ポモナ スワップミート 広大かつ巨大な自動車とパーツのフリマの世界

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年に7回、アメリカ西海岸最大の車と部品のマーケットに、何千台もの旧車と何万人もの車好きが集まる。ポモナ スワップミート(Pomona Swap Meet & Classic Car Show)では、いったい何が行われているのだろうか? 行って、確かめてみよう! 以下、レポート。

スワップミートという言葉を聞いた事があるだろうか?
アメリカ人にとってはお馴染みの、Meet(出会って)、Swap(交換)するという2つの単語から成り立つフレーズだが、一般的な意味で言えば、フリーマーケット、あるいは野外で開かれる青空市のようなものだ。
日本人にもなじみ深い、採れたての魚や野菜を売る朝市や、花市、骨董市、蚤の市なども、広義ではスワップミートということになる。
そして、自動車大国アメリカで70年以上にわたって、根強い人気を保ち続けているのが、言うまでもなく、自動車ショーと、自動車や部品の販売と、ミニカーなどの自動車グッズやホビー商品を、売り買い、文字通りスワップ(交換)するイベント、「スワップミート」だ。
東海岸では、ペンシルバニア州ハーシー(ハーシーズチョコレートの発祥地)で3~4日間にわたっておこなわれる世界最大の「オールドカースワップミート」、西海岸では今回紹介する「ポモナ スワップミート」がつとに有名だ。
アメリカならではの、それは、それは、巨大な規模のイベントで、今回紹介する「ポモナ スワップミート」には、なんと、2,500台ものオールド&クラシックカー、ならびに2,700ものパーツやグッズショップが参加した。
※ 2,500台という台数は、日本でのクラシックカーイベントは通常150台から200台、大規模なイベントでも300台から400台が限度だということを考えれば、腰を抜かしそうになる。

アメリカ西海岸のLAの東端に位置するポモナ スワップミートのエントランスエリアには高速道路の料金所のような入場口。
短い渋滞の後、到着した車は、7つの巨大なゲートに振り分けられ、とても不思議なことに、駐車券だけが用意されている。
たった10ドル(約1,150円)の入場料で、サッカー場4面分の広さの場所に車を停めることができるのだ。

車マニアとプロフェッショナルの出会い

あまりのお得感に、みんな10ドル(約1,150円)の入場料を手に、次の入場ゲートへ徒歩で急いだ。
すると、よく見れば、2つのグループがある。
6時少し前にここに現れるのは、車のマニアと愛好家たちだ。
そして、その後ろに道具や布切れ、水のタンクを積んだ、平たい荷車を引いている人も多くいる。
その人たちはプロフェッショナルな人々、つまり自動車や自動車部品を販売(交換)する人々だ。

ポモナ スワップミート&クラシックカーショーでは、2,500台もの車と、2,700のパーツ&グッズ業者が集まった。

言うまでもなく、自動車や部品市場は、何十年も前から、誰もが興味を持つ市場だ。
60年代には、主にフォードT型やA型を修理し、足りない部品を手に入れるのが大変だったため、修復に何年もかかることもあったそうだ。
そのような事情は、eBayやSNSのない時代には決して珍しい現象ではなかった。
そこで、「スワップミート」の生みの親、ジョージ・W・クロス3世が登場する。
多くの自動車クラブの仲間も同じように感じていたので、クロスは、1975年8月にあるアイデアを思いついた。
100ドルの広告費を投じて、クラシックカーファンや部品・旧車販売業者を集め、最初の「自動車&パーツマーケット」を開催したのだった。
1975年8月3日、4,000人以上の来場者があり、大成功を収めた。
最初のころは、まだホールで開催していたが、その後、スペースが足りなくなり、マーケットを開催することができなくなった。
それもそのはず、観客数はとっくに2万5千人を超えていたのだ。
そこで、青空の下、広大なオープンスペースでのイベントスタイルを採用し、フリーマーケット方式の「スワップミート」を始めたのだった。
その価値はあるのか?
もちろんあることは言うまでもない。
どこのパーツマーケットでもそうだが、早めに来て、運が良ければ、探しているものが見つかるかもしれないのだ。
あるいは、まったく思いもよらなかったことに遭遇する。
どちらの場合も「スワップミート」ならではだ。
その分、クルマやパーツの種類も豊富で楽しいのだが、その分、体力も必要で、そうでないとあっという間に疲れ果ててしまう。
以下、「ポモナ スワップミート」の様子をフォトギャラリーとともにお楽しみあれ!

カリフォルニアを旅する理由はたくさんある。そのひとつは、ポモナ スワップミート&クラシックカーショーへの訪問だ。ポモナはロスの東端にある町で、このカーショーは、巨大な車とカーパーツの蚤の市だ。確かに、世界の多くの国々で似たようなイベントはおこなわれている。しかし、どれもこのポモナの規模ではないし、しかも、ポモナのように年7回開催(!)ではない。
毎回、約25,000人の来場者がある。車と部品の市場は、すべての車マニアを魅了し、50年近く続いている。1975年の第1回ポモナスワップミート&クラシックカーショーでは、約4,000人の来場者があったそうだ。当初はホール内で開催していたが、スペースが足りなくなったため、現在は大きな広場で開催している。
よく見ると、2つのグループがある。まず、朝の6時にここに来るような車好きの人たち。そして、その後ろに工具や布切れ、水のタンクを載せた平たい荷車を引いている人たち。彼らは「プロフェッショナル」と呼ばれている。つまりパーツやグッズを売る業者さんたちのことだ。
車と、あらゆる種類の部品や車の記念品を扱う露店が交互に並んでいる。戦前のピックアップトラックから、伝説的なホットロッドの1台であるフォード モデルB、80年代初頭のオールズモビル カトラス スプリーム クーペのような、太ったローライダーまで、とにかく何でも揃っているのだ。
この現代人は、究極のブラジルサッカーファンであるだけでなく、フォード マスタングのファンでもある。車は売らないでほしい! ピッタリ似合っているからだ。
クロームメッキのカッコいいホイールキャップがいいのか、それともエンジン全体がいいのか? このビュイックV6は、見た目と同じように走れるのか? そう、仲間よ、オーナーの身振り手振りでもうわかるのだ。彼の名前はビル。彼が保証する。そして、購入者には必ずビールをおごってくれる。
どこのパーツマーケットでもそうだが、早く来て運が良ければ、探しているものが見つかる。しかしそのような日には体力も必要だし、すぐに銀行口座も空になってしまう。
ピストン、クランクシャフト、カムシャフト・・・。心が求めるものなら探せば何でもある。
このトレーダーのメイン商品はハンマーだ。こういう「これは、このオヤジのところに行けばかならずある」という名物オヤジがきっと多いはず。
このシボレー カリフォルニア コルベット コンバーチブルの「セブリングシルバー」は、43,400ドル(約500万円)で購入できる。しかし、これを運転できるアメリカ人は何人いるだろうか?なにせ、マニュアルトランスミッションだから・・・。(笑)
すべてのカーフリークに贈る誕生日&クリスマスプレゼント。あなたなら、自分の前の道路、なんて名前にします??
こんな薄いカマロのパンフレットが19ドル(約2,300円)? ふ~む、ちょっと高いのう。
1955年製のフォード サンダーバードは32,000USドル(約368万円)で買える。なかなか魅了的なプライスではないか!
この1965年製シェビーIIノーヴァは、明らかに大幅なレストアを必要としている。しかし売り手はトータルジャンクではないと主張していた。私には……ポンコツに見えてしまうが、欲しい人にはそうではないのだろう。
それに対して、このシボレー ベルエアは、1953年当時と同じように誇り高く、立派な佇まいを見せている。クロームメッキもボディの程度も極上である。ホワイトリボンタイヤも美しい。
6000ドル(約69万円)で、このオリジナルの1938年製ティアドロップ キャラバンを手に入れることができる。きっと払えば、その場からお持ち帰り可能。
ポモナでは、意外とドイツ車、特に「フォルクスワーゲン」に出会うことが多い。「1985年以前」と記された看板に並べられた2台。
そう、そしてもちろん、ビートル(カブト虫)は欠かすことはできない。昔のディズニー映画に出てきた時のカラーリングに注目。
VWタイプ3は、1600ヴァリアントとして紹介されているが、実に目立つ存在である。太く盛り上がったボディで、ティグアンに対抗できるかもしれない。となりのビートルのなんと小さくみえること!
また、VWのT1やT2バスもたくさん見かける。下の一台は驚くほどのミントコンディションである。
ちょっと休憩! コークで一息。屋根の上のクーラーボックスもいかす。
カリフォルニアの太陽の下、冷たい飲み物があれば、クラシックカーの価値は一気に高まる(ただし、この状態ではお湯のように暖かいはず)。
小さな子供でも、ここでは車に乗ることができる。消防自動車のカラーリングがなんとも粋である。
買ったものがすべて家に持ち帰えられるとは限らないし、家族総動員の助けも必要。
ポモナスワップミート&クラシックカーショーは、70年代のフォードA&Tモデルのスペアパーツ事情に悩まされたジョージ・W・クロス3世によって始められたもので、今日のポモナショーの原型となるパーツマーケットとして始まった。この台数をみよ!!

アメリカはやはり広大で自動車の国だということをつくづく実感するレポートだ。
なにせ一年に7回(ということは2か月に一度以上)開催され、2,500台もの車と、2万5,000人ものクルマ好きもが集い、入場料はたったの10ドル(約1,150円)、という何から何までビックリの「スワップミート」なのだから。
正直言うと僕は羨ましくてたまらない。こんなに自由であっけらかんと明るく、どんな人でも集えるイベントが身近にあること、それが本当に羨ましい。
きっと毎回仲間が集い、毎回同じような話を同じようにして、また数か月後に同じように集まるのだろう。
これほどの人が自由に集まれる場所があることも、たった10ドル(約1,150円)でヒエラルキーもなく集えることも、楽しそうな掘り出し物が見切れないほどあることも、本当にめちゃめちゃ羨ましい。次回のイベントに行っちゃいたいような気持である。

Text: Dani Heyne
加筆: 大林晃平
Photo: Justin Evidon