【初テスト&新車情報】アウディR8 V10パフォーマンスRWD 後輪駆動R8は全輪駆動(クワトロ)R8よりも楽しい? 全情報!

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アウディR8 V10 RWDは、今やクワトロよりも楽しい? アウディは、R8の全輪駆動を廃止し、30馬力アップした。R8 V10パフォーマンスRWDクーペは、すでにサーキットで走行している。全情報!

「R8」の時代は終わりを告げたのだろうか。少なくとも熱血漢の内燃機関としては・・・。偉大なスポーツカーの後継モデルはいずれ電気自動車になるのだから。来年、アウディのV10スーパースポーツが姿を現す前に、アウディは再び「R8」モデルレンジのスリム化を図った。

「R8」の「V8」派生モデルが廃止された後、「R8」はパフォーマンスバージョンとして、610馬力の全輪駆動車と、30馬力と10Nmアップして、570馬力と550NmとなったRWD、後輪駆動モデルが用意されることになったのだ。クーペとスパイダーの両方が用意されている。

あらゆる条件下で、V10自然吸気エンジンが奏でる魅力的なサウンドを実現。そして、奔放に容赦なく回転する。

後輪駆動は、縦方向と横方向の運動性能ではクワトロに劣るものの、他の2つの利点で得点を稼いでいる。駆動の自由度が高いフロントアクスルと、より俊敏なリアエンドにより、ドライビングプレジャーの要素を高めている。そして、クワトロテクノロジーの廃止による59,000ユーロ(約800万円)もの節約に財布が喜んでいる。そう、5万9千ユーロ(約800万円)のコストカットだ!

基本価格149,000ユーロ(約2千万円)

グランカナリア島の狭いマスパロマス飛行場サーキットを、タンゴレッドマットの「アウディR8クーペV10パフォーマンスRWD」で最初の6周を回ったときは、まだ太陽は非常に低い位置にあった。インストラクターがブレーキングやターンインのポイントを教えてくれた。3周してコースレイアウトを理解したところで、ステアリングのチェッカーフラッグボタンで、「ESC」スポーツモードに切り替え、走りの新しい緩さを体験した。

149,000ユーロ(約2千万円)のベーシックモデルに比べ、我々のテスト車、「R8-RWD」にはいくつかのオプションが装備されていた。ダイナミックステアリング(1,400ユーロ=約19万円)、CFRPバー付きパフォーマンススポーツサスペンション(1,100ユーロ=約15万円)、さらにセラミックブレーキ(9,400ユーロ=約127万円)とミシュランのセミスリック(パイロットスポーツカップ2)が追加装備されていた。

ポージングに適したプロポーション、ドライビングダイナミクスの面でも、R8は洗練と気品を備えている。

後輪駆動の「R8」は、無理をしない限り、基本的に裏表のない自信に満ちたスポーツカーでもある。ダイナミックステアリングの可変レシオは非常によく実装されており、ステアリングフィールは常に正しい感触で、タイトカーブでの滑らかさと小さな舵角の広がり、高速でのタイトさはドライバーを全くイライラさせない。逆に、前輪駆動でないこともあって、この「R8」は食い込むように操舵し、適切な入力速度ではアンダーステアを示さない。しかし頂点からスロットルを開けると、レールに乗ったようにカーブを抜けていくクワトロとは対照的に、RWDはわずかにテールワイプが発生し、その強弱をつけると本格的なドリフトが可能になるのだ。

Audi R8が驚異的なのは、音質だけではない

全輪駆動車では、ドリフトがグラベルベッドで終わらないように、ドライ路面ではある種の残忍さと熟練の技が必要とされる下準備をして、それを手助けしなければならないのだ。だが、ここでは、ドリフトはあくまでも楽しいアクセルワークであり、緊急時にはスポーツESPが適切に作動する。

540馬力のRWD先代に対して、30馬力の上乗せは、直接比較すればわかることで、数字上では0から100km/hまでの加速がコンマ1秒、現行FRパフォーマンスの方が速いのだが、それはまったく気にならないので、忘れてほしい。壮大なV10の性能はそのままに発揮されるだから。純粋な自然吸気エンジンである5.2リッターエンジンは高回転を好むが、3500~4000回転で発揮されるサウンドは驚異的である。

整然: 最高の出来映え、美しい素材。

高速でカーブを曲がるとき、リミッターを超えないように気をつけなければならないほどだ。なぜなら、限界の8,500回転に達するまで、瞬き2回で10気筒は激しく駆け上がるからだ。クールダウンするためにクルージングをする際のスパイダー心地よさは例えようもないものだった。ちなみに、スパイダーはクーペより13,000ユーロ(約180万円)高い。

テクニカルデータ&価格: アウディR8 V10パフォーマンスRWD 5.2 FSI
エンジン: V10、ミッドリア縦置き
排気量: 5204cc
最高出力: 570PS@8000rpm
最大トルク: 550Nm@6400rpm
駆動方式: 後輪駆動、7速DCG
全長/全幅/全高: 4429/1940/1236mm
乾燥重量: 1,590kg
トランク容量: 112リットル
0-100 km/h加速: 3.7秒
最高速度: 329km/h
平均燃費: 7.7km/ℓ
CO2排出量: 295g/km
価格: 149,000ユーロ(約約2,000万円)より

結論:
クワトロよりRWDの方が楽しい? それはドライバーにもよるし、「R8」の使い方にもよる。でも59,000ユーロ(約800万円)のコストダウンは、とにかくうれしい!

【ABJのコメント】
アウディといえばやっぱりクアトロ、という古い時代に刷り込みされた者としては、せっかくのクアトロシステムを取っ払ってしまうなんて、なんだかもったいない、という気になってしまう。「R8」といえば言うまでもなく、アウディの最上級スーパースポーツであり、その本分は全天候型のオールマイティーなスーパーカーなはずである。その全天候で、圧倒的に安定しているという部分を捨ててまでアウディの選んだものとはなんだろうか?

完全内燃機関のモデルも終末ということになったために、あえてこの時期に発表した、バランスを崩してまでドライビングプレジャーを追求した選ばれたドライバーのための一台、ということなのだろうか。このレポートでは800万円の価格差のことが書かれているが、おそらくR8を選ぶような人にとっては、800万円安いから2輪駆動にしておこう、という思考にはならないだろう。それよりも4輪駆動では得られなかったハンドリングの感覚や、自動車のもたらす挙動などを選ぶ特別な人が選ぶ「R8」、という意味を持つのではないだろうか。いずれにしろ天国のピエヒがこの2輪駆動追加のニュースを聞いたらどんな顔をするのか、ぜひ見てみたいものである。(KO)

Text: Ralf Kund
加筆: 大林晃平
Photo: Audi AG