム見本市「gamescom」ではスポンサーを務めている。
ポケモンは現代のミニよりも古くから存在する
1996年にゲームボーイで発売された「ポケモン」は、今や、テレビの前のゲーム機やパソコン、携帯電話でも、ポケモンを捕まえたり、集めたり、育てたりすることができるようになった。
エイジレスなターゲット層で26年間継続的な成功を収めた。ミニの担当者が興奮しているのがよくわかる。
エースマンは、楽しさを取り戻すはずだ
ミニのチーフデザイナー、オリバー ハイルマーは、カントリーマンの弟分として2024年に純電動で発売予定の4メートル級SUV「エースマン」の生産バージョンを完成し、披露したばかりだ。彼は、「楽しさを取り戻し、若さを手に入れる必要がある」と語っている。
彼は何を言いたいのか?2000年、BMWの初代ミニは、軽快さ、遊び心、カスタマイズ性など、他の車にはない特徴を備えて生まれ変わった。
その後世代を重ねるごとに品質は向上し、今ではようやくBMW(以前はクライスラーやプジョー製のPUを採用)のエンジンを搭載し、高い価格に見合った価値を持つクルマになった。しかし、その一方でミニの若々しさは影を潜め、遊び心が減っていったともいえる。だからこそ今回のフルモデルチェンジはミニにとってすべてが真剣勝負となる。
屋根の上にはイギリス国旗
それは新生「エースマン」として復活するはずだ。ルーフには巨大なユニオンジャックの形をしたルーフラックがあり、インテリアにはクロームやレザーではなく、端切れの布を縫い合わせたようなシート、針で編んだようなダッシュボードやステアリングホイールがある。
たくさんのボタンやディスプレイがない代わりに、中央にミニピザほどの大きさの丸い有機EL画面があり、その下に基本的なコマンドを入力するためのスイッチがある、それだけだ。
ミニもゲーム機として使えるようになる日が来るかもしれない
ミニでグラフィックとサウンドで遊びたくなる? 「ピカチュウ」がモニターに映し出され、デモモードが解除されると、ダッシュボードやドアパネルに至るまでピカピカと光り輝くのだ。
そして、この車を見ると次のような疑問が自ずと湧いてくる。充電中もポケモンは遊べますか?ということだ。ハイルマーは、「まだ実現はできないが、ゲームは選択肢の一つだ」とコメントしている。
デザイナーの想像の中では、何でもあり
「gamescom」では、600平方メートルのブースを構え、「エースマン」の研究を展示し、巨大なマッチボックスカーのような2台目の車両を詰め込んでいる。ハイルマンは、すでに限定スペシャルモデルを考えている。「私のデザイナーとしてのイマジネーションでは、何でもありだ」と。
ジーンズをシートカバーに、ダッシュボードをストーンウォッシュの布で覆うのもいいかもしれない。そして、ドアが開くと、床にリーバイスのロゴが点滅する。それもまたミニにしかできないことだ。
【ABJのコメント】
ミニには二つの方向性があるといつも思っている。ひとつは昔の(ということはアレックイシゴニスの、あの古い、小さいミニ)イメージを持ったまま、小さな高級車として、あるいはクラスレスな存在として歩み続けること。もちろん昔のミニとはもうすべてが違うわけではあるけれど、それでもミニという、動かすことのできないイメージの遺産を大切に持ちながら歩み続けることは間違いではないだろう。
その一方で、今回の「ミニ エースマン」のように、ひたすらポップだったり、ほかのキャラクターデザインをうまく生かしたりしながら、楽しく、そして軽く明るく進化していくこと、である。まあおじさんとしては、今回のポケモンとミニのコラボレーション企画に関してはまったく馴染むことができないし、自分でこういう自動車を選ぶことはあり得ない。けれども今の世の中にこんなカルチャーがあり、それを認める人たちがいる限り否定するべきでもない(常にアートなどの世界では、そういう否定と肯定のはざまで新しい世界が生み出されるものである。騒音のような現代音楽や、理解できないような芸術作品が生まれるのは、そういうせめぎあいの中から、である)。
と難しい話をしてもしょうがないので(笑)、今回の車をよく見てみると、なかなか洒落ていると思ったのはユニオンジャックの形のルーフキャリアで、これは今すぐにでもミニのオプション装備にしたら、なかなか人気を博すのではないか、と思った。その一方で人工芝を巻いたかのようなステアリングホイールや、足元を明るく照らすポケモンライティングシステムなどは、どうにもこっぱずかしい。エンジンをかけた瞬間に現れる(であろう)センターのディスプレイも、やっぱり気おくれしてしまうような装備ではあるけれど、同乗者の子どもたちには人気かもしれないし、「アルト ラパン」もキーをひねるとメーターパネルにウサギの絵がデカデカと表示されるので、そのデラックス版と考えればいいかな、と思うことにした。(KO)
Text: Andreas May
加筆: 大林晃平
Photo: BMW Group