【ユニークな比較テスト】アウディ編 A6アヴァント対A7スポーツバック対Q7 買うならどれ?
2022年3月13日
アウディA6アヴァント対A7スポーツバック対Q7: エステート、サルーン、それともSUV? どのボディバリエーションがもっとも運転がしやすいか? A6アヴァントとA7、Q7との比較。SUVの凱旋は衰えることを知らない。しかし、SUVは常に第一候補なのだろうか? 我々は、アウディA6アヴァント、A7スポーツバック、Q7の比較でこれを明らかにする。3台のアウディモデルをコンセプトに基づいて比較してみた。
ちょっとした投票: 現在、最も美しいアウディは? 投票の結果がどうであれ、非常にエレガントな「A7」がトップになる可能性が高い。しかし、「A7」にはすぐにデメリットがついてくる。スポーツバックのリアは「A6アヴァント」より明らかに狭く、背の高い人はより不快に座り、とりわけヘッドルームは7センチ近くも低くなっている。トランクルームの広さも、「アヴァント」が565から最大1,680リットルと、A7の535から最大1,390リットルに対し、明らかに勝っている。
広さでは明らかにQ7が勝っている
一方、「Q7」は別次元のモデルだ。広々としたリアシート(スライド式リアシート390ユー=約5万円、3列目シート1,520ユーロ=約20万円)には、子供たちに広々とした遊び場を与えることができ、巨大なトランクには、865から最大2,050リットルという巨大な容量のスペースがある。ちなみに、3台のアウディは、いずれも上質な素材で非の打ちどころのない仕上がりだ。
今回の比較では、エンジンは286馬力の3.0リッターV6ディーゼルを選択した。そのパワーユニットは、どこまでも美しく、心地よいサウンドを奏で、常に静かで、丈夫でエネルギッシュな走りを実現する、卓越した走行性能を備えている。
その巨大なサイズにもかかわらず、「Q7」は常に驚くほど扱いやすく、しっかりとしたサスペンションを備えている。しかし、直接比較すると、「A6」と「A7」は明らかにスムーズで、機敏で、足取りも軽く、路上でのスピード感も際立っている。そして、燃料消費量も少ない。テスト時、「A7」はリッターあたり12.8km、「A6」アヴァントはリッターあたり12.5km、Q7はリッターあたり10.5kmという平均燃費だった(それでも立派な数値だ)。
車両データ&価格:
モデル | A7スポーツバック50 TDI | Q7 50 TDI | A6アヴァント50 TDI |
エンジン | V6ディーゼル、ターボ | V6ディーゼル、ターボ | V6ディーゼル、ターボ |
最高出力 | 286PS | 286PS | 286PS |
最大トルク | 620Nm@1750rpm | 600Nm@1750rpm | 600Nm@1750rpm |
0-100km/h加速 | 5.6秒 | 6.1秒 | 5.6秒 |
最高速度 | 250km/h | 241km/h | 250km/h |
テスト時平均燃費 | 12.8km/ℓ | 10.5km/ℓ | 12.5km/ℓ |
全長/全幅/全高 | 4969/1908/1422mm | 5063/1970/1741mm | 4939/1886/1467mm |
トランク容量 | 535~1390リットル | 865~2050リットル | 565~168リットル |
乾燥重量 | 2,035kg | 2,330kg | 2,030kg |
価格 | 70,400ユーロ(約929万円)より | 73,700ユーロ(約972万円)より | 65,400ユーロ(約863万円)より |
コストの話が出たついでに言うなら、286馬力V6ディーゼルの場合、アウディは「Q7を」73,700ユーロ(約972万円)から、「A7スポーツバック」を70,400ユーロ(約929万円)から、「A6アヴァント」を65,400ユーロ(約863万円)から提供している。したがって、「A6アヴァント」が最もバランスのよい価格を提供しているといえよう。
コンセプト比較で見るアウディ:
結論:
確かに、「Q7」は巨大で可変的だが・・・、かなり高価だ。一方安い「A6アヴァント」は「Q7」より走りが良く、燃費もよく、スペースも広い。我々のおすすめだ。
【ABJのコメント】
こういう比較テスト、いつかは実施されるだろうなぁ、と思っていたら、本国のAUTO BILDはちゃんと(?)実施してくれた。というのも、今やどのメーカー、特にドイツのメーカーは、どこも同じような価格帯にSUVとセダン(あるいはワゴン)とスポーツハッチバック(あるいはクーペ)モデルをラインナップしているからで、その中から、流行だからとSUVを直球勝負で選ぶべきなのか、あるいは冷静にコストや性能を比較し他のモデルを選ぶかは、なかなか大切な問題なのではないだろうかと思うわけだからである。
もちろんSUVを否定する気もないし、その快適性も見晴らしのよさも十分に理解しているつもりではあるが、それでもSUVだけが正解ではないし、やはり自分の生活にあった車をきちんと選んでこそのカーライフなのではないかと思う。個人的には今回、「Q7」ではなく、「A6アヴァント」か「A7スポーツバック」を、本国のAUTO BILDスタッフがチョイスしたことは、いかにも合理的な人たちらしい選択である、と感じた。まんべんなくいつもの生活の中で使ったり、実用性を重んじたりするのであれば、やはり「A6アヴァント」、高速走行の機会が多い、あるいはあまりリアシートには人を乗せないという生活の人ならば「A7」というチョイスに当たり前ながらなるだろう。どちらも前をむいて普通の生活範囲で運転している場合、よほど意識しなければそれぞれのボディのデメリットを感じることはないだろうが、それぞれの得意とする領域を多用するときには、やはり歴然とした差はでるのではないだろうかと思う。
冷静に考えれば荷物も積め、価格も安い「A6」を今回の比較テストで一位として選ぶことは間違いないチョイスだが、格好が好きで「A7」を選ぶ人がいてももちろんまったく反対はしない。(KO)
Text: Dirk Branke
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de