【スーパーカーテスト】スーパーカーの中のスーパーカー ランボルギーニ カウンタックに試乗 そこにはどんな世界が広がっているのか?

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カウンタックは怖い?カウンタックによって、ランボルギーニは、1974年にデザインと性能の新しい領域に足を踏み入れた。果たしてスーパーカーの中のスーパーカーであるカウンタックには、本当に夢見るような魅力があるのだろうか。

フェルッチオはごく普通のクルマを望んでいた

もしフェルッチオ ランボルギーニが理想ではなく現実に忠実であったなら、世界中の何千万人もの少年たちが、何か別の夢を見つけなければならなかっただろう。イタリアのトラクターメーカーが当初考えていたのは、完璧なGTであった。フェラーリのトラブルが絶えなかったため、「技術的な爆弾のようなクルマ」ではなく、「ごく普通のクルマ」を作りたかったのだそうだ。

しかし、彼が引退してブドウ畑でブドウを栽培する前の最後の1台は、まさにその逆の「極めて異常なクルマ」だった。ピエモンテ語で「カウンタック」は、「すっげー」や「ワオ」に相当し、シザースドアを持つこのスーパースポーツカーが、初めて目の前に現れたとき、いかに人々が衝撃を受けたかを如実に表現している。

ランボルギーニ カウンタックは、1970年代の夢のような車だ

信じられないほどフラット。カウンタックの全高はわずか1.07m。そのウェッジシェイプは今や伝説となっている。

ウェッジシェイプスーパーモデルの誕生

70年代のスーパーカーブームに青春を過ごした若者の多くの部屋には、このスーパーカーのポスターが貼ってあったはずである。農機具メーカーからスポーツカーメーカーへと記録的なスピードでのし上がったランボルギーニは、1974年、「ミウラ」の後継モデルで、技術的にも、そして何よりもスタイル的にも、未知の領域に踏み込んだのである。

マルチェロ ガンディーニがデザインした、全高たった1.07mのウェッジシェイプスーパーモデルは、自動車というより宇宙船に似ていた。そのプロポーションは、エンジンと4輪を兼ね備えたクルマという一般的な概念を超えていた。鋼鉄製の網目状のチューブの上を滑るように走るアルミニウムのボディは、隙間とエッジと断崖絶壁の奇妙な集合体であり、かなり逆説的な構造になっていた。ガンディーニは、エアストリームにほとんど抵抗しないようにしたかったのだ。同時に、V12が冷却空気を渇望していたため、可能な限りそれを取り込むこともダクトの追加などによって余儀なくされた。

エンジンの冷却と好ましい空力は両立しない

リアに搭載されたV12は、多数のスクープとシャフトによって冷却風を集めている。

略称LPの意味は?

Cd値0.42の「カウンタックLP400」は、テストドライバーのボブ ウォレスが後に語ったように、納屋のドアのようなエアロダイナミクスであった。しかし、そうだとしても、速かった。1975年にドイツの自動車専門誌が計測した最高速度は288km/h。そして、それは視覚的なものだけでなく、熱を帯びたものだった。同じくランボに乗る人は3度浴びることになる。つまりフロントでは、極端にフラットなフロントガラスからコックピットに降り注ぐ太陽の熱。横にはギアボックスがあり、実際パイロットのコックピットに伸びている。そして後方には375馬力のV12が、巨大な拳を握り締めるかのように彼らの首筋に鎮座している。「ミウラ」とは異なり、チーフエンジニアのパオロ スタンザーニがエンジンを横置きではなく、進行方向に対して縦置きにしたため、「LP」(longitudinale posterior=縦置き)の略称で呼ばれるようになった。

また、スペース確保のためギアボックスをフロントに配置し、オイルサンプを貫通するシャフトでアクスルドライブに接続する構造で、全長を短くし、主要質量を2軸に集中させた。「ミウラ」が恐れていた高速走行時のノーズの浮き上がりを防止するためである。それでも、「カウンタック」は手加減をしない。運転していないときでも、正直言って閉鎖的で怖い。

試乗車の値段で、豪華な家が買えそうだ

このランボで速く走ることは、高い経済的リスクを伴う。しかしそれがどうしたというのか。

そのリクライニングシートでは、まるで歯医者のチェアのように運命に翻弄される。キーを回すと、燃料ポンプのヒューという音と、キャブレターのスルスルという音がする。そして、スターターが鳴り、地獄のような音が広がる。4本のエキゾーストパイプが大空に向かって一斉射撃し、低音のビブラートの上に明るくトランペットのようなアイドリングが鳴り響く。右足の踏み込み角度によって、パワープラントが唸りをあげたり、ヒスノイズを発生させたりして、鳥肌が立つ。「LP400」は、フロントタイヤが細いので、ワイドな後継モデルよりも操縦しやすく、ギアシフトのノブがギアボックスに直接噛み合うので、ギアも驚くほど快調に作動する。しかし、クラッチはジムのレッグプレスのようにきつく、視界は直進方向しか見えない。ランボのエンジニアが考える前進の世界には、明らかに旋回や後方視界は含まれていないのだ。

夢のクルマは夢のクルマであり続ける

それでもアクセルを踏み続けたものの、この車には大きなお金がかかっていて、部品が壊れるたびに、少なくとも大きなお金がかかることを知っているので、スピードをそれ以上に出す勇気が出ない。しかし、これは、「ごく普通のクルマ」ではなく、「完璧なGT」でもないことも感じ取れる。強いて言うなら、「カウンタック」は、疾走するトラクターに似ている。小さな男の子はトラクターを、大きな男の子は「カウンタック」を、少なくともその当時は夢見ていたのだ。そして今日は? 我々は大人になり、目覚めるより、夢を見続けていた方がいいこともあると気づくのであった。

1974年当時のスター。ロールスロイス シルバーシャドー、ポンティアック ファイヤーバード、メルセデス600、ランボルギーニ カウンタック、BMW635CSI、ポルシェ911、フェラーリ365 GT/4 BBなどの全盛期だった。エントリーレベルのスポーツカーでは、カプリ、カマロ、コルベットという「3C」と呼ばれる3台があった。
リアで猛威を振るう牡牛のように、シートメタルの下には十分なパワーとドライビングプレジャーがある。
12気筒エンジンは、そのパワーを5速マニュアル変速機で推進力に変換する。
カウンタックは、低速域ではステアリングを強く握る必要があるが、スピードメーターの針が上がるにつれて、非常にダイレクトなステアリングが心地よく感じられるようになる。
この内装こそがオリジナル。

【ABJのコメント】
スーパーカーの中のスーパーカーといえば、文句なくこの「カウンタック」のことだと思う。誰も文句の言えない、スーパーカーの中のスーパーカー。たとえどんな性能の、どんなデザインのスーパーカーが今後登場しようとも、もう永遠にゆるぎないスーパーカー、それが「カウンタック」である。

絶対的な性能も、信頼性も、絶望的な側方視界も、「カウンタックリバース」を使わないとバックできない(と言われる)後方視界も、そんなものはまったく「カウンタック」への減点対象にはならないし、そんなことをネガティブにいう人には関係ないクルマ、それが「カウンタック」である。

今から50年も前に登場し、まったく古くならないばかりか、より輝きと、登場したことの奇跡のような物語を熱く感じさせるスーパーカー、これはそういうものなのである。実は身近に「LP400」のオリジナルを持っている人がいるのだが、その方に言わせると、「カウンタックLP400」は欠陥個所の塊だという。サスペンションも、ブレーキシステムも、後付けのエアダクトが原因となる空力の不安定、とにかく欠陥だらけなのだそうだ。でもそれがどうしたとも、きっとオーナーは思っているに違いない。芸術作品が走るだけでも素晴らしい、と考えればすべては解決するはず、なのだから。個人的には最初に登場した「LP400」、あれこそが「カウンタック」の中の「カウンタック」であり、スーパーカーの頂点なのだと信じて疑わない。(KO)

Text: Florian Neher
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de