【クラシック オブ ザ デイ】極めて希少なBMW M5(E34) スペシャルモデルM5の価格はフェラーリ812より高い

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この極めて希少なBMW M5スペシャルモデルの価格はフェラーリ812より高い。BMW M5 “20 Years of BMW Motorsport”は、わずか20台しか製造されなかったモデルである。その中の18号は実質的な新車で、それなりに価値があると思う。

「BMW M5 “20 Years of BMW Motorsport”」って、モデルがあったことをご存知ですか? フェラーリやランボルギーニの新車より高価な「BMW M5」?そんなの存在しない? いや、あるんです!しかし、ここで紹介する「M5(E34)」は、普通の「M5」とは一線を画している。1992年に20台だけ作られた特別モデル「20 Years of BMW Motorsport」は、長年にわたってコレクターズアイテムとして人気を博してきた。

その極めて希少な価値を有する「M5」を提供するのは、BMWを中心とした希少なヤングカーやクラシックカーを専門に扱うディーラー「ミント クラシックス(Mint Classics)」だ。特別なモデルの20台は、すべて連番で、18番目となる売りに出されている「BMW M5 “20 Years of BMW Motorsport”」は、コンディション的にもユニークなものだ。理由は簡単で、スピードメーターの走行距離が5,000キロ未満だからで、実質的に30年前の新車のようなものだからだ。

20台のM5 “20 Years of BMW Motorsport”はすべて「ムジェロ レッド」に塗装され、ホイールにはブラックスターがあしらわれている。

20台すべてが “ムジェロ レッド “に塗られている

そのため、この「M5」のスペシャルモデルが、広告写真で完璧なコンディションを示していることは驚くには値しない。「ムジェロ レッド(274)」の塗装は、1992年の納車時と同じ輝きを放ち、プラスチックトリムは色褪せることなく、BMWファンの間で「Wurfstern(スローイングスター)」または「Schaufelräder(パドルホイール)」と呼ばれるブラックスター付きの17インチホイール(Styling 21 M System II)は、まるで新品のように磨き上げられた状態になっている。

レカロシートには、特別なMファブリックと特別なモデルだけに用意されたアマレッタの表皮が採用されている。

この無垢な印象は、インテリアにも受け継がれている。特別な「M装飾」の施こされたレカロSRシート(特別表皮9990)は、限定特別モデル「20 Years of BMW Motorsport」でのみ使用され、この個体では未使用のままとなっている。このほかにも、BMWモータースポーツの文字が織り込まれた赤いシートベルトや、赤いアクセントを加えたカーボントリムなど、赤一色で納車された「M5」の具体的な特徴を紹介している。センターコンソールには、前述のバッジがあり、どの製造番号の車であるかの情報を得ることができる。

特別仕様車には3.8リッターエンジンが搭載されている

また、前面にヒンジを持つボンネットの下も見ておきたいところだ。そこには340馬力と400Nmという性能の3.8リッター直列6気筒エンジン(S38)が鎮座しており、走行距離は5,000kmにも満たないが、まるでオーバーホールを終えたばかりのようなクリーンで美しいエンジンである。また、通常の「M5」にもオプションで用意されていたニュルブルクリンクサスペンションパッケージも特別仕様車の一部となっている。

3.8リッター直列6気筒は、まるで新車のようだ。当たり前だが、M5はまだ5,000kmも走っていない。

1992年当時、特別モデルのパッケージ価格は8,500マルク(約62万円)で、すべての注文に限定プレート付きの1:43スケールモデルが付属していた。ベーシックバージョンの「BMW M5(E34)」は、1988年に98,800マルク(約720万円)であった。その価格は、製造の最終年には124,000マルク(約900万円)にまで上昇した。

今日の価格と比較すれば、これはバーゲンである。なぜなら、すでに人気のあるクラシックのこのような特別な個体は、決して安く買えるものではないことは、誰の目にも明らかだからである。ミント クラシックスのホームページには、価格が記載されていないが、「Classic Driver」誌には、このスペシャルモデルの「M5」が45万ユーロ(約6,400万円)という破格の値段で掲載されている。これは状態の良い「M5(E34)」の10倍以上、800馬力のV12を搭載した新車の「フェラーリ812スーパーファスト」の価格(30万ユーロ=約4,200万円弱)以上だ。しかし、この特別な「M5」と比べると、フェラーリが大量生産されていることを考えれば、まずます納得のいく価格とも言えよう。そして、今後、ますます、その価格は高騰することが想定される。

【ABJのコメント】
BMWの「M5」の歴史の中でも、この「E34」の「M5」は名車であるといって構わないだろう。まだまだ「M5」という名前が特別な輝きを持ち、街で見かけることなどめったにない、そんな時代のスーパーセダン、それがこの「E34」の「M5」である。ライバルはもちろん「W124」の「500E」で、好敵手というのはこういう2台のことを言うのだろう、そんな2台だった。

その「M5(E34))の新車(みたいなの)が売られている、しかもスペシャルなモデルで、カラーも珍しいレッド、というのが今回の物件であるが、価格は6400万円・・・。希少価値があることも認めるし、程度が素晴らしくいいことは写真を見れば明らかである。だがこの値段を出すかというと、躊躇してしまうというか、そもそも無理な天井価格なのであった。そういえばこの「E34」の「M5」の中古車の中でも、かなりぼろい一台を20ウン年前に購入して乗っていた人を思い出した。ボディカラーは色あせていて、ボンネットのBMWのマークがはげちょろになったその一台の価格を聞いたら、当時売っていた「トヨタ マークⅡ」の新車より安い価格だった。それでも嬉しそうに、彼は「M5」を所有できた喜びを、周囲に語っていたことを、ほほえましく思い出す。もはやなんともはるか遠い昔の話である。(KO)

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Mint Classics