【スペシャルモデル】限定599台 約2億6千万円のフェラーリ デイトナSP3登場 全情報

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このフェラーリは、あらゆる境界を突破する。フェラーリは乗る人の夢を叶える – それはいつの時代も変わらない。しかし、マラネロは、超リッチな人たちをも区別している。デイトナSP3は、最もお金をかけられる人たちなら、誰でも入手できるものではない。ここでは異なる基準が適用される。

「モンツァSP1」と「SP2」に続く「Icona(アイコン)」シリーズの第3弾となるモデル、「デイトナSP3」が発表された。1950年代の競技用バルケッタをオマージュした「モンツァSP1」と「モンツァSP2」に対し、今回の「デイトナSP3」は、もうひとつの伝説、「330P4」にインスパイアされたモデルとなる。マラネロが生産する「デイトナSP3」は、わずか599台のみで、フェラーリによれば、前身モデルである「SP1」と「SP2」の購入者に、優先的にオファーされることになっている。ちなみに、「SP1」と「SP2」は、499台しか作られなかった。

その599台の限定生産モデル、「デイトナSP3」は、購入価格が200万ユーロ(約2億6千万円)だが、購入優先権を持つ人々のうち、そのチャンスをあえて見逃す人はほぼいないと言われている。彼らにとって値段は関係ない。200万ユーロ(約2億6千万円)は、このクラスの顧客にとってはほんの遊び金だ。その上、この車の価値が将来的に下がることに悩まされることがないことだけは、すでに明らかだからだ。

シルエリアのエアロダイナミクス: サイドミラーの後ろからエアを吸い込み、後輪の前で再び吐き出す。

このクルマ自体は、実際の「デイトナ」、いや、「デイトナ」と呼ばれるようになったモデル、「フェラーリ365GTB/4」とは関係がない。むしろフェラーリは、1967年にデイトナで行われた伝説の24時間レースについて言及したいのだ。この年、モナコで火災事故に遭い、命を落としたロレンツォ バンディーニと、ニュージーランド人のクリス エイモンが、「330P4」で、他のフェラーリ2台を抑えて、「デイトナ24時間レース」で勝利したのだった。

フェラーリ デイトナSP3のデザインに注目

ラップアラウンドウィンドスクリーン、フロントのフリック、ドライブアクスル後方の水平エレメント、フロントウィングに取り付けられたミラーなど、「SP3」は紛れもなく、この「330P4」をモデルとしている。このプロジェクトのチーフデザイナー、フラビオ マンゾーニは、エンジニアに率先して開発に携わり、意図的にこの「330P4」モチーフのスタイルを優先した。

つまり、今回の開発で、一番重視されたのはデザインであって、性能を追求することではなかったのだ。また、パワーユニットの面でも、ハイブリッドのギミックは過去へのオマージュを込めたクルマの仕様にはふさわしくないことも明らかで、フェラーリの誇る名パワーユニット、自然吸気型12気筒エンジンが必然的に採用された。

ドライバーのために: 他のフェラーリよりもさらに極端に、操作系は完全にドライバーの方向に向いている。

とはいえ、「デイトナSP3」ももちろん、そのカテゴリーを代表するハイパフォーマンスモデルである。840馬力は、フェラーリがこれまで市販モデルで、6.5リッターV12から絞り出された最高出力であり、これまた限定生産モデルである「812コンペティツィオーネ」よりも、10馬力アップしている。一方、シャシーは「ラ フェラーリ」をベースとし、7速デュアルクラッチも改良され、さらに進化を遂げたものが装着されている。

フェラーリ、翼を失ったことを誇りに思う

フロントミッドスポーツカーのドライブトレインを「SP3」に適合させるのに、大きな困難はなかった。排気管に少し論理的な改良を加えただけだ。チタン製コンロッドや、さらに軽量なクランクシャフトは、最高回転数9,500rpmと同様、「812コンペティツィオーネ」から受け継いだものだ。

空力面では、今回、フェラーリはアクティブウィングを一切使用しなかったことを特に誇りにしている。ダウンフォースの多くは、バキュームエプロンシステムによって車体下部に発生させる。前後アクスル間にあるドア内のエアダクトは、基本的に「F8トリブート」のフロントにある「Sダクトシステム」と同じ働きをする。空気は吸い込まれ、リアアクスルの前にある隠しウィングに導かれ、一方では冷却効果、他方ではダウンフォースを生み出すようになっている。

リアライト下のフィリグリー水平ストラット、センターに配置された2本のテールパイプが、巨大なディフューザーのためのスペースを作り出している。

車体にしっかりと固定されたバケットシートは、最初は違和感がある。背の高いドライバーのために、ペダルユニットとステアリングホイールは調整可能だが、いずれにしろ1.90メートルを超えるドライバーにとっては、運転しにくいシートだ。

コックピットの残りの部分には驚きはない。ステアリング ホイールは、ボタンの代わりにタッチ面を持つ最も近代的なバージョンで、その背後にある曲面16インチディスプレイはすべての必要な情報を表示、ギア選択の背景は、たとえば、「フェラーリ ローマ」から知られているクラシックなマニュアルシフターの外観だ。

結論:
599台のうちの大半の例を、私たちはめったに目にすることはないだろう。超限定生産シリーズで、フェラーリは再び自然吸気V12を讃える。純粋な高回転型スーパースポーツカー。文字通りこれは夢のクルマである!

【ABJのコメント】
帝王フェラーリといえども法規制などを免除されるはずもなく、純粋な内燃機関の12気筒エンジンは遠くない未来に姿を消さざるを得なくなった。今回の「フェラーリ デイトナSP3」は「さようなら内燃機関12気筒エンジン」の(これからおそらくまだ出るであろう)限定モデルである。

599台というのは意外と数が多いようにも思えるが、もちろん購入できるのは今まで沢山フェラーリを購入し、今でもいっぱいガレージに入っているような方だけで、一見さんが買いに行ったとしても決して購入することなどできない。そもそもこういう車は発表される前には、そういう方に「お伺い」の連絡があり、その段階ですでに完売御礼になっているという流れなのである。

本文中にもあるように2億だろうが3億だろうが関係のない話で、今までの限定モデルをコンプリートで持っていたい人ならば、その場で商談成立なのだろう。おそらくこれからも、まだまだいくつもの内燃機関限定モデルは登場するはずだが、最後の最後には、どんなものすごいものが出てくるのか、大変興味があることも事実だ。(KO)

テクニカルデータ&価格: フェラーリ デイトナSP3
• エンジン: 自然吸気V12、ミッドリア縦置き
• 排気量: 6496cc
• 最高出力: 840PS@9250rpm
• 最大トルク: 697Nm@7250 rpm
• 駆動方式: 後輪駆動、7速デュアルクラッチ
• 全長/全幅/全高: 4686/2050/1142mm
• 乾燥重量: 1,485kg
• 0-100/200km/h加速: 2.85秒/7.4秒
• 最高速度: 340km/h
• 価格: 約2,000,000ユーロ(約2億6千万円)

Text: Alexander Bernt
加筆: 大林晃平
Photo: Ferrari