【エブリデイテスト】BMW M8コンペティション グランクーペを日常で試す その実用性と性能は?
2022年8月15日
エブリデイテスト。スポーツクーペを日常で試す。このBMW M8は楽しい・・・。そしてなんともうるさい! 楽しさと常識は必ずしも同列に語られるものではない。これはBMW M8コンペティション グランクーペでも同様で、それは日常的なテストが示すとおりだ。
625馬力のクルマが本当に必要なのか?もちろん、そんなことはない。しかし運転するのが楽しいか? 言うまでもない。そして、なんと(!)20万ユーロ(約2,800万円)以上の車を買える人は、たいてい隣地が見えないような家で暮らしをしているものである。
私の場合は(残念ながら)そうではなく、朝6時半ごろに「M8」のスタートボタンを押すと、その時に発生するサウンドで罪悪感に襲われそうになる。でも、どうしたらいいんだろう?もう行かなくちゃ。今日はベルリンに行くんだ。遅くとも今頃は、近所の人たちがみんな起き始めている頃だから、早く出かけた方がいい。
そして、「M8」は3.2秒で0から100km/hまで加速するので、「逃げ足の速さ」も問題ない。ついにアウトバーンに到着した。ほとんど反射的に、左車線(追い越し車線)に変更する。誘惑とパフォーマンスを両立させようと奮闘している。そしてウオームアップが終わると「M8」が疾走を始め、嬉しさがこみ上げてきた。
燃料レベル最小時の性能調整
メーターパネルには、平均速度約90km/hでの平均消費量、1リットル当たり8.1kmの表示がある。さらに、給油を促されると、ディスプレイに「Performance adjusted(性能調整)」も点灯する。
どういう意味か?「M8」は最小限のタンク容量(約3リットル)から、高負荷時の燃料不足によるミスファイヤーを防ぐため自動的に最高回転数と出力を制限する。その場合、トルクは約400ニュートンメートル、最高出力は約230馬力にまで低下する。この状態を終わらせるために、給油が必要とされた。
それを除けば、休憩は必要なかっただろう。「M8」はトラックスーツを着たビジネスマンであり、バケットシートは一見すると長旅の楽しみをあまり期待させない形状だと思っていたが、結局はその懸念が当てはまらないことに乗ってすぐに気づき、嬉しい驚きを覚えた。
でも、いちばん驚いたのはドリンクマーケットに行って、トランクに7箱の飲み物を入れるスペースがあること知ったことだ。エステートカーでも、中にはそれが積みきれない車種もあるのだ。
【エブリデイテスト最終評価】
通勤: エコロジーではなく、大きな喜び。 5点満点中3点
ショッピング: 荷台が高いのに、本当に広々としている。 5点満点中4点
運送: ステーションワゴンの中には、もっと少ない収納スペースのものもある。 5点満点中4点
ホリデー: 旅にはほぼ最適。 5点満点中4点
趣味: スキー用品とサッカーバッグには余裕がある。 5点満点中4点
家庭生活: 4人+荷物も問題なし。 5点満点中3点
【M8を手短に表現すると】
住宅街にて、M8を通勤に使っているサラリーマンの隣人の気持ち
早朝は避けるか、電車で出勤してください。
なぜ、親友にこのクルマを勧めるのか?
スポーティでラグジュアリー、そして快適。AからBへの移動は、これ以上のものはない
テクニカルデータおよび価格: BMW M8コンペティション グランクーペ
• 最高出力: 625PS
• 全長/全幅/全高: 5098/1943/1420 mm
• トランク容量: 440 l
• 0-100km/h加速: 3.2秒
• 最高速度: 305km/h
• 平均燃費: 8.6km/ℓ
• 価格: 172,200ユーロ(約2,410万円)より
【ABJのコメント】
「BMW M8」コンペティション グランクーペ(なんとも長い名前である……)を普通に、日常使用するというAUTO BILD一流の記事を読んで一番感銘したことは、ちゃんと飲み物のケースを7ケース積んで、写真を撮っていたことだ。言ってみればビールのケースをわざわざ用意して、しかも中身まで入ったまま、2,410万円の超高性能「M8コンペティション グランクーペ」に積むというこの凝り方。ボディの汚れや映り込みを見る限り、決してやらせではなく、スーパーマーケットで買って、その場で写したかのような写真を見ながら、ウームやるなぁ、と感じた次第である。
そんなことはさておき?「M8コンペティション グランクーペ」は、もはや625馬力もあるスーパーカーで、しかも7ケースもの(しつこくてすみません)飲料水を乗せて300km/hで走ることができる自動車である。もうこの領域になってしまうと、趣向品と一緒で、好きだからという理由で買っても、なんら不満などあろうはずもないジャンルだし、オプションを加えると、こみこみで3,000万円近い金額を躊躇なく出せる方には、ぜひ迷わず内燃機関のなくなる前に購入しておいてほしい。今のうち、といっては卑怯かもしれないが事実なのだから仕方ない。
それにしても、もはや幅が2メーター、長さが5メーターもあるとは、数値を見て初めて実感したし、この手のスーパーカーの「エンジン始動時に、こけおどしに吠える癖」だけはやめてほしい。せっかくのBMWなのだからもっとスマートにあってほしいのである。(KO)
Text: Maximilian Bitter
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de