BEVとなって蘇るアイコン 「エバーラティ」がポルシェ 911、メルセデス SLパゴダ、フォード GT40そしてランドローバーをコンバージョンする

1162
- Advertisement -

イギリスのエバーラティ(Everrati)は、クラシックカーを電動化する。イギリス企業の最新プロジェクト、ランドローバー シリーズIIA。

英国のエバーラティ社は、自身、自動車愛好家であるジャスティン ルーニーとニック ウィアムスの2人が創った会社であり、2019年から、自動車の貴重品を修復し、内燃機関を現代の電気駆動に置き換える作業をしている。

フロントやリアに電動モーターを搭載してもクラシックカーのキャラクターは変えず、クラシックカーのブランドロゴも踏襲している。内燃機関のバブリングやバブリーな音ではなく、エンジン始動時のわずかなヒューンという音だけになっている。一方、スイッチや操作系はオリジナルのままなので、エバーラティ版の「ポルシェ911(964)」、「メルセデスSLパゴダ」、「フォードGT40」は、マフラーがないことでしか、見分けがつかない。

偉大なる名誉: ヴェルサイユ宮殿での舞踏会では、電動化されたランディが、シャトルとして、その輸送能力を発揮することが許された。

クイーン バースデーで初公開

「ランドローバーシリーズIIA」は、ヴィクトリア女王の203回目の誕生日を祝うヴェルサイユ宮殿での舞踏会で、シャトルカーとして初公開された。「エバーラティ オートモーティブの創業者兼CEOであるジャスティン ルーニーは、「世界で最も権威のある高貴なイベントに参加することは、エバーラティ社にとって大変な名誉であり、我々の電動化されたアイコンは、ゲストの経験の重要な一部となるでしょう」と、その喜びを誇らしく語っている。

ソケットの代わりにプラグ。EVへの変換後は、電気を燃料として利用できるようになる。ランドローバーのバッテリーは満充電にすると約200kmを走れるという。

バッテリーはアンダーボディの中にある

「ランドローバーシリーズIIA」は、オックスフォード州アッパーヘイフォードにある、エバーラティの開発センターで、過去数ヶ月間にわたって大規模な開発およびテストが行われてきた。旧来の内燃機関の代わりに、150馬力(110kW)、最大トルク300Nmの電動モーターを搭載し、そのエネルギーはアンダーボディのバッテリーパックから供給される。純粋な電気自動車として、次の充電ステーションまで、約200kmの距離を走行することができる。希望すれば、オフロードでも活用できるように改造することも可能だそうだ。

スポーツカーのアイコンがパワーアップ: エバーラティの最もパワフルなポルシェ911は500馬力を超える。

エバーラティはポルシェにとどまらない

スポーツカーに乗る人には、エバーラティがクーペ、カブリオ、タルガとして提供しているポルシェ911(964)が当然、よりおすすめだ。ピュアバージョンは440馬力、100km/hまでの加速は4.5秒以下、航続距離は300km弱だが、アッパーパワーユニットのバージョンは500馬力以上と、さらにダイナミックな仕様になっている。しかし、その価格は約23万6,000ユーロ(約3,260万円)相当からと、決して安くはない。

プレシャスパゴダ: 新しいドライブパッケージを搭載したクラシックなメルセデスは、エバーレイティで約35万ユーロ(約4,830万円)に相当する。

電動パゴダはコストが高い

エバーラティの車種の中でも、伝説的な「メルセデス パゴダ」の電動バージョンでは、購入希望者はより多くのコストを覚悟しなくてはいけない。35万ユーロ(約4,830万円)弱で、180馬力(132kW)、550Nmのトルク、約250kmの航続距離、そして7秒強という非常に優れたスプリントタイムを手に入れることができる。

【ABJのコメント】
あなたなら今までの古今東西の自動車の中で、今回のように電動バージョンにコンバートしてもらえるとしたら、どのモデルをしてもらいですか? なかなか興味深いし、今後の世の中の流れを考えていくと、あながち夢物語とはいえない話である。

個人的には、昔の「フィアット トッポリーノ」とか、思い切って「アストンマーティン ラゴンダ」あたりを電動化してもらい、しずしずと走るのなど悪くなないかな、と思ってしまうが、いずれにしろ大切なことはその車が(少なくとも自分にとっては)格好良く、魅力があるかどうかが大切である。

今回のエバーラティに選ばれた車たちは、どれもかなり魅力的で、これならば電動化されてもいいなぁ、と思うような車たちである。もちろん「911」があの魅了的なエンジンを捨てて電気自動車になってしまうことには抵抗がある人も多いだろう。でももし電動自動車しか乗れなくなる時代が来るとしたら、これはこれで致し方ないソリューションなのかもしれない。

とはいっても短い航続距離の車に、5,000万円近くを出せるかというと個人的にはまったく無理な話で、まあそういう部分でも、今のところこれは限られた特殊な層のための、特別な世界の話であることは言うまでもない。少なくとも数百万円くらいでコンバートできなければ、一般庶民にはどうにもならないように思う。(KO)

Text: Stefan Grundhoff
加筆: 大林晃平
Photo: Everrati