需要に供給が追い付かない人気? VW初の電動SUV VW ID.4のすべて

368

VW ID.4は、ヴォルフスブルク初の電気自動車SUVだ。

電気自動車のSUV、VWID.4が、今、人気を博している。ここでは、すべてのテスト、価格、モデルバリエーションなどの概要を説明する。

VW初の電気自動車SUV「ID.4」価格一覧
● ID.4ピュア: 37,415ユーロより(約493万円、現在、受注停止中)
● ID.4ピュアパフォーマンス: 38,915ユーロ(約513万円)より
● ID.4プロパフォーマンス: 44,915ユーロ(約592万円)より
● ID.4 GTX: 50,415ユーロ(約665万円)より

VWは、「MEB」プラットフォームをベースとした最初の電気自動車「ID.3」に続き、電動SUVの「ID.4」を発表した。
実用性を重視した電気自動車のため、ルーフレール(ルーフ荷重75kg)、トレーラーカップリングが装備されている。
2021年末までは、「ID.4ピュア」がシリーズのエントリーモデルで、直近の価格では37,415ユーロ(約493万円)であった。
ただし、現在、109kW(149馬力)の「ID.4ピュア」は注文できない。
その理由は、世界的な半導体危機が続いているためだ。
その代わり、少なくとも38,915ユーロ(約513万円)の125kW(170馬力)の「ID.4ピュアパフォーマンス」が仮のベーシックバージョンとなる。
VWは、我々の取材に対し、「ID.4ピュア」は後日、再び販売される予定であると語っている。
ちなみに、どちらのバージョンも、52kWhのバッテリーを搭載し、最大346kmの航続距離を実現している。

もう少しパワーと航続距離が必要な場合は、150kW(204ps)の「ID.4プロパフォーマンス」が最適で、77kWhのバッテリーで最大519kmの航続が可能となっている。
しかし、ベース価格が44,915ユーロ(約592万円)と、「ID.4ピュアパフォーマンス」に比べて6,000ユーロ(約80万円)も高くなる。
スポーティなトップモデルの「ID.4 GTX」は、それよりもさらに6,000ユーロ(約80万円)近く高くなり、最低でも50,415ユーロ(約665万円)を支払わなければならない。
ただし、最大9,000ユーロ(約119万円)の環境ボーナスが総額から差し引かれる。

納期が長いVW ID.4

チップ(半導体)危機は終わりが見えないので、新車購入者は納車まで長い期間待たなければならないことになる。
現在、「ID」モデルを取得するのに10ヶ月から12ヶ月待たされることがある。
しかし、トンネルの先には光があるかもしれない。
VWのヘルベルト ディースCEOは、最近ベルリンで開かれたビジネス会議で、「最悪の事態は乗り越えたと考えている」と述べている。

ID.4 GTX:スポーティなトップモデル

「GTI」の代わりに、VWの電気自動車のスポーツモデルは「GTX」と呼ばれる。
新しい略称で発売される最初のモデルは「ID.4 GTX」だ。
「GTX」には、この後、さらに多くのモデルが登場する予定だ。
新型「ID.4」のトップモデルには、2基の電動モーターが搭載されている。
出力は220kW(299馬力)と、ベースモデルの2倍、ほぼ300馬力を発揮する。
全長4.58mの「GTX」を6.2秒で0から100km/hまで加速させるのに十分な性能だ。
これは、通常版のスプリントタイム8.5秒に比べ、2秒以上速い。
一方で、航続距離は最大480kmとなり、同じく77キロワットのバッテリーを搭載する通常の「ID.4」より約40km短くなっている。
VWは、「スポーティID.4」の消費電力を18.1~19.1kWhと表記している。

フロントでは、トップモデルのGTXは、1つ上に配置された新しいLEDによって認識することができる。

ID.4 GTX
• 電動モーター×2基
• 最高出力: 220kW(299馬力)
• 0-100km/h加速: 6.2秒
• 77kWhバッテリー
• 最大航続距離: 480km
• 電気式全輪駆動
• Cd値: 0.29
• スポーティールック
• 基本価格: 50,415ユーロ(約665万円)より

トップモデルであることを視覚的にも認識できるように、VWは「GTX」に、各フロントエプロンに1つずつ配置された3つのLEDを与え、特別なライトシグネチャーを提供している。
また、ベンチレーショングリルをブラック塗装とし、LEDマトリックスヘッドライト(IQライト)を標準装備している。
横から見るとペイントされたドアトリムや、新型の20インチホイールが目立つ。
それでも足りない場合は、「GTX」に21インチのホイールを追加で設定することも可能となっている。
リアは、3D LEDテールランプと新デザインのリアエプロンが特徴的だ。
「キングスレッドメタリック」という色の塗装仕上げは、完全に新しいものだ。

GTXのダッシュボード上部は青色だ。また、VWはトップモデルに赤い飾りステッチを追加している。

VWは、「GTX」のインテリアも丁寧に磨き上げている。
赤のコントラストステッチ、ステアリングホイール、シート、ドアシルパネルのGTXロゴ、おなじみのデザインのステンレス製ペダルセットも装備している。
AGRマーク付きのスポーツシートも有償で提供している。
また、15ミリのローダウン機能を持つスポーツサスペンションや、プログレッシブステアリングなどのスポーツパッケージもオプションで用意されている。
さらに、ノーマルの「ID.4」でおなじみのDCCサスペンションコントロール、すなわちアダプティブダンパーを装備したスポーツパッケージ「プラス」も注文可能です。
ツヴィッカウ工場で生産される「ID.4 GTX」は、ベース価格50,415ユーロ(約665万円=現在適用されている補助金控除前)で提供されている。

テスト中のID.4 GTX

我々はすでに「ID.4 GTX」を試乗した。
我々を乗せると2.2トンを超える重量を持つこの車が、0から時速100kmまで6.2秒というのは異常な速さだ。
電子制御システムがカーブの内側にある車輪にブレーキをかけたり、負荷を軽減したりするので、ステアリングホイールで指示した方向にちゃんとクルマは進む。
特に、フロント電動モーターが常に作動する「スポーツ」モードでは、その楽しさが倍増する。

結論:
GTIはガソリン車でカルト的な人気を得ているが、GTXはVWの電気自動車でカルト的な人気を得る可能性がある。スポーティな外観、全輪駆動による完璧なシャシー、299psによる噛み締めるような加速感。しかし、50,415ユーロというのは、本当に口惜しい。

最大520kmの航続距離

VWは現在、ID.4をいくつかの性能レベルで提供してる。
150kW(204ps)を発揮するID.4 Proは、最初のチェックで納得のいく結果が得られた。
基本エンジンはID.4 Pureと呼ばれるもので、109kW(149ps)を発生する。
いわゆるパフォーマンスアップグレードでは、これが125kW(170ps)になる。
後輪駆動が標準で、最高速度を160km/hに抑えることで省エネを図ってる。
2種類の弱い方のモーターには52kWhのバッテリー(最大346km走行可能)が搭載され、よりパワフルなモーターには77kWhのバッテリーが搭載される。
航続距離は最大520kmで、急速充電により30分ほどの充電で320kmの走行が可能。
220kW(299ps)を発揮するトップモデルのID.4 GTXは、全輪モーター駆動を採用し、新型となる。

109kW(149ps)から220kW(299ps)の間で、合計5つのパワーレベルが用意される。

ID.3の兄貴分

球体で少しシャイなID.3より、ID.4の方がデザイン面では魅力的だ。
また、よりオーソドックスであることも理由のひとつだろう。
フロントは高く盛り上がり、ほぼ垂直になっている。
2つのヘッドライトをLEDバンドでつなぐIDらしいライトサイン(マトリクスLEDは別売)は、ID.3よりもややアグレッシブにデザインされている。
アンダーライドガードは、下部の大きなエアインテークと一体化したエプロンとなっている。

ドアハンドルは出っ張らず、空力に貢献する。
ルーフエッジスポイラーと細いリアウィンドウを持つリアは、どこか「レンジローバー イヴォーク」を彷彿とさせる。
ダークエプロンはかなり上まで届いており、ここでもアンダーライドガードが表示されている。
最高級グレードでは、テールランプに独自の3Dシグネチャーを採用している。
暗いガラスの下に、個々の正方形のエレメントがひとつずつ配置されている。
ここでも、連続したLEDの帯がつながりを演出している。

電気自動車VW ID.4のテールランプには、独自の3Dサインがある。

ティグアンより大きいID.4

後輪駆動により、電気自動車の回転半径は10.20mとコンパクトカーレベルを実現している。
サイズ的には、「ID.4」は「ティグアン」と「ティグアン オールスペース」の間に位置づけられる。

サイズ一覧
全長: 4584mm
全幅: 1852mm
全高: 1640mm
ホイールベース: 2771mm
ラゲッジコンパートメント容量: 543リッター~1575リットル
牽引能力: 1,200kg

インテリアはID.3とほぼ同一だが、素材の面でID.4のほうが若干上質になっている。

ソフトタッチ、中央の画面の大型化

我々は「ID.4」のシートも試した。
内装は「ID.3」とほぼ同じものだ。
ダッシュボードのセンタースクリーンは、標準では10インチですが、最大12インチに拡大する。
また、一部の装飾を「ID.4」用に変更し、ダッシュボードにソフトタッチを採用している。
もちろん、AR(拡張現実)を使ったヘッドアップディスプレイや「ID. Light」も搭載している。
フロントガラス前方のライトバンドは、音声アシスタント使用時の視覚的フィードバック、バッテリー充電量の視覚的表示、赤色での危険警告、ナビゲーションの補助を提供する。
例えば、方向転換の指示は、対応する方向に光が走ることで示されるようになっている。
電気自動車らしく、SUVでありながら広いスペースを確保している。
リアでも開放感は抜群で、もちろんオプションのパノラミックガラスルーフを装着すれば、さらにその良さが際立つようにできている。
「ID.4」は何よりも実用性を重視しているため、リアベンチには3つのチャイルドシートが隣り合わせに収まるようになっている。

VW ID.4の長所と短所:
長所:
ほど良い広さ
快適なシャシーチューニング
スムーズで正確なステアリング
走る歓びを提供する「GTX」

短所:
コックピットには慣れが必要
インフォテインメントシステムは、まだ批判を我慢しなければならない
AUTO BILDテストでの実走行距離(361km)は、VWの約束する「ID.4プロパフォーマンス」の航続距離を約30%下回っている

結論:
VWの2台の電気自動車MEBでは、ID.4のデザインの方が好ましい。
内装の素材も心地よく、スペースも広い。さらに、SUVの高い着座位置による視界の良さ。
ただ、VWがメーターディスプレイをもう少し大きくしなかったのは残念だ。

Text: Jan Götze und Katharina Berndt
Photo: Volkswagen AG