【ザ・プロフェッショナル】BASFの取り組みを通して自動車補修塗装業界に興味を持つ  Part2

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自動車補修塗装という業界と、そこで活躍する塗装技術者の存在を紹介した前回に続いて、今回は去る6月2日から2日間BASFジャパン 新羽リフィニッシュコンピテンスセンターにて開催された親善競技大会をレポートする。

親善競技大会

BASFの自動車補修塗料の2つのプレミアムブランド(R-M®とグラスリット)が主催・協賛する2大国際コンテストに日本代表として参加する2人による親善競技会で、BASF初の試みでもある。なお、競技にはR-M®製品が用いられた。

選手紹介

参加するのは、第13回国際R-M®ベストペインターコンテスト決勝大会の日本代表、片岡雅也選手と第46回技能五輪国際大会の車体塗装部門日本代表、宮野光生選手だ。

片岡 雅也さん(右)と宮野 光生さん
Photo:BASFジャパン

【第13回国際R-M®ベストペインターコンテスト日本代表】
片岡 雅也(Masaya Kataoka)
ペインター歴10年
株式会社 中央自動車鈑金工業所/阪神サンヨーホールディングスグループ所属

【第46回技能五輪国際大会車体塗装職日本代表】
宮野 光生(Koki Miyano)
ペインター歴6年
トヨタ自動車株式会社所属

片岡選手が参加する国際R-M®ベストペインターコンテストは、世界各地の代表選考競技会を勝ち抜いた選手が、フランスのR-M®のリフィニッシュコンピテンスセンター(トレーニングセンター)に集まり、自動車補修塗装技術者が日ごろの技術を競い合う。1999年以来、若手自動車補修塗装技術者の育成と自動車補修業界の持続可能な発展をサポートするために自動車補修塗料メーカーが主催する唯一のコンテストなのだ。

宮野選手が参加する予定だった技能五輪国際大会は、2年おきに行われる国際大会で、第46回上海大会が今年の10月に開催される予定だったが、残念ながら中止となってしまった。

さて、親善競技大会に話を戻そう、競技中は選手それぞれにBASFジャパンの技術担当者が付き添いながら審査する。審査は塗膜の膜厚やムラの有無といった仕上がりに関する部分と、使われた製品や資材が適切な分量であったか、設定された制限時間内で作業が完了したかなど正しい作業プロセスが踏まれたか、安全衛生面に問題はないか評価する。つまり、塗装が正しく効率的に、サステナブルに作業できているかという観点で評価されるのだ。当然これらはコンテストでの評点だけでなく、日常の作業でも安全に、製品の特長を最大限活かしながら作業するうえで必要な要件だ。また今回の親善競技大会ではとても厳しい制限時間が設定された。

初日の競技:2種目
・損傷があるドアの補修 作業時間90分
・フロントフェンダーの小傷のスポット補修 作業時間60分

損傷があるドアの補修がクリーニングから始まった。2人の作業を交互に見ていくが、テキパキと無駄のない動きを見ると実にキモチイイ。クリヤーコートが塗装された完成品はとてもキレイだが、仕上がりの良し悪しを決める下地処理の作業もかなり奥深いものを感じる。ただ、目の前にいる2人の作業クオリティが高いせいか、私には作業や、仕上がりの差を感じることができなかった。そこで、果たして一人前の技術者になるまでにどのくらいの時間を要するのか、片岡選手の付き添いでいらしていた中央自動車鈑金工業所(兵庫県尼崎市)の片岡社長にお話しをお聞きしたところ、なんとおおよそ5年は必要だという。

トヨタ学園で学んだ後、トヨタ自動車で技能五輪出場メンバーとなった宮野選手は、競技で結果を出すことを目標に訓練を積んできたこともあって、競技のポイントを的確に押さえて黙々と課題をこなす。一方、片岡選手は中央自動車鈑金工業所で塗装チームリーダーとして日々業務をこなしていることもあって、現場で培われた、効率の良さがうかがえる。記者会見の席で、宮野選手が「今後お客様のニーズに対応するためにはマニュアル、トレーニング内容のままだけの作業では難しくなるだろう」と語り、片岡選手が「コンテストでは規定に沿った作業を求められるので、日々の業務とは少し違うところがあり、宮野選手のやり方は参考になる」と語っていたことからも2人それぞれ違う立場で競技に挑んでいることがうかがい知れた。

審査員による競技説明から競技が始まる。
2人ともに実に手際よく、下地処理を経てボディ色の塗装、仕上げのクリヤーコートを塗装していた。
フロントフェンダーの小傷は小一時間で消えて、ぼかし塗装によって塗装していない部分に馴染んでいる。

2日目の競技:3種目
・ボンネットの塗装 作業時間70分
・マスキング 作業時間30分
・ドアのぼかし塗装 作業時間90分

自動車補修塗装には様々な工程や要件がある。R-M®のテクニカルサポートのご担当にお聞きすると、作業をするうえで大事なことは、仕上がりの美しさを実現することはもちろん、工程の中で起きうるトラブル、納車後のクレームを避けるためにもメーカーの推奨する作業方法、作業時間、塗料、資材の使用量に沿うことだとお聞きした。なるほど、コンテストの競技内容が日々の業務とダイレクトにつながっているのだ。

ほんの数十分で補修したことがわからない、きれいな塗装が完成した。残念ながら、レポーターには、2人の作業工程、仕上がりの差は最後までわからなかった。
テキパキと無駄のない動きで塗られたドア、ボンネットはピカピカで滑らかで気持ちが良い。こんなにきれいにしてもらえばクルマのオーナーは喜ぶに違いない。
マスキングも、塗装前の重要な準備のひとつだ。
無駄のない動きで、手際よく塗料が吹き付けられていく。レポーターはスプレーガンを使ってみたい衝動に駆られたのであった(笑)
親善競技会の結果は宮野選手(右)が僅差で勝利。

お客様に喜んでもらえる仕事

長年クルマ業界に関わってきて、大抵のことは知っているつもりだが、自動車補修塗装の技術を競い合うコンテストがあるということを今回初めて知って、さらに実際に塗装するところを見て、クルマへの愛着がさらに増したというのが正直な気持ちだ。

この職業に真摯に向き合う若手の2人が「コンテストという、人と競い合う場に身を置くことで、モチベーションが、向上心が一層高まる貴重な場なので頑張りたい」そして「何よりこの仕事はお客様に喜んでもらえる仕事で、とてもやりがいがある」と語っていたのが印象的だった。

ベストペインターコンテストで良い結果を残して、若手の育成に役立てたいと言う片岡選手。もっとうまくなりたいと目を輝かせていた宮野選手。環境は違っても、同じ自動車補修塗装に携わる者同士、競技を通してお互いに理解し合えるものがあったという。むろんクルマ好きが高じて自動車補修塗装について探求中の私には、まだまだわからないことがたくさんあるし、2人の若いプロフェッショナルが何を理解し合ったのか想像もつかない。しかし、この親善競技大会が2人のペインター人生において、ひとつの財産になったことは間違いなさそうだ。

なお、第13回国際R-M®ベストペインターコンテストは6月28日から3日間フランスのクレルモン・ド・ロワーズにあるR-M®リフィニッシュコンピテンスセンターで開催される。世界10か国の代表が競い合うこの大会での片岡選手の活躍を随時レポートするので楽しみにしていただきたい。

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Text:アウトビルトジャパン
Photo:アウトビルトジャパン