スーパーSUV初試乗テスト 新型BMW X5M
2020年4月14日
BMWが勢いを増している。 これが新型BMW X5 Mだ。
新しいX5 Mには625馬力4.4リッターV8が備わっている。
スーパーSUVの一台に最速試乗してみた。
強烈なエンジンパワーを持つラージサイズのSUVは、リーズナブルな電動モデルへ人々の需要が流れる傾向がある中にあっても、いまだに一定の人気を保っている。
そして、BMW X5のMバージョンは、そんな中でも根強いファンを持つ1台だ。
その圧倒的なパワーとドライビングパフォーマンスで、このダイナミックなスーパーSUVはスリルとエキサイトメントを同時に提供してくれるはずだ。
ベーシックバージョンのX5 Mには600馬力と750Nmというパワーがすでに備わっているが、コンペティションバージョンも用意されており、そちらではさらに25馬力が追加される。
BMW X5 Mの外観は、これらのパフォーマンスの数値から想像されるほどアグレッシブで無骨なものとはなっていない。むしろ、すでに強力なアピール感を備えているベースのX5の外観が、スポイラーやサイドシル、ホイールなどで研ぎ澄まされ、少しシャープになっている程度だ。
X5とX5 Mの本当の違いは、4.4リッター8気筒エンジンのサウンドだけで、4本のテールパイプから荒々しくも威勢の良い爆音を発する。
そして、これは決してただ音響的なものではなく、2トンを超える四輪駆動車は、アクセルを踏むたびに、ぐいぐいと、ほとんど遠慮なしに加速し、圧倒的な巡行速度に達する。
静止状態から100km/hに到達するまでにかかる時間は、2トン超の重さにもかかわらず、3.9秒で、そのままアクセルペダルを踏み続ければ、バージョンに応じて、250または290km/hの最高速度にまで加速していく(リミッターを解除した場合、だが)。290キロをSUVでだ! 念を押すまでもなく。
特に100km/hを超えてからの加速力には圧倒される。
どんなスピードで走行しているかに関係なく、1度のキックで雄牛は自由奔放で信じられないほどの速さで、さらに速度をあげながら前方に轟音を立てながら進んでいく。
たとえどんなに良いサスペンションでも物理学を凌駕することはできない
おそらくもっと感動的なのは、X5 Mの絶妙に調整されたスポーツサスペンションだろう。非常に優れている。もちろん、よりタイトでハードな方向になってはいるが、ノーマルのBMW X5よりもハードになっているわけではない。それは21/22インチのホイールによってしっかりと支えられており、見た目だけでなく、安定したブレーキも加わって、日常的な使用にも適したモデルに仕上がっている。同時に、それらは限界点でも素晴らしい働きを見せ、多くのフィードバックを与えるとともに、そのダイレクトなステアリングは、カジュアルに高速道路を走っているときでさえ、ドライバーに喜びを与える。
むろん、あなたが高速で運転している場合は、コーナーでX5がヘビーウェイトであることには気づくだろう。
最も強力なエンジンでも、物理学を凌駕することはできないのだから。
性能に負けず劣らず価格も高い
インテリアに関して言えば、ベースモデルであるX5との違いは、むしろ控えめなものだ。
アニメーション化された計器類、ギアセレクターレバー、ステアリングホイール上の2つの赤いボタンだけがわずかに変更されており、自由にプログラミング可能なMスポーツモードに直接アクセスすることができる。それ以外の場合でも、タッチコントロールメニューやワイドセンターコンソールのボタンからも操作できるようになっている。
スポーツシートは非常に優れたクッション性を備えており、長距離ドライブにも適している。
エアコンが完備されており、ご要望とあればマッサージ機能も用意されていて装備することもできる。
だが2列目のリアシートはもう少し形にゆとりがあればいいのにと思うかもしれない。まあ、この手のモデルは最初から4人乗車など想定していないのだろうが…。
BMW X5 Mは128,100ユーロ(約1,500万円)ですでに十分な装備を備えているが、コンペティションモデルにはより充実したレザーインテリアが提供される。
ホイールセット、カーボンブレーキ、レーザーライトなどのエクストラアイテムを装備することで、価格は簡単に15万ユーロ(約1,800万円)台にまでアップする。
高性能で他の人と違うクルマを手に入れることには、それなりの資金が必要なのである。
BMW X5 Mは128,100ユーロ(約1,500万円)から用意されているが、いろいろと付け加えれば価格はあっという間に15万ユーロ(約1,800万円)にまで押し上げられる。
BMWのスーパーSUVの仕上がりのレベルは高く素晴らしい。こういうスーパーSUVを欲するファンを魅了してやまないだろう。
Text: Stefan Grundhoff
Photo: BMW Group