【モーターホーム耐久テスト】日本では見かけないキャンパーの長期テスト フィアットベースの一体型モーターホームの1年間をレポート 

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ユーラ モービル インテグラ ライン650HSの耐久テスト。1年弱で、ユーラ モービルという非常にコスパの良いコンパクトな完全一体型モーターホームが、私たちの元を去っていくことになった。日本では見られないモーターホームの長期テスト、インテグラ ライン650HSの1年半にわたるテストの結果を以下にレポート。

春遠からじ 気持ちよさそうだなあ

ついにリアシートグループと一体化したコンパクトが登場! そして、スマートなデザインと居心地の良いインテリアを備えている。我々はそれを認め高く評価する。発表されたときに、我々はすでに小さなユーラの巨人をとても気に入っていた。だから、2020年の夏、モーターホームが我々のもとへやってきた時、それ以外はコロナ禍で、かなり不愉快な年だったのだが、全員大喜びした。そして、我々はほぼ1年間をこのコンパクト一体型モーターホームとともに過ごし、冠婚葬祭関連の旅行制限の合間を縫って、もちろんドイツを中心に様々な場所へたくさんの旅をした。

写真家のクリストフ ベリース夫妻によるスイスへの大旅行は、まるで大冒険のようだった。そして、レイアウトのコンパクトな統合車両である、「ユーラ モービル インテグラ ライン650HS」は、二人のための理想的な旅のお供として勤めを果たした。

後方の円形の座席は、豪華な食事、居心地のよい読書、ボードゲームの夕べ、ゆったりとしたラウンジなど、それぞれのソファコーナーで過ごすのにちょうどよいスペースを提供する。キッチンやバスルームは広々としており、フロントの折りたたみ式ベッドは、峠を越えるような過酷なドライブをした後でも、すぐに使うことができた。

ユーラのボディは、雹(氷)害から守るGRP製だ。

インテグラライン650HS: 十分な荷物スペースと大きさの割に十分な操縦性

座席群の関係で非常に浅いリア収納部の限られたスペースも、旅行中に深刻に気になることはなかった。一般的なキャンプチェアやテーブルはもちろん、電源ケーブルやドライブアップウェッジなどを収納する人気のプラスチック製ボックスもすっぽり収まる。

旅先での買い物や小旅行のお供として、絶対に欠かせない自転車は、後壁に取り付けたキャリア(540ユーロ=約7万円)に収容した。そして、室内には無数の食器棚が備わっている。運転席の後ろには、小さなサイドボードも用意され、助手席とプラグインテーブルと合わせて、小さなオフィスコーナーにすることも可能となっている。

そして、この小さな巨人には、もうひとつのアドバンテージがある。それは、その操縦性だ。全長6.5メートル、ホイールベース3.8メートルで、ヘアピンカーブのある狭い峠道でも、リアオーバーハングの長さや揺れで人目を引くことなく、十分に操縦できることが証明された。スイス人カメラマンだけでなく、他のテスターも、ログブックへの書き込みで、このリラックスできる快適なレイアウトを高く評価している。

批判のポイント: 騒音・防寒対策

また、批判される点についても意見が一致した。特に断熱性の高くないディーゼルエンジン、ウィングミラーからの風切り音、食器棚からの不協和音まで、すべてのテスターが、「ユーラ」の過剰な騒音発生を批判しているのである。

ESPなどのすべての安全システムは、タイムリーかつ適切に投与された状態で限界寸前に介入する。

加えて、防寒対策が不十分なことに加え、標準装備のトゥルマコンビ4(最大4000W)では、広い室内に対して暖房出力が低すぎるという問題があった。また、編集者のヘレネ シュミットは、「排水は車がまっすぐなときだけ流れ出る」と否定的なコメントを残している。

さらにここからは整備工場での話になる。1回目は、清水配管の接続部を交換する必要があったことと、コントロールパネルのレベルインジケーターに不具合があったためである。2回目は、エンジンソフトのアップデートが必要で、サーモとインジケーターの修理が必要だった。そして3回目、メカニックはついにステアリングナックルに関するフィアットのリコールに対応した。幸いなことに、我々の「ユーラ」はすべて修理できた。

便利なおまけも搭載

快適さについて。このクルマには、二重床暖房や広いキッチンなど、デザイン上の配慮に加え、センスのよいエクストラがいくつか装備されている。

これに追加で、160馬力エンジン(2,500ユーロ=約32万円)、「モンディアルエディション」パッケージ(2,190ユーロ=約28万円、運転席エアコン、クルーズコントロール、ランバーサポートとパイロットシートの高さ調整、リバースカメラ付きナビゲーション、運転席カーペット、ルーフボンネット、フライスクリーンドア、電動ルーフベント、セントラルロック)、エクストラクターボンネット(420ユーロ=約5万円)とソーラーシステム用プリワイヤー(250ユーロ=約3万円)が装備された。

室内は、ナチュラルウッドの内装と温かみのある照明がポイントだ。運転席はあっという間にセカンドシートの仲間入りができる。

丸い座席群のベッド化、運転席のブラックアウトシステム、調光可能なLEDアンビエント照明、運転席と助手席のエアバッグ、電動排水口などが標準装備されている。そして、外皮がすべてGRPでできているのは安心感がある。

また、ボディを補強するための木製の帯を廃し、代わりにポリウレタンが使用されている。これは長い耐久性を約束するもので、10年間の気密性を保証するものもあった。さらに、テスター全員が納得したのは、視界の良さだった。

前方には比較的短い突起を、右側には開閉可能なスライドパーツを非常に細いレールでサイドウインドウに埋め込むことでこれを実現したのだった。それに呼応するように、コーナリングライトを含む強力なLEDヘッドライトが夜道を照らす。

「ユーラ」はその後、「インテグラ」をラインナップから外した。しかし、今後、どこかのタイミングで再び利用できるようになる可能性もなくはないと思われる。ぜひにも、そう願いたい。

モーターホーム耐久テスト: ユーラ・インテグララインHS650

1年弱の時を経て、「ユーラ モービル インテグラ ライン650HS」が私たちの元を去っていく。コンパクト完全一体型モーターホームの長期&耐久テストは以下の通り!

丸い座面を持つレイアウトは、ドイツ市場ではかなり珍しいものだが、とても実用的だ。特に夕方、涼しくなってきたときや、不快な日には、後方の「ソファ」がリラックスコーナーとして喜ばれる。
称賛: ルーフに取り付けられたハイビームが夜間の無灯火の道路で最高の視界を提供してくれる。また、「ユーラ」は運転中のリラックスさにも重点を置いている。
特に長距離移動の場合では上質なパイロットシートの良さが際立つ。人間工学に基づいたフィット感と膨張式ランバーサポートが背中の痛みや緊張を軽減する。特別なシート機能は「モンディアル」装備パッケージ(2820ユーロ=約36万円)に含まれる。
「インテグラ ライン650HS」は、アッパーミドルクラスに属す。全長6.50メートルのこのモーターホームは、現在ユーラがラインナップしている中で、最も短い一体型モデルだ。船内には4つの座席と4つの寝台がある。「650HS」は、フィアットCCSローフレームシャシーと140馬力のエンジンを標準装備している。価格は74,490ユーロ(約968万円)からとなっている。
だから、決してお買い得ではないのだが、基本価格が高い理由は、技術やボディワークですぐにわかる。「ユーラ」は、木材を使用しない完全密閉のGRP製ボディに、10年間の漏水防止保証を付与している。
ボディのエレクトロニクスコントローラーには、助手席横のボックス内に安全かつ簡単にアクセスできるようになっている。
二重床暖房は技術的なハイライトだ。一方で、水タンクを霜が降りないように保管できるため、「ユーラ」の防寒性を高めることができる。一方、二重床を採用したことで、リアガレージにある車載機器に簡単にアクセスできるようになっている。
このデザインの唯一の欠点は、排水タンクへの勾配が低すぎるため、シャワーや洗面台の水の排水が悪くなることだ。
フューエルフィラーキャップのロックは、手間がかかる。きちんと閉めないと、走行中に軽油が漏れてしまうので注意が必要だ。
緊急時には、本体バッテリーを素早く切り離すことができる。
「シャレー」と呼ばれる、薄く染色した木材を思わせるアットホームな内装は、「ユーラ」らしいと言える。温かみのあるLEDの間接照明と曲線の家具が相まって、「モービル」に入った途端に居心地の良さを感じさせる。
卓越したレイアウト: 後方には、くつろぎや社交の場となる素晴らしい広さの円形シーティンググループがある。そしてあっという間にエキストラベッドに早変わりする。
丸い座面群の上にある頭上収納棚では、ケーブルがよく見えるようになっていた。カバーが外れてしまったのだ。しっかりと元通りにした。
また、運転席上部の手動昇降式ベッドで就寝することも可能だ。
キッチンスペースには、食器棚や引き出し、収納スペースが豊富にある。
運転席はあっという間にセカンドシートの仲間入りができるようになっている。
さらに、ボディにカーペットを敷き、ソーラーシステムの配線もあらかじめされている。
バスルームには、多くの仕切りや収納スペース、タオル用フックなどがある。
床から天井までのワードローブは、十分なスペースを確保している。
テストコース、高速道路での長距離ステージ、市街地走行など、「ユーラ」はあらゆる場所で説得力を発揮する。ESPなどのすべての安全システムは、タイムリーかつ適切な用量で限界直前に介入する。
160馬力のエンジンを搭載した「ユーラ」は、そのサイズと重量の割には十分すぎるほどのモータースポーツが可能となっている。カッセルの山々や、高速道路での追い越しも、完全に統合された車両が迅速かつリラックスしてこなす。
トップ!: 暗いところでは、コーナリングライトを含むLEDヘッドライトが点数を稼ぎ、一般的にはフロント部分が短いため、前方への視界が気持ちよく広いという、視界に関する2点が、「ユーラ」は多くの競合車よりも優れている。

結論:
私たちは、この小さな巨人が本当に好きだった。その個性的なレイアウトは、どのツアーでも、とても快適だった。唯一の欠点は、家具のカタカタという音と、明らかに弱すぎる暖房だが、どちらも修正可能だ。別れるのがさみしい・・・。

【ABJのコメント】
これは大変興味のある長期テストである。こういうモーターホームがいったいどんな耐久性と信頼性をもっているのか興味津々だし、おそらく今まであまりこういうレポートはなかったのではないか? しかし、スポーツカーや高級車だけではなく、こういうモーターホームのような車こそ、自腹を切って、どれだけコストがかさむのかをレポートする価値はものすごくあると思う。

なぜならば、車だけではなく、様々な装備品や空調などの信頼性や能力なども気になるし、四季折々の季節でどれだけの違いが出るのかなどもぜひ知りたい。燃費や日常的なランニングコスト、維持費などなども知りたいところで、その部分が若干足りていないのが残念だが、細かい不具合の部分などが写真で紹介されていたことは実にいい企画であった。本来ならば、AUTO BILD JAPANでもモーターホームを一台購入し、是非とも長期テストをしてみたいものだ。いつかはそんな企画も実行できるように、と願ってやまない。(KO)

Text: Alexander Failing
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de