【ドライビングレポート】V8アメリカンSUV ダッジ デュランゴ 5.7 R/T LPGをテスト そのテストデータを含むドライビングレポート!
2022年9月7日
V8 SUVで節約?そう、LPGシステムのおかげだ。いかついV8で安い燃料?はい、少なくとも制限の範囲内では可能。現行ダッジ デュランゴ5.7 R/T LPGで試しに測定してみた。
V8エンジンを搭載した広々としたSUVの選択肢は、ほとんどなくなってしまった。ここヨーロッパ、特にドイツでは・・・。しかし世界の他の場所では、ヨーロッパの自動車会社も含めて、ここドイツでは、CO2の罰金を避けるために価格表から消されてしまったような車を今でも提供しているのだ。
そのメロディアスなクルマのひとつが、「ダッジ デュランゴ」だ。基本的に、現在の第3世代は発売から11年が経過している。厳密には2021年まで販売された4代目「ジープ グランドチェロキー(WK2)」の親戚にあたるのだが、昔から一回り大きくなり、3列シートが用意されている。
さて、新型「グランドチェロキー5(WL)」には、7人乗りのロングバージョンも用意されているが、こちらはまだ正式には発売されないとのことだ。これは、長い「グランドチェロキー」がプラグインハイブリッドとして作られていないためで、純燃焼のジープブランド車は、もはやステランティスによってヨーロッパに持ち込まれていない。むろん、ご存知のように乗用車のCO2罰則のためである。
液体ガスシステムによる節約
このギャップが並行輸入車によって埋められるかどうかはまだわからない。それまでは、「ダッジ デュランゴ」は、細い音と4気筒ハイブリッドのパワーデリバリーに慣れるのが苦手なすべての人のための代替車として残っている。
だが、「AECヨーロッパ(欧州におけるRAMおよびDodge車の正規輸入代理店)」が持ち込む。フィアット クライスラー オートモービルズがステランティスになったときから何も変わっていない。さらに、AECは液体ガスシステムも装備しており、ガソリンスタンドでの経費を大幅に削減することができる。
サイズ的には、「デュランゴ」は「メルセデスGLS」や「アウディQ7」の仲間に入る。米国のフルサイズクラスより下のランクで、ステランティスは現在(欧州外)、RAMベースの新しい「ジープ グランドワゴニア」をその範囲に入れている。
とはいえ、移動は決して窮屈ではなく、3列目のシートでも大人が乗り込めば十分な広さだ。そして、トランクが大きい。
「デュランゴ」のシャシーは、もはやかつてのような新鮮さはないものの、最新鋭のものであることは間違いない。コイルスプリングは段差を快く吸収するが、ごく短い揺れだけが驚くほどはっきりとシートに伝わってくる。ここで20インチのフラットタイヤが存在感を示す。
残念ながら、試乗車は冬用タイヤを装着していた。カーブでの反応がやや鈍く、安定したブレンボ製キャリパーブレーキシステムが力を発揮できないのは、このためだと見ることができる。
ハンドル裏の液化ガスへの切り替え
コックピットのデジタル化はごくわずかで、マイナーチェンジでも、デザイナーはすべてのボタンを排除してタッチスクリーンメニューを採用するという誘惑に打ち勝ち、ここではまだほとんどのボタンが押したり回したりできるようになっている。
給油の手間を省きたい人にとって最も重要なボタンは、ステアリングホイールの左後ろに隠れている。液体ガスへの切り替えは、シンプルなボタンで、ガソリンタンクのレベルを示す5セグメントディスプレイが装備されている。
フィラーネックを通常のフューエルフィラーフラップの下に配置することで、多少手間がかかるものの、見た目はすっきりしている。ガソリンではなくガスで走っていることがわかるのは、「Prins」のロゴが点灯したときだけで、それ以外は違いを感じることはできない。
顕著な出力低下なし
オランダのコンバージョン専門メーカーは、明らかにこのシステムをエンジン管理システムにきちんと統合しており、ガソリンに比べLPGのエネルギー密度が低いにもかかわらず、ニュアンスでしか測れないが、知覚できるほどのパワーロスがないのである。
OHVブロックで基本的に保守的なV8は、スロットルに自発的かつ強調的に反応する。また、エンジン音の変化でわかる気筒休止は、アクセルモードでもオンボードコンピュータの燃費表示と同じように機能する。
【車両データ】
モデル | ダッジ デュランゴ 5.7 R/T LPG |
エンジン | V8ガソリンエンジン、フロント縦置き |
排気量 | 5654cc |
最高出力 | 364PS@5150rpm |
最大トルク | 529Nm@4250rpm |
最高速度 | 179km/h |
駆動方式 | 全輪駆動、8速コンバーターオートマチック |
全長/全幅/全高 | 5110/1924/1827mm |
ホイールベース | 3042mm |
乾燥重量 | 2,510kg |
0-50km/h加速 | 2.6秒 |
0-100km/h加速 | 7.3秒 |
0-130km/h加速 | 11.5秒 |
60-100km/h加速 | 4.3 秒 |
80-120km/h加速 | 4.8秒 |
制動距離(100km/h時より) | 47.4m |
平均燃費 | 7.2km/ℓ |
価格 | 69,500ユーロ(約970万円)より |
燃料が薄くなったことは、消費量にも表れている。我々の測定によれば、ガスモードではガソリンモードよりも18%も燃費が好くなっている。しかも、リッターあたりの価格が約90セント安いので、いかつい「デュランゴ」の燃料費は、211馬力の「メルセデスGLC」のようなコンパクトなガソリン車のレベルを下回っているのである。
また、90リットルのタンクは、72リットルまでしか使用できないが、同じ条件下でe-driverが夢見るような距離を走るには十分だ。さらに、93リットルのガソリンをタンクに貯めることができ、総走行距離は1000kmを超える立派なものだ。しかし、「ダッジ デュランゴ」には補助金は適用されない。
結論:
そう、我々は、高価な燃料価格を避けるために、e-carを買うのは今や常識となっている。しかし、それでは嫌だという人のために、LPGという選択肢もある。そして「ダッジ デュランゴ」では、パワーと喜びで節約することができるのだ。
Text: Thomas Rönnberg
Photo: Dodge