【名車物語 その1】庶民のためのアメリカンスーパースポーツカー シボレー コルベットC7 Z06ストーリー
2022年7月21日
2014年に登場したコルベットC7 Z06、8年が経過してもその実力はまだまだ健在!2017年のテストでは、シボレー コルベットC7 Z06が真のベンチマークとなった。しかし、現在でもこのアメリカのスーパースポーツは大物に対抗できるのだ!
まるでハリウッドの脚本から飛び出してきたかのように、「コルベット」は集まったスーパースポーツに対しても究極のスペクタクルを解き放った。
2014年に登場した「C7 Z06」は、その日に集まった、彼の前に立ちふさがろうとするものすべてをたちまち蹂躙した。「日産GT-Rニスモ」、「マクラーレン650S」、そして現代の「ポルシェ911ターボS」まで。彼らは皆、優れたサーキット走行性能とリーズナブルな価格という、「コルベット」の持つ無敵の組み合わせに負けを認めざるを得なかった。
その時の比較テストでは、最後の最後で、「メルセデスAMG GT R」が5台の「スポーツカー対決2017」で「ベット(Vette)」の前に立ちふさがり、打ち破ろうとした – だがAMGは悔しさを噛みしめなければならなかった。ザクセンリンクサーキットで2,800分の1秒速くても、「AMG GT-R」は結局、価格&性能比でも負けを認めざるを得なかった。その44,000ユーロ(約620万円)を超える価格差は、この高価格帯のクラスでも議論になる。
C7 Z06 V8搭載、650馬力以上
7代目「ベット」は、たった6年の間、我々を魅了した後で、新世代からそのクラシックなフロントエンジンレイアウトをミッドエンジンレイアウトへと変更した。
今回の取材では、ベルリンのディーラー、クラム(Kramm)の好意で、撮影用に7代目コルベットの「Z06」を用意してもらった。その後輪駆動方式の走りも、7速マニュアルトランスミッションも、名器スーパーチャージャーV8から生まれる音も、純粋にスポーツカー愛好家を悩殺するものだった。アメリカンスポーツカーのアイコンモデルを操る喜びがそこにはあった。
テクニカルデータ: シボレー コルベットC7 Z06
エンジン: V8、スーパーチャージャー、フロント縦置き
排気量: 6162cc
最高出力: 659PS@6000rpm
最大トルク: 881Nm@3600pm
駆動方式: 後輪駆動、7速マニュアル
長さ/幅/高さ: 4514/1965/1239mm
乾燥重量: 1,598kg
0-100 km/h加速: 3.8秒
最高速度: 315km/h
平均燃費: 7.8km/ℓ
価格: 116,900ユーロ(約1,650万円=2017年当時)
結論:
一番いい時に止めた方がいい。コルベットはこの言葉を真摯に受け止め、「C7」を持って、トランスアクスル時代に終止符を打った。しかしそれでも、未来は明るい。「C8 Z06」、ミッドエンジン、フラットプレーンクランクV8。コルベットよ、永遠なれ。
【ABJのコメント】
現代のアメリカで迷うことなく名車と呼べる車種は・・・。個人的にはキャデラック(の一部)と、「ジープ ラングラー」、そして「コルベット」なのではないだろうかと思う。もはやそこにビュイックもオールズモビルの名前もないことはなんとも寂しい限りだが、まだストレートに名車だと思えるアメリカのたのもしい車が残っていることには安堵感を覚える。
そんな中でも「コルベット」はアメリカン魂を持った純粋なスポーツカーで、もはや直線番長でも、トルクだけの大柄なスポーツカーでもなく、世界水準で見ても素晴らしい一台である。「コルベット」といえば、長年OHVでFR、というのが定説であったわけだが、OHVだったことにも、FRであったことにも、代えがたく力強い理由があったからで、決してノスタルジーだけで固執していたわけではない。そんなコルベットがミッドシップになってしまう、しかもそのスタイリングはどこかフェラーリっぽい、ということで現行「C8」登場の際には喧々諤々の論争になったことを思い出す。
もちろんミッドシップになることも、正常進化することにも反対する理由はなく、そこにもエンジニアたちの熱い思いを感じることはもちろんできるが、やはり「C7」の持っていたあの温度というかほとばしる情熱みたいな形と成り立ちがなくなってしまうことに寂しさを感じる。僕のような「コルベット」ファンでなくともそうなのだから、熱狂的なファンの気持ちは推して知るべし、だろう。もちろんミッドシップの「コルベット」は素晴らしい出来であり否定などできないほどのスポーツカーである。だがその一方で、この「C7」は、今後、「最後のFRコルベット」として末永く記憶され、愛され続けられる存在であることはゆるぎないと思う。(KO)
Text: Alexander Bernt
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de