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フォルクスワーゲン アトラス クロススポーツは北米市場専用モデル

2020年4月3日

初テスト VW初のクーペスタイルSUVの評価は? 日本での販売は?

北米仕様のVWアトラスに、スポーティなバージョン、クロススポーツが加わった。しかしその走りはアメリカンなVWアトラスのままだ。

ヨーロッパにおけるフォルクスワーゲン最大のSUVは約4.7メートルの長さのティグアン オールスペースだ。
しかし、あなたがより大きなVWを探しているのであれば、北米で簡単に見つけることができる。
全長5.04メートルのアトラスは、立派な寸法でありながら安価なクロスオーバーだ。
そしてこの7シーターSUVに、新しく、よりスポーティなオフロードモデル、アトラス クロススポーツが加わった。

後方のスペースは非常に広々としている

新型アトラスは4.97mと少しだけ短くなり、ルーフラインが2列目シートの後ろに傾斜していることで、ややダイナミックさが増している。しかしその分、荷室スペースが少し失われている。
また見た目にも違った印象を受ける。フロントエンドやホイールベースは変わらないので、リアのスペースはこれまで以上に余裕があるし、リアシートバックを完全に倒せば、2,203リットルという十分な収納スペースが現れる。
アトラス クロススポーツの発売に伴い、アトラスファミリーは、全体的に控えめなマイナーチェンジ(モデルアップグレード)も行われた。そのエンジンラインナップは何も変わっておらず、235馬力2リッター4気筒ターボガソリンエンジンに加え、276馬力3.6リッターV6エンジンも用意されている。
現代的な2.5リッターターボV6エンジンは、より需要の高い中国市場用に使われており、アトラスはほぼ同じかたちで、中国ではテラモントとして販売されている。ヨーロッパの国々でも多くの人々がアトラスの発売を心待ちにしていると思う。

3.6リッターV6エンジンの出力は276馬力だ。
クロススポーツは、通常のアトラスよりも背が低く、5人分しかシートが備わっていない。それでも十分なスペースは確保されている。実用性は高そうだ。

動力性能の面では、アトラスは典型的なアメリカ車であることに変わりはない。

アトラス クロススポーツの価格は、各種アシスタンスシステムを含め、18インチホイール、LEDヘッドライト、レインセンサー、6.5インチ(16.5cm)スクリーン、無線LANの備わった前輪駆動の4気筒バージョンが、34,000ドル(約370万円)にも満たない。これは他のSUVと比べてもバーゲンと言えよう
おすすめの4輪駆動と人気のV6ターボエンジンのモデルにオプションをフル装備した場合でも、トップモデルのアトラス クロススポーツSELプレミアムR-Lineは、5万ドル(約550万円)を少し超える値段だ。フロントとリアのシートヒーター付きレザーシート、電動テールゲート、ナビゲーション、21インチアルミホイール、豊富なアシスタンスシステムに加えて、北米ではヨーロッパのユーザーと同じように、温かみのあるスポーティな装飾が施されている。室内のいくつかの部分では安価な硬質プラスチックに触れることもあるが、ダッシュボードやトリムには人工皮革が使用されており、十分な質感といえる。

動力性能に関しては、通常のアトラスと大きな違いはない。
クロススポーツはリアのオーバーハングが7cm短くなっているため、数kgの軽量化が図られているものの、性能的にほとんどかわるところはない。
シャシーはアメリカ市場向けに特別に設計開発されているため、クロススポーツは長距離走行に適したリラックスしたクルーザーとなっている。
ハンドリングも乗り心地も十分以上ではあるが、コストと顧客層の面から、ロール補正機能を備えたアダプティブダンパーは用意されていない。

見た目といい、性能といい、価格といい、これはVWの好きな人の多い日本でも意外に受けるのはないだろうか。

渋い色だ。アメリカにもこういうボディカラーを好むユーザーがいるのだと気付かされる。
きれいに整理されてアレンジされたインスツールメントパネルとダッシュボード。つくりはゴルフ、パサート並みにかなりよさそうだ。
7人乗りからシートを2つ減らして、3列目をなくしたこともあって、リアは広々としている。特に足元は広そうである。
リアシートを畳めば、2,203リットルという巨大なラゲッジスペースが生じる。汚れに強そうな、ビニールのマットがVWらしい質実剛健な感じである。
リアもすっきりして好ましいデザインだ。クロームメッキがないと、さらに良いのだが。

Text: Stefan Grundhoff
Photo: Volkswagen AG