【ニューモデル情報】新型メルセデスAMG SLのすべて 第8世代SLはよりシャープでダイナミックに

869
- Advertisement -

ダイナミクスとV8パワーを大幅に向上させた新型メルセデスAMG SL。メルセデスAMGがSLに新たな息吹を吹き込む。コードネームR232の新型SLは、よりシャープな外観とソフトトップを備え、当面はV8専用車となる。シートチェックを含むすべての情報をお届け!

市場投入&価格:AMG SLは2022年初14万ユーロ(約1,850万円)前後から

新型「SL」は、まさに本物のAMGだ。
なぜなら、メルセデス最古のモデルシリーズの8代目は、ゼロからアファルターバッハで開発されたからである。2+2シーターで、クラシックなファブリックルーフを備えたロードスターは、先代モデルよりも大幅にスポーティになり、そのコンポーネントは1つも流用されていない。2022年初頭の市場投入時には、2種類の性能のV8が用意される予定となっている。「SL 55」は476馬力、「SL 63」は585馬力を発揮する。 そして、いずれも「SL」としては斬新な、「4MATIC+」全輪駆動専用となる。メルセデスはまだ価格を明らかにしていない。我々は、価格は約14万ユーロ(約1,850万円)からになるのではないかと推測している。

新型SLの最重要情報一覧:
● メルセデスAMGが開発した新型SL
● R232はよりスポーティに変身
● ファブリックルーフに戻る
● 大型ディスプレイのあるインテリア
● SLに初めて全輪駆動を採用
● 価格: 約140,000ユーロ(約1,850万円)より
● 2022年初頭の市場投入

外観: 先代より大きくなったが、よりスポーティになった

先代と比べて新世代の「SL」は見分けがつきにくい。先代からのロングボンネットを受け継いではいるが、それ以上のものはない。「R232」は、先代より7センチ長くなったにもかかわらず、ホイールベースが長くなり、オーバーハングが短くなったことで、よりコンパクトに見えるようになり、よりダイナミックになっている。フロントは、細いヘッドライトと典型的なAMGパナメリカーナグリルが印象的だ。その下には、「AMG GT 63 S E-パフォーマンス」のスタイルを模したグリルのついたゴツゴツしたエプロンが置かれている。フリックや大型リアディフューザーを装備したエアロパッケージもオプションで用意されている。19~21インチの6種類のデザインのホイールがホイールアーチの中で回転する。リアでは、「Sクラス」譲りのテールランプ、電動伸縮式のアクティブスポイラー、4本の台形テールパイプが際立っている。丸みを帯びた縮小された形状のリアエンドは、先代「SL」よりも、「AMG GT」を彷彿とさせる。

Sクラスのようなテールランプ、電動伸縮式スポイラー、4本の台形テールパイプがリアを特徴づけている。

ファブリックソフトトップ復活

格納式ドアハンドルを除けば、最大の目新しさは、時速50kmまでなら15秒で開閉できるファブリックソフトトップが復活したことだろう。金属製のフォールディングルーフに比べ、よりスポーティな外観と、21kgの軽量化を実現している。とはいえ、「R232」は先代よりも重く、乾燥重量はほぼ2トンだ。

インテリア: 高級感あふれる、グレアフリースクリーン付き

新型「SL」には、インストルメントクラスターとインフォテインメントに大型ディスプレイが採用されている。しかし、メルセデスの「Cクラス」や「Sクラス」とは異なり、12.3インチのメータークラスターはステアリングホイールの後ろに自由に立ち上がるのではなく、カバーの下に隠れるようになっている。これは、オープン走行時の上からの太陽光を防ぐためのものだ。このため、センターコンソールの11.9インチタッチスクリーンも、電動で30度傾けることができるようになっている。システムはおなじみのMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエキスペリエンス)インフォテインメントに、AMG専用コンテンツを追加したものだ。

大型のタッチパネルは、ルーフを開けたときに映り込まないように傾けることができる。

オプションリストでよりスポーティに

基本的に、「SL」のインテリアはラグジュアリーな傾向にある。
ベンチレーションとネックドライヤーを備えた快適なシート、ブルメスター(Burmester)製サウンドシステム、多くの装飾的なステッチレザーが、快適な生活を実現させる。しかし、サーチャージ(追加料金)を気にすることなく選ぶなら、よりスポーティにもアップグレードできる。パフォーマンスバケットシート、カーボンインレイ、アルカンターラ表皮、レッドシートベルトなどを採用し、「SL」をよりスポーツモデルにブラッシュアップできる。AMG専用ディスプレイ、車両解析のための「トラックペース(Track Pace)」、ドライビングモードスイッチは標準装備されている。そして、ドライビングモードスイッチにより、最大6種類の走行プログラムを選択することができるようになっている。

2つのエマージェンシーシートを備えた新世代を再び

「R129」以来、初めて、「SL」は再び2+2シーターとなった。しかし、後席は身長1.50mまでのヘッドスペースしかないため、実際には子供用としてしか利用できない。その一方で、最大240リットルのトランクルームでは足りない場合には、ラゲッジルームを拡張することができるなど、実用的な利点もある。

ロードスターとなると、当然トランクは大きくはなく、新型SLでは240リットルの容量となっている。

ドライビング: 新型SLは、カーブもよく曲がる

「SL」は紙の上では約束したことを実際の路上で実現できるのか?
スタートボタンは左のディスプレイの後ろに隠れていて、大きなバブリング音とともに8気筒エンジンは息を吹き返す。右足を少し動かすだけで、2トン車が動き出す。直進することに驚きはないが、ギアボックスとチャージャーが活動し始めるまでのターボラグが異様に長いことに驚く。48ボルトのブーストなど、ここにはないのだろう。

先代に比べ、新型SLはコーナリングのマスターとなった。

エキゾーストフラップの位置によって、「SL」は多少なりとも力強く唸り、シートの隙間にドライバーの脂肪パッドが強く押し付けられるほど激しく前に出てくるのだ。接続したら、高速道路を降りて、山の中に入っていく。ヘアピンカーブでは、先代は常にカーブの端に向かう衝動で節度を保っていた。直線では時に鋭すぎるほどの超ダイレクトなステアリングが、カーブではミリ単位の正確さで「SL」を誘導し、しっかりとしたシャシーがロードスターを理想的なラインにとどまらせる。濡れた路面の上り坂で、ヘアピンカーブでリアエンドが外側に揺れたのは1、2度だけだった。

エンジン&パワートレイン: 2基のツインターボV8で始動

市場導入時には、「AMG SL」は4リッターV8ツインターボ搭載車のみの設定となる予定だ。
出力は2種類から選択可能となっている。最高出力476馬力、最大トルク700Nmの「SL 55」がエントリーモデルとなる。その上のバージョン、「SL 63」は、最高出力585馬力、最大トルク800Nmで、エンジンソフトの変更とブースト圧の増加により出力向上を実現している。よりパワフルな「SL」は、0から100km/hまで3.6秒で到達し、最高速度は315km/hとなっている。「63」に搭載されているアクティブエンジンマウントは、「55」ではオプションとなっている。どちらにも9速スピードシフトオートマチックが標準装備されている。全輪駆動は、V8と「SL」に初めて設定された。4MATIC+は、電気機械式クラッチを介して、フロントアクスルを完全可変かつ需要に応じた方法で接続する。

4気筒とプラグインハイブリッドが続く可能性が高い

そして今後、他のパワートレインも少しずつ追随していくと思われる。12気筒や6気筒のエンジンは論外とされている。その代わりに、「A 45」と新型「C 63」に搭載される可能性のある4気筒エンジンが、このシリーズの最後を飾ることになりそうだ。さらに、800馬力を超えるトップモデルとして、プラグインハイブリッド「GT 63 S E-パフォーマンス」が投入されるとの噂がある。果たしてそれらは実際に来るだろうか?メルセデスは、このシステムを「SL」に適応させることは十分に考えられるという。マーケティング用語で言えば、「喜べ!」ということだろうか。

噂によれば、トップモデルは800馬力を超えるプラグインハイブリッドになるそうだ。一方で、6気筒や12気筒エンジンは論外とされている。

プラットフォーム: 次期AMG GTが下支え

新型「SL」は、次期「AMG GT」にも採用されるアルミニウム構造をベースにしている。新しいボディシェルは、特に高い剛性とドライビングダイナミクスを実現するものとされている。我々の取材に対し、AMGは、すでに「GT」後継車のプレビューが可能かどうか、どのパーツが可能かについてはコメントしなかった。しかし、クーペは「SL」よりもさらにダイナミックなものになることだけは事実だ。「SL」自体にはすでに数々の性能が備わっているが、スポーティさを増したとはいえ、快適性は確保されているはずだ。

シャシー: ロールスタビライゼーション機能付きアクティブサスペンション

「SL 63」には、ロールスタビライゼーション機能を備えたアクティブサスペンションが採用されている。これは動力性能の向上だけでなく、快適性にも寄与するように設計されている。「SL 55」では、従来のコイルスプリングに、アジャスタブルダンパーが組み合わされている。また、「SL 63」に標準装備されているリアクスルのリミテッドスリップディファレンシャルも、ここではオプションで用意されている。ステアリング角2.5度のアクティブリアクスルステアリングを常時搭載し、カーブでのハンドリングを安定させながら回転半径を小さくしている。

結論:
淡白な先代から一転、メルセデスは新型「SL」で本気を出した。
AMGによって完全に再開発され、静止状態ではすでに世界一スポーティになっている。我々は「埋もれることなく、名前が復活したのは素晴らしいことだ!」と表する。しかし、残り少ない既存顧客が、新しいダイナミクスに満足するかどうかは、まだわからない。

いよいよ「メルセデス・ベンツSL」・・・、じゃなくて、「AMG SL」の試乗レポート第一弾がやってきた。以前のコメントと重複してしまうが、個人的な注目点としては、

1: SL初の4輪操舵と4輪駆動
2: 幌のオープンとして帰ってきて何より
3: AMGブランドで本当によかったのかどうか もっとおじさん(お爺さん)向けの、ユルイ、快適なラグジュアリー路線じゃいけなかったのか?

という3点で、言葉は悪いけれど、速く超高性能な自動車で、少なくとも公道上で破綻をきたすことなどないスポーツカーということは当たり前で登場した時からわかっていることである。もっと普通のシチュエーションで、まったり、ゆったり、の~んびり乗った場合に、快適でラグジュアリー感が満載かどうか個人的に知りたいのだが、今回のレポートではそこまで判別できないのが残念である。それにしても今回のレポートで驚いたのは、今度の「SL」は2トンもあることで、いくら4輪駆動で電子デバイスや快適装備満載とはいっても、「マツダ ロードスター」の2台分の車重というのは、いささか重すぎやしないだろうか。「SL」の名前がそもそも「スーパーライト」であったことを思うと(はるか昔の話ではあるが)、この2トンという車重はなんとも残念なのである。

Text: Dennis Petermann und Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: Daimler AG