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【初テスト】ロータス エミーラにV6エンジン? それっていったいどうなの? 果たしてライトウェイトのロータスに6気筒エンジンは必要か?

2022年8月17日

ロータス エミーラ、V6エンジンでスリリングな走りを実現。近い将来ロータスは電気自動車メーカーになってしまうが、その前にエミーラは、クラシックなスポーツカーの美点を讃えているのだ。

伝統主義者はそれに怯え、他の人々はエレクトロモビリティをチャンスと考える。ロータスも後者の一つだ。英国ヘセルに本拠を置く軽量化スペシャリストであるロータスは、最近、「エリーゼ」、「エキシージ」、「エヴォーラ」の生産終了を宣言した。しかし、2023年に新しいオール電化モデルが登場するまでの経過措置として、内燃機関を搭載したスポーツカーがあらたに開発された。

その名も「エミーラ」。コンセプト的には、新しいミッドエンジンスポーツカーは、これまでのどの車よりも日常的な使用に適しており、より上品で快適なものとなっている。しかし、公道でもレース場でも、このブランドの特徴である横方向のダイナミックな才能はまったく失われていない。当初は、トヨタの遺伝子を受け継いだ3.5リッターのスーパーチャージャー付きV6、400馬力が搭載されるが、来年には「AMG A 45」の4気筒ターボ、360馬力と8速デュアルクラッチを搭載したバージョンも追加される予定だ。

マニュアル: オートマチックが用意されていたとしても、エミーラには必ず6速マニュアルを選択すべきだ。

エミーラにはマニュアル変速機がよく似合う

一方、V6バージョンは、ピュアでちょっとニヒルな6速マニュアルと、6速オートマチックが用意されている。だがもちろんオートマチックトランスミッションよりも自分でギアを変えるほうがよっぽど楽しい。オートマチックは面白くないし、反応が鈍すぎるし、パドルは内側にありすぎて届きにくいし、変速のクリック感もほとんど感じられない。

コーナーリングに意欲的: フロントアクスルは特にブレーキに素晴らしく従順で、荷重変化によりリアは直感的にターンインすることができる。

ワイドトレッド化でさらにダイナミックに

シャシー面では、ロータスは「エヴォーラ」のシャーシを進化させ、トレッドを広げ、かつて購入したステアリングシステムを自社開発したものに変更した。乗ってみれば実感できる。そして、なんと!特にブレーキング時には、フロントアクスルが見事に従順しさらにコーナーで軽くスロットルを操作すれば、荷重変化でリアが曲がっていくのが直感的にわかるように仕上がっているのだ。

【車両データ】

モデル ロータス エミーラV6ファーストエディション
エンジン V6、スーパーチャージャー付、ミッド縦置き
排気量 3456cc
最高出力 400PS
最大トルク 420Nm
駆動方式 後輪駆動、6速マニュアル
全長/全幅/全高 4412/1895/1225mm
ホイールベース 2575mm
乾燥重量 1,405kg
トランク容量 フロント151リットル+リア208リットル
0-100km/h加速 4.3秒
最高速度 290km/h
価格 95,995ユーロ(約1,340万円)より

エンジンの性能に関しては、あまり今までのモデルとの進化点がない。0から100km/hまでの加速は、4.3秒から4.2秒とコンマ1秒速く、最高速度は283km/hから29km/hと7km/h速くなっている。重量面では、ロータスは最も軽いバージョンで1405kgとなっている。

ドライバーは12.3インチのデジタルディスプレイを見ながら、時代と共に歩む。

仕事場はモダンになった

「エミーラ」のインテリアは、ロータスのモデルとしては、かつてないほどモダンな印象だ。中央の情報画面は10.25インチで、そのグラフィックは非常にテクニカルで、最新のガジェットをすべて提供する。価格面では、ほぼフル装備のファーストエディションは、95,995ユーロ(約1,345万円)からとなっている。その後、4気筒バージョンとともに、両エンジンモデルともより手頃な価格のベースモデルは、来年早々にも発売される予定だ。

ドライビングレポート ロータス エミーラ V6 ファーストエディション

ロータスは最近、エリーゼ、エキシージ、エヴォーラを生産終了した。だが2023年に新しいオール電化モデルが登場するまでの経過措置として、エミーラは内燃エンジンを搭載したスポーツカーとして開発された。我々は、エミーラのV6モデルの試乗を行った。
新しいミッドエンジンスポーツカーは、これまでよりもずっと日常的な使用に適した、より上品で快適なものになった。にもかかわらず、公道でもレーストラックでも、このブランドの特徴である横方向のダイナミックな才能はまったく失われていない。
当初は、トヨタの遺伝子を受け継いだ400馬力の3.5リッターV6スーパーチャージャーを搭載し、来年には、「AMG A 45」の4気筒ターボ(360馬力)と8速デュアルクラッチを搭載したバージョンを発表する予定である。
V6バージョンは、ピュアでちょっとニヒルな6速MTと、6速ATが用意されている。自分でギアを変えるMTがもちろんお薦めだ。オートマチックは面白くないし、反応が鈍すぎるし、パドルは内側にありすぎて届きにくいし、クリック感もほとんど感じられない。
シャシー面では、ロータスはエヴォーラのシャシーを進化させ、トレッドを広げ、かつて購入したステアリングシステムを自社開発したものに変更した。そして、特にブレーキでは、フロントアクスルが見事に従順で、スロットル操作で、荷重変化によるリニアなコーナリングが楽しめる。
重量面では、ロータスは最も軽いバージョンで1405kg(DIN)となっている。
エミーラのインテリアは、かつてないほどモダンな印象だ。中央の情報画面は10.25インチで、そのグラフィックは非常にテクニカルで、最新のガジェットをすべて提供する。
価格面では、ほぼフル装備のファーストエディションが95,995ユーロ(約1,345万円)からとなっている。4気筒バージョンと両エンジンの低価格なベースモデルは、2023年初頭から提供される予定だ。

結論:
ロータスは、クラシックスポーツカーの製作において、内燃機関の能力と可能性を最後に証明した。「エミーラ」は、とにかく運転が素晴らしい。そして、イギリスのメーカーが将来に向けて用意している電気駆動の可能性への期待を掻き立ててくれる。
AUTO BILDテストスコア: 2(スコアは1が最高)

【ABJのコメント】
先ごろ発表されたロータスのBEVを見たとき、複雑な気持ちになったのは、それがかなり大柄なSUVであったことと、なんとも重い車重の数値であった。ロータスと聞くと「ヨーロッパ」とか、「エラン」や「エリーゼ」といった、軽くシンプルなスポーツカーが頭に浮かぶ私としては、SUVのロータスというのがどうにも馴染めないモデルではあるのだが、それがロータスの生き残る道だと言われればどうすることもできない。

だが今回発表された「エミーラ」を見ると、ロータスのエンジニアたちの本当に作りたいのはやはりこっちの方向の車なのではないか、と感じてしまう。もちろん「エミーラ」だって、十分に大きく、重く、高価なスポーツカーではあるが、マニュアルミッションを搭載した内燃機関のモデルを、今この時期に世に問う、という方向性にはなんだか安堵と楽しさを感じてしまうというのが正直な気持ちである。価格を考えれば誰もが買えるスポーツカーではないし、もっとシンプルで、軽く、軽便なモデルを、という気持ちももちろんあるが、まずはロータスに内燃機関のモデルがあとしばらくは残留できた、という嬉しさを素直に感じていたい。(KO)

Text: Alexander Bernt
加筆: 大林晃平
Photo: Lotus Cars Ltd.