【初テスト】キャデラック初の電動クロスオーバー キャデラック リリックに初試乗 メルセデス&BMW&アウディ&テスラに対抗できるのか?

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キャデラックは電動クロスオーバー「リリック」で、アウディ、BMW、テスラに対抗したいと考えている。本当に心配する必要があるのかどうかが、最初のテストのテーマだ。

キャデラックは、この「リリック」によって、その分野の最高峰と容易に競合できるクロスオーバーを発表した。エレガントな電気自動車は、一方で、「ポルシェ タイカン クロスツーリスモ」や「アウディ e-tron GT」、そして「テスラ モデルX」や「BMW iX」を狙い撃ちしているのだ。

「リリック」の第一印象はまったく悪くない。なぜなら、「リリック」はようやく本当にカッコいいキャデラックに戻ったからだ。迫力あるフロントはもちろん、Cピラーやリアエンド、ガラスリッドなど、「ジェンセン インターセプター」を彷彿とさせるデザインは、まさに圧巻だ。フロントとリアのスリムなLEDライトユニットも、好感が持てる。

ダイナミックにデザインされている。ビジュアル的には非常に魅力的な車だが、ルーフラインが傾斜しているため、後席のヘッドルームが犠牲になっている。

スペースが膨大になることはない

全長5メートルにもおよぶクロスオーバーのインテリアは、エレガントでアメリカンな雰囲気が漂っている。前席も後席も適度な張りのあるレザーシートで快適な座り心地だが、2列目はルーフラインが傾斜しているため、ヘッドルームがやや狭くなる。ホイールベースが3.10mなので、スペースは決して広くはないものの、ラゲッジルームは790~1720リットルと十分な容量が確保されている。

約6万ユーロ(約840万円)というベース価格のモデルには、しっかりとした標準装備パッケージと、340馬力(250kW)、最大トルク440Nmを発生する電動モーターをリアアクスルに搭載している。もちろん、これだけでは2.5トンのアメリカンがライバルを追い抜くことはできないが、スピーディーに前進するには十分な性能であることは容易に想像できる。

レースではなくクルージング。リリックは、堂々としたカジュアルな走り方を好む。 息をのむような加速を見せつけたりはしない。

移動中もリラックスできるリリック

「キャデラック リリック」は、リラックスしたクルーザーとして運転することができる。シートに押し付けられるような激しい突き上げもなく、デジタルディスプレイの数字が乱高下することもなく、最高速度180km/hまで静かに、そして穏やかに加速していく。どのドライビングモードでも、サスペンションは非常に快適で、横方向のジョイントでもクルマが動揺することは決してない。ステアリングは、特に「スポーツモード」では、もっとダイレクトなフィードバックが得られる。一方で、高速走行では、「リリック」は路面とのダイレクトなつながりを欠き、ヨーロッパの競合車と比べると、ぐらついたり、うなだれたりする挙動が多い。

キャデラック リリックのバッテリーパックは、正しいドライビングスタイルを前提とした場合、最大500kmの走行が可能だと言われている。

航続距離: 500kmまで可能

100kWhのバッテリーパックを搭載したこの電動キャデラックは、最大500kmの走行が可能とされる。ヘッドアップディスプレイに表示される、調整可能な回生と特大の燃費表示により、ドライバーは可能な限り、経済的な運転ができるようになっている。電池が空になったら、急速充電スタンドで最大190kW、自宅のウォールボックスで19.2kWの充電が可能だ。全輪駆動車では、これを12キロワット以下にまで下げる予定だ。

ベースとなる装備がしっかりしているリリックは、当面は北米のみでの販売となる。価格は約6万ユーロ(約840万円)相当となる。

当初、リリックはアメリカでのみの販売となる

当初、「リリック」は北米市場でのみ購入可能だが、キャデラックはすぐにアジアとヨーロッパでも、500馬力の全輪駆動車モデルはそれほどの期間を経ずして市場投入されるだろう。ただし、GMは米国での需要に対する2023年の生産能力をすでに完全に使い果たしているため、米国外での市場投入は、早くても2024年になると思われる。

【ABJのコメント】
キャデラックがBEVになる。このことを私は全面的に賛成するし、こうでなくっちゃ、とさえ思う。なぜならばかつてキャデラックは(というかアメリカの高級車は)世界でももっとも最先端で快適で豪華な自動車であったからで、そういう意味ではガンガン最先端技術を導入し、先陣を切って歩んで行っていただきたい。

自動運転大歓迎、BEV化大賛成、そして、もっともっとエモーショナルに、アメリカを代表する高級車として君臨してほしい。テスラじゃなく、こっちこそがアメリカ車だと大手をふるって主張していただきたい、と思う。ちょっと残念なのはサルーン(セダン)ではなく、クロスオーバーモデルであることだが、これはそういう流れの世の中なのだから致し方ないのかもしれない。昔のセダンとか「エルドラド」のような自動車を求めるのは、フランク シナトラやディーン マーティンをもう一度と言っているようなもの。キャデラックという名前が残ってくれただけでもありがたいし、それに「EX01」とかいう味気ないネーミングではなく、「リリック」というペットネームをつけてくれたことだけでもGMに感謝したい。(KO)

Text: Stefan Grundhoff
加筆: 大林晃平
Photo: General Motors Co.