【内燃機関&EV対決】BMW編 新世界対旧世界=内燃機関対電動モーター BMW M3対i4 果たして勝者は?
2022年8月24日
BMW M3対i4: 新世界対旧世界。内燃機関か電動モーターか。BMW同士の比較では、2つの世界が交わる。しかし、この2台は、どちらも非常に速い。
ここは、世界が出会う場所。一方は、現在最高の電気自動車である「i4 M50」、もう一方は、クラシックスポーツサルーンの頂点に立つ「M3」。カルトモデルだ。
「i4 M50」の2基の電動モーターは544馬力、M3 Competitionの3.0リッターは510馬力を発揮する。どちらもめちゃくちゃ速いが、そのパワーユニットはまったく異なる。
「i4」は激しく加速する。しかし、不気味なほどさりげなく、楽に、静かに、小さなヒスノイズが聞こえるだけである。きれいなバランスで、豊かで快適な乗り心地、カーブでは優しくスイングし、街中では囁くように静かに滑走する。エレガントで過激でない。
同サイズのトランクを持つM3とi4
「M3」はこれとはかなり逆だ。怒る、噛みつく、毒づくように走る。さらに野性的で、強大な轟音、嗄れ声、ピチピチ、フルオーケストラを奏でる。重量は0.5トン軽く、骨のように乾いたチューニングが施され、ダイレクトなステアリングを持ち、カーブではカミソリのようにシャープに吹け上がる。それは非常に貴重な体験だ。
【車両データ】
モデル | i4 M50 | M3コンペティションxDrive |
エンジン | 電動モーター×2基(フロント&リア) | 直列6気筒、ツインターボ |
最高出力 | 544PS | 510PS@6250rpm |
最大トルク | 795Nm | 650Nm@2750rpm |
0-100km/h加速 | 3.9秒 | 3.5秒 |
最高速度 | 225km/h | 250km/h(オプションで290km/h) |
駆動方式 | 全輪駆動、入力ギア | 全輪駆動、8速AT |
全長/全幅/全高 | 4783/2073/1448mm | 4794/2068/1434mm |
ホイールベース | 2856mm | 2857mm |
乾燥重量 | 2,290kg | 1,790kg |
トランク容量 | 470~1290リットル | 480リットル |
価格 | 70,800ユーロ(約995万円)より | 96,800ユーロ(約1,355万円)より |
勝者: 電気自動車のBMW i4 M50
スペースやラゲッジルームの数値という点では、「M3」と「i4」はあまり差異がない。「i4」の後部座席は地面に対して非常にフラットで、背の高い人は頭を下げなければならないが、大きなテールゲートはとても実用的だ。
どちらのBMWも几帳面な作りが目立ち、異様にデフォルメされたメーターはどちらも見づらい。
全輪駆動の「M3コンペティション」は96,800ユーロ(約1,355万円)から、「i4 M50」は70,800ユーロ(約991万円)からとなっている。テストでは、100km走行あたり、M3は12.1リットルのハイオクガソリン、i4は31.8kWhの電力を消費した。換算すると、「i4 M50」のコストは1kmあたり0.84ユーロ(約114円)となり、M3よりも0.34ユーロ(約46円)安かった。
結論:
「M3」は芸術品であり、直6は間違いなく最高の内燃機関のひとつだ。一方、「i4」はeテクノロジーの現在を体現していて、現状では数値的に勝者である。
【ABJのコメント】
僕は内燃機関だけがすべてではないと思っているし、BEV否定者ではまったくないけれど、今回は「M3」が勝つのではないかな、いや勝ってくれるのではないかな、と淡い期待を持っていたのだが、勝者はBEVの「M50」のほうであった・・・。ちょっと軽くがっかりしながら、レポートを読みかえしたのだが、正直言うと、どこがそれほどBEVの「M50」のほうが「M3」よりも魅了的で勝ったのかが記してなく、あくまでも数値的なものが中心になっての結論なのではないか、と思ってしまうかのような終わり方であった。
本来、こういうレポートは徹底的に2台を、あらゆる状況で同じように比較してこそ意味があるし、それでこそ内燃機関の「M3」とBEVの「M50」と、いったいどちらのモデルが勝者になれたのか分かろうというものである。
そもそも内燃機関とBEVを今までの比較テストと同じようにレポートしても意味がない、という意見もあるし、それを否定する気もないけれど、今回の2台はある程度エンターテインメントな読み物としての比較だと思えば、それなりの優越を出してくれてもよいとは思う。だがそういう観点からもちょっと今回の結論はあっさりとしすぎていないだろうか? せっかくBMWという自動車の中でも「M3」と「M50」を比較できる機会なのだから、もっと読むものを楽しませてくれる内容と結果であったら、と思ってしまうし、正直今回の結果は(個人的には)保留としたい、そんな気持ちである。(KO)
Text: Dirk Branke
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de