F1に新たなメガデュエルが誕生! 90年代のセナプロ時代以来のフェラーリ対ホンダのエンジン対決 2022年F1第2戦サウジアラビアGP

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F1: 新しいマシンがもたらすスペクタクル。次世代メガデュエル。マックス フェルスタッペンとシャルル ルクレールの対決だ。サーキットでのトリックやデュエル、まさにルール改正が功を奏す。

マックス フェルスタッペンが、わずか0.549秒の僅差で、フェラーリのニュースター、シャルル ルクレールを抑えて2022年F1第2戦サウジアラビアGPを制覇した。

F1の2022年シーズン序盤は、フェラーリと、ホンダ製エンジン搭載チームがタイトル争いをするかもしれない展開になりつつある。そうなれば、90年代のセナプロ時代以来、30年以上ぶりのこととなる。

1週間前のバーレーンに続き、シャルル ルクレールとマックス フェルスタッペンが牙をむきあいながらトップ争いを繰り広げ、今回はレッドブルのスターが勝利した。

惜しくも敗れたものの、ランキングトップのルクレールは、この大接戦を前にして、「やっぱりレースはこうでなくっちゃね、カッコイイよ!」とニヤリ。厳しいけれども、フェアだった。この抜いたり抜かれたり、とても楽しかったよ」とモネガスク人は笑う。

最終局面では、フェルスタッペンと直接優勝を争うことになる。開幕戦同様、何度もトップが入れ替わるが、今回はスタートからフィニッシュまでの長いストレートで、DRSで優位に立とうとする相手との駆け引きがより一層激しくなる。

※ DRS=Drag Reduction System(ドラッグリダクションシステム)は、電子制御によって可動型エアロパーツの働きを弱め、空気抵抗による抗力を低減するシステム。

ルクレールは「レッドブルの強みはトップスピードだとわかっていた」と戦略を語る。だから、もしDRSがあれば、マックスがスタート フィニッシュで簡単に僕を追い抜くことは明らかだった。だから1周目は早めにブレーキをかけ、DRSを使って第1コーナー手前で彼を追い抜いたんだ」。

メガデュエル: 今度はフェルスタッペンがルクレールに対して鼻を高くしている。

フェルスタッペンは、「シャルルは巧みなトリックを使った」と高く評価している。いざ目の前にしてみると、簡単に振り切れない。サウジアラビア、ジェッダのコースレイアウトは、フィニッシュのヘアピンの手前にDRSの計測ポイントがあり、この挙動を助長する。去年もここでマックスとルイス(ハミルトン)の間でみられた、似たようなバトル。最後はルイスがマックスにぶつかって終わった。

フェルスタッペンとルクレールの間にも、その危険性は十分に存在する。最初の衝突はそう遠くないはずだと考えているF1関係者も少なくない。「これだけ接近していれば、いつかはクラッシュするだろう」と、元F1スコットランド人レーサー、ポール ディ レスタは語る。

「2回目は、もちろんマックスも僕がやっていることを知っていたから、2人ともかなり早めにブレーキをかけたけど、僕はなんとか鼻先を前に出したままだった」と、ルクレールは時速300kmを超えるチェスゲームについて語る。

しかし、世界チャンピオンであるフェルスタッペンは、冷静さを失わない。元チャンピオンのジェンソン バトンは、最初は攻撃をかわしていたオランダ人レーサーがライバルを上回るようになったことについて、「マックスはそこですぐに学んだ」と解説し、「あれは素晴らしい動きだった」と、終了まであと4周というところでの決定的な動きについて、元イギリス人F1チャンピオンレーサーは称賛する。

ルクレールも「3回目は物足りなかった」と認めている。「その時、マックスがいい仕事をしたんだ」。フェルスタッペンはレッドブルのモータースポーツボス、ヘルムート マルコからさらなる賞賛を受ける。「トップスピードが上がったおかげで、フェラーリを抜くことができたが、マックスの操縦は信じられないような素晴らしいものだった。だから、彼にはお金を払う価値があるんだ」と、グラーツ人は言う。その背景: レッドブルはつい最近、フェルスタッペンとの2028年までの新契約を締結し、フェルスタッペンは大幅な給与アップも勝ち取った。

開幕戦の技術的な失敗に対する怒りを胸に、ディフェンディング チャンピオンはサウジアラビアで逆襲に転じ、世界選手権でのルクレールとの差を20ポイントに縮めた。フェルスタッペンは、サウジアラビアGPでの成功に満足している。「もちろん、すべての戦いは異なるが、今日はクレバーで良いレースだった。簡単ではなかったが、とても楽しかった」。

レッドブルとフェラーリは、フェアな戦いを繰り返した。

フェラーリのボス、マッティア ビノットは、「2人が激しくぶつかり合う様子は、とても見応えがあった」と語り、レッドブルのヘルムート マルコも、「信じられないような、エキサイティングなレースだった!」と満足げだ。フェラーリは確実に競争力をアップさせて2022年シーズンに挑んでいる。昨年の時点では、改善されることはないと思っていたが、今では多くの関係者がフェラーリを称えている。

ひとつだけ確かなことがある。今、F1は、今後数年間を形作るであろう、新たなメガデュエルを経験している。ルクレール、フェルスタッペンと、同世代のドライバー2人が再びタイトル争いを繰り広げる。それを可能にしたのが、新しいグランドエフェクトカーだ。これを使えば、ハンターは前方のドライバーをよりよく追いかけることができる。メルセデスのチームボスであるトト ヴォルフは、「担当者たちは、望んでいたことを実現した」と言う。「壮大なレース、素晴らしいオーバーテイク、そしてたくさんのエンターテイメント。F1界を盛り上げるために、拍手を送るしかない」。

問題は、メルセデスとそのスーパースター、ルイス ハミルトンが、少なくとも当分の間、オブザーバー的な役割に追いやられてしまうことだ。「ルクレール対フェルスタッペンが今年の勝負になるだろう」と、レッドブルのマルコは予想する。「今の状態ではメルセデスがレースであのペースで走れるとは思えない」。

久々のエキサイティングなフォーミュラ1シリーズ? 残りの19レースが楽しみでならない。

2022年F1第2戦サウジアラビアGP結果:
1位 マックス フェルスタッペン(オランダ) – レッドブル 1時間24分19.293秒
2位 シャルル ルクレール(モナコ) – フェラーリ +0.549秒
3位 カルロス サインツJr(スペイン) – フェラーリ +8.097秒
4位 セルジオ ペレス(メキシコ) – レッドブル +10.800秒
5位 ジョージ ラッセル(イギリス) – メルセデス +32.732秒
6位 エステバン オコン(フランス) – アルピーヌ +56.017秒
7位 ランド ノリス(イギリス) – マクラーレン +56.124秒
8位 ピエール ガスリー(フランス) – アルファ・タウリ +1分2.946秒
9位 ケビン マグヌッセン(デンマーク) – ハース +1分4.308秒
10位 ルイス ハミルトン(イギリス) – メルセデス +1分13.948秒

Text: Frederik Hackbarth
Photo: autobild.de