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新型パガーニ ウアイラ コーダルンガは1台たったの7百万ユーロ(約10億円)です

2022年7月9日

パガーニ ウアイラ コーダルンガは、ウアイラのロングテールバージョンで5台しか作らない。その840馬力のハイパーカーの基本価格は、なんと大台の700万ユーロ(約10億円)!

パガーニほど、スモール(限定少量生産)シリーズや、ワンオフの作り方や売り方を習得しているメーカーはないだろう。2011年に「ウアイラ」がオラシオ パガーニの最初の作品となったが、イタリア人は、今日まで新しい「ゾンダ」のワンオフモデルを発表し続けている(最近では、新品の760ロードスターも発表されている)。そして、その「ウアイラ」も常にさらなる進化を遂げている。

100台の「ウアイラ クーペ」と100台の「ウアイラ ロードスター」、20台の「ウアイラBC」、5台の「ウアイラ イモラ」、40台の「ウアイラ ロードスターBC」を経て、2021年にレーストラック専用に開発された自然吸気V12エンジン搭載の「ウアイラR」が発表された – 「史上最も過激なパガーニ」として、「ウアイラ」の最後の拡張ステージとして君臨した。しかし、パガーニは、決して「ウアイラ」の生産を終了したわけではない。

ウアイラ コーダルンガのリアは、36cm延長され、完全に再設計された。

つい最近、「ウアイラBC」をベースにガルウィングドアをなくし、ルーフにエアスクープを装備したワンオフモデル、「ウアイラNC」がデビューした。そして、それからわずか数週間後、パガーニは「ウアイラ コーダルンガ(Huayra Codalunga)」のベールを取り公開した。この特別なモデルが、本当に「ウアイラ」のラストバージョンになるのだろうか。

コーダルンガの構想は、2018年に生まれた

「コーダルンガ」の起源は2018年、長年の顧客である2人が、オラシオ パガーニに、「ウアイラのロングテールバージョンをデザインしてほしい」と持ち掛けたことにある。ロングテールは、イタリア語のCodalunga(コーダルンガ)の英訳で、長い尾という意味だ。

最初の構想から4年、「コーダルンガ」が完成した。5台のみ生産され、1台当たりの基本価格は少なくとも700万ユーロ(約10億円)になる予定だ。

ウアイラ クーペのみガルウィングドアを採用し、「ロードスター」モデルでは通常のドアとなる。

このプロジェクトは、2011年に発表された「ウアイラ クーペ」をベースに、ワンオフとスモールシリーズのための特別部門「パガーニ グランディ コンプリカツィオーニ(Pagani Grandi Complicazioni)」によって実現されたものである。1960年代のル・マン24時間レースで活躍した流線型のレーシングカーからヒントを得たものだ。

目標は明確で、「コーダルンガ」はただ長いだけでなく、よりエレガントであるべきだった。この先何十年も、世界中のコンクール会場で人々をワクワクさせ続けるクルマである必要があった。

通常のウアイラより36cm長い

そのために、リアエンド全体のデザインを一新した。「コーダルンガ」の文字が入ったエンジンカバーは36cmも長くなり、もはやノーマルの「ウアイラ」とは何の関係もない。

しかし、それは序の口で、リアセクションは完全に再設計されている。片側3灯の配置が変更され、隣り合うように配置されている。出っ張ったディフューザーやグリルインサートが廃止され、リアの表情が一変した。

しかし、「コーダルンガ」に欠けてはならない要素がある。それは、象徴的な4本出しのチタン製セントラルエグゾーストで、重量はわずか4.4kg、特殊なセラミックコーティングが施されているという。

ウアイラ コーダルンガでは、V12ツインターボが840馬力と1,100Nmを発揮する。パガーニ社は走行性能については言及していない。

重量というキーワードは、他のパガーニと同様、もっとも重要な要素で、すでに完売しているスモールシリーズが極めて軽量であることが理由だ。カーボントライアックスモノコックと、カーボンとチタンの多用により、V12エンジンを搭載した全長5メートルの「コーダルンガ」の重量はわずか1,280キロだという。それは、装備の充実した「VWポロ」と同じくらいの重さになる。

V12ツインターボ(840馬力/1,100Nm)

6.0リッターV12ツインターボは、1,280キロの車重を軽々と動かすはずだ。「ウアイラ コーダルンガ」では、パガーニ製V12が最高出力840馬力、最大トルク1100Nmを発生し、おなじみのゲトラグ製7速シーケンシャルギアボックスで後輪に伝達される。

パガーニは性能の数字を明らかにしていないが、0から100km/hまでのスプリントが約3.0秒、最高速度が約350km/hという値は、現実的なものだろう。

しかし、最高性能が開発の最優先事項でなかったことは確かだ。「コーダルンガ」はレーストラック用というより、格式の高いイベント用に設計されたからだ。したがって、最初のお客様の車のカラーは、部分的にマット仕上げを施したブルーシルバーでエレガントなものとなっている。

ビジュアリーカーボンの大々的な使用は見送られ、フィリグリー7スポークのホイールは、ワンオフの「ゾンダ ベンティ」のホイールを彷彿とさせる。

特に洗練されたインテリア

インテリアでは、ブラウンのヌバックレザーと特殊な編み込みを施したレザーを多用し、ここでもこのプロジェクトならではのエレガントなアプローチを表現している。

ブラウンのヌバックレザーと特殊な織りのレザーインサートを使用した高級感のあるインテリア。たしかにスペシャルな内装ではある。

「ウアイラ クーペ」のガルウィングドアは、「メルセデス300SL」を模したもので、「コーダルンガ」にも継承されている。

基本価格: 700万ユーロ(約10億円)&すでに完売状態

700万ユーロ(約10億円=推定ネット価格)のベース価格にもかかわらず、「パガーニ ウアイラ コーダルンガ」の5台はとっくに完売している。この壮大なプロジェクトは、個性化への欲求が高まっていることを示すだけでなく、ビジョンがいかにして現実のものとなるかを示している。そして、「コーダルンガ」が本当に「ウアイラ」最後のスペシャルモデルなのかどうか、楽しみに待ちたい。

【ABJのコメント】
残念ながら現物を触ったことも座ったこともないけれど(遠くのほうにその姿を見たことはある)、パガー二はウン億円で売られ、ちゃんと欲しいオーナーのもとに納車されているらしい。今回の「パガーニ ウアイラ コーダルンガ(もちろんその形状に由来する名前)」も、10億円の大台を超えて完売したらしい。10億円と聞くとさすがにびっくりな金額に思えるが、昨今のハイエンドスーパーカー市場の中では、ブガッティやフェラーリでも見かける(?)金額で、感覚がマヒしているのか、まあどうでもいいかと思うようになった。

10億円で5台、つまり50億円で儲かるのかどうかはよくわからないけれど、一種の派生車種と考えれば、それなりの利益にはなるのだろう。今回のモデル、車重だけは1,200kg台と、この手の車の中では、容認できる数値で発表されている。もっと革命的に軽かったらさらによかったけれど、ほかの腰が抜けるほど重いスーパーカーから比べれば悪くないかな、とは思う。(KO)

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Pagani Automobili