【このクルマなんぼ?】六本木のカローラ BMW 323i(E30) 走行距離たったの260kmの3シリーズ その驚異の価格は?

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なんと!!このBMW E30は12万ユーロ(約1,680万円)もするのだ!37年を経て260kmという驚異的な走行距離の少なさ。このBMW 323iは、文字通りタイムカプセルだ。そして、オークションに出品中だ!

もちろん仮にだが、クルマを買うのに12万ユーロ(約1,680万円)の余裕があるとする。あなたなら何を買うだろうか? 新車の「ポルシェ911(992)カレラ」? 中古の日産GT-R?あるいは「メルセデス280SE」や「VW T1サンバー」のようなクラシックなものだろうか。だが、驚くことに「BMW E30」という選択肢もあるのだ。

この赤い「3シリーズ」はクラーゲンフルト アム ヴェルターゼーのディーラー、Meyer Hafnerが販売する「E30」で、おそらくこのコンディションでは唯一無二の、まさにタイムカプセルだ。

新品同様: 塗装やトリムパーツは、クラシックカーというより、ずっと新車に近い印象だ。323iは非常に良い状態で保存されている。

323iは新車

37年の時を経て、アナログのスピードメーターは260kmという驚異的な数値を示している。むろん、このクルマはフルレストアされた個体ではない。「E30」は、実質的に新車で、260kmは、必要に応じた移動のために走行したものだ。写真で見る限り、「323i」は本当に新車のように見える。塗装は完璧な状態で、オリジナルの純正レカロ製スポーツシートはまるで誰も座っていないかのように見えるし、クロームパーツは1985年に納車されたかのように輝いている。

魅力的: スピードメーターの走行距離がわずか260kmであるため、インテリアが新品のように見えるのは驚くことではない。

インテリアは新車のような香りを放っているというし、同時にディーラーは「E30」に構造的なダメージはまったくないと約束している。驚くことに、1985年に装着された最初のタイヤまで完全にオリジナルの状態である。もちろんタイヤは交換必須だろうが・・・。

左下の1速

レカロシートのほか、BMWバイエルン純正ラジオ、機械式リミテッドスリップデフ、リアスポイラー、3スポークレザーステアリングホイールなどが搭載されている。フロントヒンジのボンネットの下には、珍しい2.3リッター6気筒エンジン(M20B23)が搭載され、当初139馬力、1983年末からは150馬力を後輪に供給していた。動力伝達は、1速を左に倒したドッグレッグレイアウトの5速マニュアルギアボックスで行われた。

2代目となる「BMW 3シリーズ」は1982年に発売され、1994年までの長い期間、サルーン、ツーリング、クーペ、コンバーチブルが提供された。最新(1994年製)のものでも、近いうちクラシックカーになりつつあり、安価な「E30」はむしろ例外的な存在になっている。特に6気筒の「320i」、「323i」、「325i」は人気が高く、それに応じて価格も高くなっている。象徴的な「M3 E30」はもちろん、「320is(Italo-M3)」や「333i」など希少なスペシャルモデルも価格は上昇し続けている。

E30は現在、低価格で手に入ることはほとんどない

良好なコンディションのオリジナル「325i」が3万ユーロ(約420万円)という価格は、もはや珍しいものではない。この「323i」はさらにレアだが、通常はもう少し安い。運が良ければ、2万ユーロ(約280万円)以下で良品が手に入ることもある。

信じられないことに、このE30は過去37年間で260キロしか走っていないのだ。

323iの価格は6桁に達している

しかし、この特別な「323i」は、新車時のそれとは銀河系を超えた存在だ。無事故、新車当時の塗装のまま(走行距離の少なさを考えれば当然)の「323i」に、ディーラーは119,990ユーロ(約1,680万円)という高額な価格を提示している。これは、新車の「ポルシェ911(992)カレラ」や「BMW M3 G80」の価格だけでなく、多くの「BMW M3 E30」の価格よりも高いのだ。

さらに、重要な情報として、この「E30」は登録されたことがあるのか、ということも全く不明である。そうでないと、ドイツではクーペの正式な登録が難しいかもしれない。この点は売り手に確認する必要がある。一方、このユニークな「323i」は、いずれにせよコレクターのガレージに収まる可能性が高い。

【ABJのコメント】
BMWの「3シリーズ」、「E30」はバブル期に大ヒットした。自動車史に残る名車にもかかわらず、東京都内では数が多すぎて希少性がなく、「六本木のカローラ」などと揶揄されていたが、本当の価値を知っていた人はごく少数だったのではなかろうか。大きさも内容も、じつに「BMW 2002」再来といってもよいほどの内容を持った、小粋な軽快車であった。

当時の日本でも、300万円くらいという値付けで「318」を中心にヒットし、「318」のバッチを「320」か「323」に交換して乗るというバッチ詐欺が横行した(メルセデス・ベンツの場合には、380を500とか560に変えるのが流行った。なぜかBMWの5シリーズに関してはそういう話を聞かず、520のバッチを528とか交換していた人は知らない)。

そういう「323」だが、走行260kmの事実上の新車が1,680万円。私はさすがにこの金額を「E30」に今費やすほどの豪胆さは持ってない。新車であの頃が買えるタイムカプセルとはいえ、ここまでの金額を「3シリーズBMW」に出せるほどの人とは・・・。あの頃を愛し、あの頃を懐かしむ。そんな人を僕はキライではないし、尊敬するけれど、走行260kmじゃあもったいなくて距離を刻めないよなぁ、飾っておくしかないじゃないか、と小市民は余計なことを心配してしまうのである。(KO)

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Meyer Hafner