ここにも電動化の波が・・・ ロールス・ロイス ラジエーターマスコットを刷新 空飛ぶ女神はどう変わるのか?

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新しい外観を身に纏うロールス・ロイス ラジエーターマスコット。ロールス・ロイスのラジエーターマスコットにも、e-car革命は影響を及ぼした! このたび、空力特性を改善するためにリデザインされた。新しいエミリーの情報。

ロールス・ロイスは、ラジエーターマスコット「スピリット オブ エクスタシー」をエアロダイナミクス向上のために改良した。これまでのモデルでは、この問題は優先事項ではなかったが、ブランド初の電気自動車である次期「スペクター」の研究開発の面で、今やこのマスコットは重要な課題となっている。このためにロールス・ロイスは、ブランドの象徴であるラジエーターマスコットの姿を空気抵抗の低いものにする必要がある。そのキーワードは「レンジ(航続距離)」だ。

よりスポーティなスタンスと新しいスカートを採用したフィギュア

しかし、ロールス・ロイスファンの人は、心配は無用だ。最初に想像されるほど、大きな変化はない。最も顕著なのは、脚の位置が変わったことだろうか。「エミリー」と呼ばれるこのフィギュアは、以前は両足を並べて立ち、風に向かって曲がっていたが、新バージョンでは、もう少しダイナミックな姿になる予定だ。片足を少し前に出し、しゃがんだ状態で、スタート台から走り出したばかりの短距離走者のようなイメージで。多くの人が翼と思うような膨らんだスカートも、ロールス・ロイスが改良したものだ。もはや、それほど高くは飛べない。空力的な意味もあるが、よりリアルにするためだ。高さが10cmから8.27cmになったのも、この改良のためと思われる。同社の情報によれば、フィギュアの顔も修正されているとのことだが、写真ではその変化は確認できない。

新型に比べて、両足を並べて立つ旧型(この写真)はスカートがかなり高くなびいている。

現行モデルは旧スピリット オブ エクスタシーを継承

ただし、すべてのモデルに新しい「スピリット オブ エクスタシー」が搭載されるわけではない。「ゴースト」、「レイス」、「ドーン」、そして「カリナン」からなる現行レンジは旧バージョンの「スピリット オブ エクスタシー」を維持し、2023年に発表される「スペクター」とそのあとに発表されるロールス・ロイスには、すべてこの新バージョンが採用される。ちなみに、ラジエーターマスコットの変更は、今回のリニューアルが初めてではない。1911年以来、英国の高級車を飾り続けたこの「スピリット オブ エクスタシー」は、たびたび細部のデザイン変更を受け、デザイン変更を繰り返してきた。例えば、ドライバーの視界を妨げないように膝をついたものもあったし、初代の身長は17cm以上もあったのだ。

「フライングレディ」、「スピリットオブエクスタシー」、「エミリー」・・・呼び名はいろいろあれど、要はロールス・ロイスのパルテノン神殿グリルの上に、ピンと誇らしげに立っている「シンボル」の話である。

最近では真っ黒のシンボルや、ガラス(クリスタル)の「スピリット オブ エクスタシー」などもあり、ガラスのものは純正オプションとして、約100万円なのだという。もちろん100万円握りしめてコーンズに行ったとしても、ロールス・ロイスのオーナーでなければ購入を断られることと思うが、そういう人にはぜひヤフーオークションを覗いてみてほしい。現在、22万円から220万円のあいだでいくつか発売中なので、欲しい方はぜひどうぞ。

そんな「スピリット オブ エクスタシー」も今まで10回ほど大きさが変わっており、最初の大きさ(18cm)から、今やその半分程度の大きさとなっている。とはいっても、「最初」とは書いたが、1920年代には「スピリット オブ エクスタシー」は標準装備ではなかったため、「当初」のほうが正確な記述になろうか。いずれにしろ、こういった部分まで話題になるところが、さすが自動車の王様「ロールス・ロイス」である。

Text: Katharina Berndt
加筆: 大林晃平
Photo: Rolls Royce