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【エキサイティングな比較テスト】コルベットと911とM4の戦い 果たして最もスポーツ精神が旺盛なモデルは?

2022年5月9日

C8、M4、911 GTSの500馬力スポーツカーの比較。コルベットは、911を凌駕するのか?そして、30馬力もパワーアップしたGTSを追撃している。一方で、BMWは、M4コンペティションで対抗する。さあ、最もスポーツ精神が旺盛なモデルは?

ゾーラ アーカス=ダントフとは、60年前に「C1」を絶滅の危機から救い、ミッドエンジン搭載の「ヴェット」を夢見たエンジニアの名前である。

そして今、彼の願いは叶った。遅ればせながらとはいえ、少なくともやらないよりはましだ。理由は簡単で、フロントエンジンレイアウトでは、現代の反対意見に応えられなくなったからだ。7世代のエディションを経て、シボレーはスポーツカーを完全に裏返しにし、ミッドエンジン仕様に生まれ変わらせた。一方、「BMW M4」と「ポルシェ911」は、ディテールをよりシャープにしたとはいえ、相変わらず自分たちらしさを頑強に貫いている。

そうこうしているうちに、私たちは新しいM4の姿に慣れてきた

BMWは、視覚的な意味での革命をもたらした。怒っていたファンたちも、もう新しい姿に慣れたことだろう。

BMWは、他のどの先代モデルにもない正確なラインを習得している。2台のスポーツカーとは100分の1秒の差しかない。

ポルシェは、トップモデルであるカレラのボディの下に、ターボから受け継いだ素材を使い、さらに研ぎ澄されている。10ミリ低いスポーツサスペンションは兄貴分に由来し、アクティブサスペンションとスポーツエグゾーストシステムは標準装備されている。リアアクスルのメインスプリングは、いわゆるヘルパースプリングによって常にプリテンションがかけられており、リアエンドの自発的なレスポンスのために使用される。

サーキットでは、911はアスファルトの上で最も遊び心にあふれたラップタイムをたたき出す。

ついでに、赤いアメリカントップスポーツモデルも横から見ると、ちょっとしたユーロ処理が施されている。ガソリン粒子フィルター、ユーロライト、ナンバープレートホルダーなどがアメリカ仕様との違いである。さらにオリジナルより、20馬力の出力が不足しているが、これは全く気にならない。

ラウジッツリンクサーキットは、ヴェットによく合っているが、グッドイヤーカーブだけはトラクションの問題で苦労していた。

「DEKRAラウジッツリンク」で、スリップポイントのスペシャリスト、ギド ナウマンが計測したUSバージョンは、ゼロから100km/hまで2.9秒という驚異的なスピードを記録した。メーカーの表記より0.5秒速い。ラウジッツのアスファルトの上では、ユーロベットはどうなのだろうか。大いに興味をそそられるところだ。

BMWは旧知の仲

まずは、バイエルン製スポーツモデルに目を向けてみよう。2つのスーパーテスト、マニュアル、オートマチック、全輪駆動の競争としての様々な比較。それは、他の2台がピュアスポーツカーとして設計されたのに対し、「M4」は民間ミッドサイズをベースに同等のスポーツ性能を発揮させなければならないということだ。

そして、その手際のよさは、初めてクルマに乗った瞬間に実感できる。着座位置は911ほど完璧ではないが、正直なところ、アメリカンにはコンペティションスポーツシートがあるが、「M4」の方が快適に感じられる。

コルベットが要求するのは、さらなる仕事

しかし、数百km走ると、「M4」のカーボンシートが1.96mの編集者の背中に当たってしまうのだ。タイムトライアルドライバーのナウマンは高価なシートを熱望しているが、私の体格では腰の部分のサポートが少なすぎる。長い目で見ると痛い。今回、ポルシェはカーボンファイバー製シートをオプションキャビネットに残し、標準のスポーツシートプラスで勝負に出た。

車両データ:

モデル コルベットC8スティングレイ3LT BMW M4コンペティション ポルシェ911カレラGTS
エンジン V8 直6ツインターボ 水平対向6気筒ツインターボ
排出量 6162cc 2993cc 2981cc
最高出力 482PS@6450rpm 510PS@6250rpm 480PS@6500rpm
最大トルク 613Nm@4500rpm 650Nm@2650~6130rpm 570Nm@2300~5000rpm
駆動方式 後輪駆動、8速DGK 後輪駆動、8速AT 後輪駆動、8速DGK
全長/全幅/全高   4634/1934/1235mm 4794/2081/1393mm 4533/2024/1303mm
トランク容量 357リットル 440リットル 132リットル
基本価格 90,550ユーロ(約1,230万円) 92,000ユーロ(約1,250万円)より 144,075ユーロ(約1,960万円)より
テスト車価格 93,950ユーロ(約1,280万円) 107,500ユーロ(約1,465万円)より 158,664ユーロ(約2,160万円)より

高速ラップでは十分すぎるほどのサポートが感じられるので、悪い選択ではない。「GTS」では目を輝かせて降りたのに、コルベットの高速3周では汗だく。ヤンキーは、ドライバーにカーコントロールを要求するだけでなく、肩の部分の横のサポートがないため、体幹の筋肉もより多く働かさなければならないのだ。

BMWのiDriveは他のどの操作コンセプトよりも完璧に近く、さらに「M4」には4人乗りのスペースと完璧に使いやすいトランクが備わっている。

ポルシェのスペアシートは、どちらかというと追加の収納スペースのようなものでしかない。コルベットでは、リアルームの荷物がエンジンの排熱ですぐに熱くなってしまうのが欠点だ。だから、冷凍ピザとチョコレートなどを購入するための一週間の買い物は、「M4」で行った方がいい。型破りなボタンパネルは時間が経てば慣れるし、タッチスクリーンやドライビングダイナミクスのコントロールはドライバーのすぐ手の届くところにある。

コルベットはスプリントでメーカー仕様を軽々と超える

そして、テストコースに向かう。この日は真昼でも寒い。アスファルトはまだ少し湿っている。「コルベットC8」の3.1秒は、理想的なコンディションではないにもかかわらず、ファクトリー仕様よりコンマ4秒速い。

「911 GTS」も3.3秒と工場出荷時のスペックをコンマ1秒上回り、「M4」はこのカテゴリーでやや遅れをとっているものの、これまたメーカーが約束する性能よりコンマ2秒上回っている。

コルベットは、その優れたトラクションと完璧なローンチコントロールに助けられている。しかし、厳しい状況になるとすぐに自然吸気エンジンの特性が発揮され、ツインターボの欧州モデル2台が優位に立つ。すでに130km/hでBMWが迫り、ポルシェが先頭に立つことさえある。160km/h以降は、「C8」が遅れをとっている。競争力のある牽引力を得るためには、当然低いギア、つまり高い初速が必要だ。

一方、古風なバンパーマウントのV8は、スロットルに対する反応が最も良い。ポルシェのボクサーエンジンはスポーツプラスモードでも楽しませてくれるが、「M4」はこのカテゴリーでは少し劣る。

素晴らしい価値を持つカレラGTS

減速時も、1695kgという乾燥重量を完全停止させるのは、本当に大変な作業だ。しかし、「GTS」のオプションのカーボンセラミックシステムは素晴らしい効果を発揮する。31.5mという制動距離はとても立派なもので、特にレーストラックでのブレーキの耐久性には感心させられた。

ポルシェのUHPストッパーは、「カレラGTS」がこのカテゴリーで素晴らしい価値と満点を獲得するのに再び貢献したが、8,937ユーロ(約120万円)の追加料金が発生し、価格が評価の犠牲になっている。コルベットのブレーキは無孔のスチール製ディスクで、完全停止までの距離が32.2mと非常にしっかりしているが、少なくともユーロモデルには「Z51」パッケージの一部としてブレンボ製の高性能なブレーキシステムが標準装備されている。

ファーストラップで、BMWはその実力を発揮する。

ファーストラップでは、BMWがリードしている。その自由に設定できるドライビングダイナミクスプレイグラウンドを、2番目に硬いサスペンションオプションでチューニングしたに過ぎない。そうでなければ、グッドイヤーカーブやトライバルへの復帰前の荒れた衝撃は、シャーシに過度の動揺をもたらし、トラクションを犠牲にしてしまうだろう。

一方、ステアリングは、最もハードなレベルでも、私たちにとっては十分な固さではない。特にセンター周辺や操舵時のフィードバックをもっと増やしてほしい。しかし、ステアリングアングルとレシオは合っている。パワフルな直6は、最終セクターですべてを出し切る。1分33秒40が終了時点のタイムだ。

C8より100分の1秒先に行くには、1955ユーロ(約26万円)かかる

「コルベット」に乗りかえてみよう: まったく違うドライビング体験ができる。シャーシは「M4」よりも硬く、傾きも少なく、それでいてトランジションもきれいにこなす。そして、車内をあまり不穏にすることなく、レースモードを維持する。リアヘビーな「C8」で注意しなければならないのは、コーナー出口からの加速時だけだ。必要な高回転と、特別に配合されたミシュラン製パイロットスポーツ4 Sのグリップ限界の相互作用は厳しいものである。

結局、「コルベット」は、ターボのパンチの恩恵が少ない中高速コーナーのある第2セクターでタイムを稼いで、最終的にBMWに1000分の1の差をつけた。

「GTS」でも他の2台に対して決定的な差をつけることはできなかった。少なくとも、ポイントをリードするには十分な差ではなかった。ラップ終了時には、100分の33の差をつけた。カーブの入り口では、グリップ力の高いフロントアクスルのおかげで少しタイムが稼げるし、カーブの出口では、最低限のグリップで加速できるニュアンスがある。しかし、「C8」に対するアドバンテージの100分の1が1955ユーロ(約26万円)もするオプション装備なのだ。

結論:
「コルベット」、「M4」、「911GTS」という、これほどアプローチの異なる3人の対戦相手が、これほど接近したことはないだろう。この中で最高のクルマは「ポルシェGTS」だが、値段がネックだ。「C8」と「M4」は、同じように速く、さらに一段とエモーショナルであり価格もリーズナブルである。

【ABJのコメント】
今さら言うまでもないことではあるが、「コルベット」は以前からすべてのパフォーマンスも高く、「911」を凌駕するほど完成度が高い、特に今のモデルはそういう評価を得ているし、「911」との価格差を考えれば、こちらをチョイスするというジャーナリストも多い。昔のイメージでは直線番長的な残像も抱かれているかもしれないが、今の「コルベット」にはまったくそんな部分はなく、フェラーリを相手にしたってポルシェを相手にしたって、一歩も引く部分のない完成されたスーパースポーツ、それが今の「コルベット」である。

BMWの「M4」は「911」と「コルベット」との比較という今回の条件では、ちょっとかわいそうだったかな、という気もするが、その使いやすいサイズ感も含め、パフォーマンスで2台に決定的に劣る部分などまるでない。毎日の実用に使うには(特にサイズなどを考えると)、「ポルシェ911」よりもこちらを選ぶことは正しいことでもある。それでも今回、本国のスタッフが選んだ勝者が「911カレラGTS」だったというのは、やっぱりそうだったのか、と思うと同時に、今回の「GTS」はそれほどの実力であったという証拠なのかもしれない。今回の「GTS」は「911」の完成形、という評価も高いし、ある意味で、あがりもあがり、という一台なのだろう。「GTS」は「911」の中でも一番なんでも選べる選択幅も大きいし、人生最後の内燃機関のモデルとして「GTS」、というのは私の周りのポルシェマニアからも聞かれる最近の声である。(KO)

Text: Alexander Bernt
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de