【初テスト】VW T6.1マルチバンのキャンパーコンバージョン 珍しいトンケ バンXLでハンブルグ周辺をツアー そのレポート
2022年9月1日
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VWバスを改造したキャンパーはたくさんあるが、こんなのはまだ見たことないだろう。珍しいトンケバンXLでハンブルグ周辺をツアーで回った。オランダ製のバンは、このような感じだったというレポート。
ドイツ以外で、キャンプと聞いて思い浮かべるヨーロッパの国はどこだろう? 我々はすぐにオランダの隣人を思い浮かべる。彼らは、我々と同じように、4輪の自由さに夢中なのだ。Caravaning Industrie Verband(CIVD)の調査によれば、同国のモーターホーム市場は2020年に全体で16%にまで成長したとのことだ。
この数値を知ると、モーターホームや遠征車、キャンピングカーの改造を専門とするメーカーや工房がオランダに多数進出しているのもうなずける。
そのひとつが、オランダののどかな町、テライデンのトンケ(Tonke)社である。建設車両を模した珍しいドロップオフキャビンのほか、主に新車や中古の若い「VWバス」をキャンピングカーに改造し、細部まで愛情を込めて仕上げたモデルを作っている。
北ドイツでトンケのキャンパーに乗りたいなら、ハンブルク オッテンゼンのブリビュー(Bullibü)社に向かおう。オーナーのトーステン トゥルク氏は、バンの販売とレンタルを行っている。今回は、一番大きなモデルである「トンケ バンXL」を使っての旅だった。
トンケ バンXL:VW T6.1マルチバンに特別なコンバージョンを施したモデル
今回レポートするモデルは、特別なインテリアコンセプトを持つ新型の「VW T6.1マルチバン」である。そしてそれは、素材から始まる。食器棚の前板とテーブルは、軽くて丈夫な竹製(978ユーロ=約13万5千円)、残りのエレメントはバーチ材のマルチプレックスパネル製だ。
断熱床パネルはクラシカルなビニール製だが、食器棚の竹の表情とマッチしている。そして天井と壁はフェルトで覆われている。
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しかし、一見すると、運転席側に折りたたみ式の3人掛けベンチ、食器棚、クールボックス、簡易キッチン、その上にスリーピングルーフという、ごく普通のレイアウトだ。
特徴は細部にあり、業務用のようなキッチンは、2枚目のスライドドアから回転させて出すことができる(1,785ユーロ=約24万6千円)。ちなみに、左側にオーニングがあるのもこのためだ。インテリアの長所は、この先、何十年も使えるような頑丈な家具や蝶番があることだ。
スリーピングルーフ、キッチン、クールボックス: 旅行用装備のトンケ バン
また特別な装備としては、すぐにセッティングして旅行ができる内装である。ベンチシート、セカンドバッテリー、エアラインレール、ブラックアウト、スリーピングルーフのほか、キッチンやクールボックスも装備している。
試乗車が結局高いのは、VWのオプションが多数ついているからで、それだけで23,000ユーロ!(約317万円)近くする。トンケでは、そのうちのいくつかを、いわゆる「エクセレンス パッケージ」というセットオプションも用意している。
【テクニカルデータ】
エンジン | 2.0リッターTDIディーゼルエンジン |
排気量 | 1968cc |
最高出力 | 150PS@3250rpm |
最大トルク | 340Nm@1500rpm |
駆動方式 | 全輪駆動、7速DSG |
全長/全幅/全高 | 4904/1904/2050mm |
ホイールベース | 3000mm |
乾燥重量 | 2710kg |
牽引能力 | 2500kg |
基本価格 | 60,295ユーロ(約830万円)より |
テスト車価格 | 98,439ユーロ(約1355万円) |
全輪駆動、7速DSG、150馬力のディーゼル(合わせて9,541ユーロ=約1,355万円)、各種アシストシステムなど、フル装備といえよう。そんななか、唯一の欠点は、屋根だ。高さが2.05mあるので、トンケはほとんどの駐車場に入らない。また、走行中の風切り音も若干気になる。それを我慢すれば、普段使いに適したオールラウンダーが手に入る。
トンケ バンXLの走り
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結論:
「トンケ バンXL」は、VWカリフォルニアに代わる本物の車だ。さらに優れていると主張する人もいる。シックな回転式キッチンだけでなく、何よりもインテリアのクオリティの高さが納得のいくところだ。たとえ批判的な傾向の人であっても、この部分に関しては(ほとんど)何も文句はないはずであろう。
【ABJのコメント】
いつになくレポーターのジェニーちゃんが楽しそうに乗っている「フォルクスワーゲンT6.1マルチバン」のキャンパー。確かに各部のつくりとか、全体的なスタイリングなどスマートで格好いい。こういう車両の場合、やはりなんだかんだ言っても大切なのはベースになる車輌の完成度で、そういう意味ではフォルクスワーゲンの中でもいつも評価の高い「マルチバン」がベースならば、そこですでに半分以上の成功は約束されたようなものといえよう。
内容的にも内装各部の仕上がりやデザイン、そしてその発展性なども文句のない仕上がりで、一台の自動車としてみても魅力は高いし、おそらくドライバーとして運転してみても、かなりの満足度があるのではないだろうか。そう、その運転してどうかというのが、日本では人気の中心となっているキャブコン、いわゆるトラックベースのキャンパーとの違いで、おそらくキャブコンは運転して得られるプレジャーは皆無なのではないだろうか。いくら目的がキャンピングとはいえ、目的地まで、道中の運転が少しでも楽しいほうが良いことは言うまでもないし、AUTO BILDの読者にはその大切さはいまさら言うまでもないだろう。
ジェニーちゃんがいつにもなく満足している表情なのはまさにその部分の能力が高いからであって、(ジェニーちゃんには若干足りないと思われる)室内の広さを補って余りあるものがそこにはあると思う。こういう運転して楽しく、センスの良いキャンパーが日本にも登場してくれることを心待ちにしていたい。そしていつの日か登場したら、ぜひジェニーちゃんにも乗ってみてほしい。
Text: Jenny Zeume
加筆: 大林晃平
Photo: Tonke
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