【さらばV型12気筒】アストンマーティン ヴァンテージ最後のモンスターV12エンジン搭載モデル

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まもなくV12ヴァンテージに別れを告げる700馬力のフルパワー。V12エンジンがヴァンテージに搭載されるのはこれが最後となる。アストンマーティン、モンスターエンジンの終焉を語る!

「ヴァンテージ」の生産期間の終わりに、アストンマーティンは初めてV12への別れの言葉を口にする。車そのものにではなく、ボンネットの下にあるV12に対してだ。現行モデルでは、強力な5.2リッターを再びフロントアクスルの後ろに搭載し、限定で333台のみ生産する。

そしてすでにその333台すべてが完売しているのは、「アストンマーティンV12ヴァンテージ」が、このレジェンドなクルマを新車で購入できる最後のチャンスだったからかもしれない。

最高出力700馬力、最大トルク753Nm、最高速度322km/h

ツインターボは700馬力を後輪に送り、753ニュートンメートルのトルクもそれに劣らず素晴らしい。アストンマーティンは、最高速度を322km/hに設定し、0から100km/hまでを3.5秒で達成するとしている。

V12ツインターボは700馬力を後輪に送り込む。

この性能を安全に発揮させるために、開発陣はシャーシと、とりわけエアロダイナミクスを駆使した。ワイドボディの設計により、40ミリメートル広がったトレッドは、リアアクスルに機械式リミテッドスリップデフを装備している。ウィングパッケージは、最高速度で204kgのダウンフォースを発生させる。

V12ヴァンテージは、2022年夏にデリバリー予定

軽量化されたエキゾーストシステムは、通常のヴァンテージと比較して7.2kg、カーボンファイバー製バケットシートはさらに7.3kgの軽量化を実現している。410枚のディスクを使ったカーボンセラミックブレーキシステムは、さらに23kgの軽量化を実現し、減速時の安定性も高めている。

また、ボディ剛性を8%、バネ定数をフロントで50%、リアで40%向上させ、より手ごたえのあるドライビングを実現している。デリバリー開始は2022年夏を予定している。
いよいよV12へのカウントダウンといえよう。

【ABJのコメント】
アストンマーティンといえばV12、そういうイメージをお持ちの方も多いはずである。もちろん直6もV8もあったし、「DB5」のボンドカーのイメージをお持ちの方にとっては、アストンマーティンのイメージはV12ではないのかもしれないが、現在のラインナップを見る限り、V12がアストンマーティンのイメージリーダーであることは間違いないだろう。

そんな12発も世の趨勢に勝てず、いよいよその命運も秒読み状態となった。別に無理に「どうしても12気筒を残してほしい」とは個人的には思わないし、骨太なイメージを残しながらも、スマートで格好の良い自動車として存続してくれるのであればパワーユニットが変貌することに反対はしない。でも心のどこかで、こういう少数のスーパースポーツカーくらい、ひっそりと完全バランスの12気筒が残ってもいいのではないだろうか、という惜しい気持ちももちろんある。カーボンニュートラルだ、なんだとひたすら振り子はそっちのほうに振り切ってはいるが、ありとあらゆる物事がすべて完全にカーボンニュートラルになるのだろうか、とへそ曲がりな私は、寂寥感に浸りつつ、北朝鮮のニュースやロシアの報道を見ながら疑問に感じてしまうのである。(KO)

Text: autobild.de
加筆: 大林晃平
Photo: Aston Martin