【ニューモデル情報】新世代スマートついに正式発表 EVスマート #1 その全容をレポート!

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スマートがかなり大きくなって、オール電化のコンパクトSUVを初公開。スマートは、この#1によって、ブランドの新しい未来を示す。電気自動車のSUVは独自の道を歩み、デジタル化に注力する。シートチェックを含む全情報をお届け。

ハイライト:

  • 市場投入と価格 – スマートのSUVはやはり2022年に登場する
  • コンセプト – メルセデスと吉利(Geely)が仕事を分担する
  • サイズ – 新しいスマートが全方位に成長する
  • デザイン – スマートは遠慮しない
  • インテリア – スマートSUVの内部は巨大
  • 装備とコネクティビティ – SUVのデジタルアバター
  • 駆動システム – 新型スマートに搭載された250馬力以上のパワー

スマートの新たなスタート。このシティカーブランドは、中国のメーカーである吉利との合弁会社から生まれた最初の車両を披露しており、今後はすべて電気自動車のパワートレインに依存することになるそうだ。また、「#1」はブランド初の電気自動車としてゼロから設計されたモデルでもある。高度なデジタル化とファンキーな新しいスマートのデザインは、できるだけ若いターゲット層にアピールすることを意図している。

市場投入と価格

スマートはエントリープライスについてはまだ沈黙している。ただし、すでに確実なのは、2022年9月に受注を開始すること。1,000台限定のローンチエディション(写真)を確保したい人は、現在プレリザーブを行っている。スマートSUVの最初の納車は、2022年12月を予定している。

コンセプト: メルセデスと吉利が仕事を分担する

スマート #1は、1回の充電で約440kmの走行が可能とされている。

メルセデスと吉利は、合弁会社の中で厳格な役割分担をしている。「#1」の技術と生産は中国メーカーが担当し、デザインは引き続きシュトゥットガルトから発信している。駆動部品に関しては、スマートの新型SUVが初めて中国の技術を正式に採用したものだ。これまでのスマートの電動モデルには、ルノーとの旧協業によるパワートレインが残っていたからである。

サイズ: スマートがここまで大きくなることはかつてなかった

「スマート #1」のディメンションは、これまでのモデルポートフォリオと共通する部分はない。それは、数ミリを除けば、「VW ID.3」と同程度のサイズだ。このSUVは、オールエレクトリックプラットフォームにより、トランクに加え、フロントボンネットの下にも小さなスペースを備え持っている。

サイズ一覧:
● 全長: 4270mm
● 全幅: 1822mm
● 全高: 1636mm
● ホイールベース: 2750mm
● トランク容量(リア): 273~411リットル(スライド式リアベンチシートの位置により異なる)
● トランク容量(フロント): 15リットル

デザイン: スマートは遠慮しない

ルックスに関しても、スマートは「#1」に大きな変更を加えている。とはいえ、スタイリングはモダンかつクリーンで、角がほとんどなく、エッジもシャープに設定されていない。市販車は、2021年にミュンヘンで開催されたIAAモーターショーで公開されたスタディモデルに非常に近い状態を保っている。完全には閉じていないフロントは、LEDヘッドライトの下に大きなスロートが与えられている。ここではまだ、大規模な生産には至らなかったライトパネルでコンセプトを示している。

リアライトはドロップ型で、ライトバンドでつながっている。

ローンチエディションのカラーコントラストルーフは、視覚的に浮遊するCピラーでプロファイルに流れ込んでいる。ドアハンドルはボディに埋め込まれ、必要なときだけ現れるようになっている。テールランプが連続するリアは、「メルセデスEQA」を強く想起させ、フロントのデザインを補っている。

インテリア: スマート#1の内部は巨大

インテリアも2021年のスタディモデルと比べてもほとんど遜色ない。運転席と助手席は、フリーフローティングのセンターコンソールで仕切られている。フロントのスペースは非の打ち所がなく、コックピットはほとんどボタンがない。インフォテインメントや車両機能の操作は、中央の12.8インチタッチスクリーンで行うことができる。計器類は9.2インチの細長いディスプレイにデジタル表示され、10インチのヘッドアップディスプレイも備えている。大きなパノラミックガラスルーフは、空間感覚に好影響を与えている。

身長1.95mのAUTO BILD編集記者ペーター フィッシャーは、後部座席にとても快適に座ることができるという。各部の仕上がりも高級感のあるものだ。

特に特筆すべきは、背の高い人でも後部座席にゆったりと、そしてまっすぐに座れることだ。したがって、少なくとも空間的には、「#1」は大人4人に十分なスペースを提供している。

装備とコネクティビティ: SUVのデジタルアバター

「スマート #1」には、最大19インチのホイールをオプションで選択できる。それ以外の点では、シティSUVのインテリアの方が注目されている。ここでは、12.8インチのタッチスクリーンがコントロールセンターを形成している。この部分はデジタルアバター(デジタルのキャラクター)が、自動車とのインタラクションをできるだけ自然にすることを目的とし、いろいろな説明を行うという。さらに、サブウーファーを含む最大13個のスピーカーが適切なサウンド体験を提供する。

インフォテインメントにも遊び心のあるグラフィックを採用している。デジタルアバターが操作をサポートする(左下のキャラクターなど)。

ドライブ: 270馬力を超える新型スマート

新型「#1」は、リアアクスルに電動モーターを搭載している。200kW(272馬力)と343Nmのトルクで、SUVは日常のあらゆる作業に対応できるはずだ。乾燥重量1,820kgの「#1」の最高速度は180km/hだ。

その電力は66kWhのバッテリーに蓄えられ、最大440kmの航続が可能であるとされる。スマートは交流(AC)充電で22kW、直流(DC)充電では150kWまでの急速充電が可能となっている。そして、最良の条件下では、30分以内に10%から80%まで充電することができるようになっている。

【ABJのコメント】
スマートには昔から特別な思い入れがある。はるか昔、スウォッチカーとして企画され開発されていた時から、どうにも心の中に刺さる一台で、欲しい、と心のそこから思った一台だった。結局その後、「スマートK」と、2世代目の「スマートfor two」は、我が家にやってきて、しばらくスマートとの生活を楽しんだ。乗り心地や粗削りな設定のトランスミッションなどは最後まで不満点ではあったが、小さくて楽しいこと、そして自動車にとって、魅力的なデザインは絶対的に必要なものである、ということを教えてくれた一台だった。今でも町でスマートを見かけると、やっぱり素敵なデザインだなぁ、とほれぼれしてしまう。

それが今度の新世代スマートでは・・・、それらの要素が木っ端微塵に消え去り、普通のどこにでもあるBEVの一台みたいになってしまっている・・・。しかも幅も1800㎜を超えてしまっており、初期のスマートの描いた理想はどこに行ってしまったのであろうか? これは僕の好きだったスマートではないし、これを買う理由がどうしてもわからない。今後、二人乗りで思い切り小さいモデルが出れば話は別だが、今のところは変貌した姿にガッカリである。いっそのこと、最初期のスマートのボディと内装そのままに、簡便なEVにしたほうがずっとよかったのではないか。スオッチカーのあの衝撃を思い出しながら、残念な気持ちでいっぱいである。(KO)

Text: Peter R. Fischer and Andreas Huber
加筆: 大林晃平
Photo: Smart